13話 再開のガラス玉
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「あ、そうですわ。今後、わたくしに敬語はやめるように。名前も呼び捨てること」
そうしないと、王女だとバレてしまうかもしれませんからと、ぽんっと手を叩いて言うナタリア。誰も、もう何も言わなかった。薄暗い工場を進む私たち。その中、ナタリアだけが一人で先に進んでしまっていた。
「おい、ナタリア!もう少しゆっくり歩けよ!」
ルークが前を行くナタリアに声を掛ける。
「なんですの?もう疲れましたの?だらしないことですわね」
疲れた以前の問題だと思うけど。薄暗くて、油まみれで足場の悪い中、そんなサクサクと進めるわけないじゃん。と、心の中で思ったり。
「…お姫様のくせに、何この体力馬鹿」
ぼそりと呟くアニス。それには思わず同意してしまう。
「ナタリア。この七人で行動する以上、あなた一人にみんなが合わせるのは不自然です。少なくとも、この場ではあなたは王族という身分を捨てているわけですからね」
「…確かにそうですわね。ごめんなさい」
ジェイドが諌めると、素直に謝るナタリア。アニスが案外素直だとちゃちゃを入れる。先に進むに連れて薄暗くなっていく。
「のぉっ!!」
足元がよく見えず、コケてしまった。しかも、間抜けな声を出して。前のめりに転びそうになったのを誰かに腕を掴まれて難を凌いだ。
「気をつけてください」
支えてくれたのはすぐ後ろを歩いていたジェイドだった。
「…すみません」
首だけ振り返って謝り、再び前を向けば、口元に手を当ててニタニタと笑うアニスがいて、そのままてけてけと近寄ってきて、
「大佐ってば、何気に真咲には優しいですよねぇ?」
と言った。
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