12話 行き着く先は…
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「まだ、戻ってきてないよね…」
音を立てないように鍵を開けて、扉を少し開ける。誰もいないのを確認して寝室から出る。部屋の明かりは点けずに、閉まっていたカーテンと扉を開けてバルコニーに出てみる。たくさんの音素灯が灯った街が眼下に広がっていた。
「……キレー」
本当に綺麗だと思った。綺麗過ぎて涙が出てきた…自分がどれだけ汚い人間か思い知らされたようで。
「――っ、どうして君は 小さな手で 傷を背負おうとするのだろう?」
眼下に広がる音素灯を灯した街を見下ろしながら口ずさむ。歌うのは久しぶりかな。でも、何だか歌いたい気分だった。このまま、みんなについていくのがいいはずなんだ。理由なんて、言うまでもない。ヴァンの企みを知っていて放っておくことは出来ない。物語を知っている私が"ここ"に居るのはその為だと思いたい。涙が流れ出るのが止まらない。手すりに手を置き、目の前に広がるバチカルの夜景を見つめる。するとふわっと何かが肩に乗り、品のいい香りがした。振り返れば、そこには部屋を出ていたはずのジェイドがいた。
「ジェ、イ、ドさん」
肩に乗せられたのは彼の軍服だった。冷えた体と心にはそれは温かかった…。
「――さっきは、すみませんでした」
ジェイドの顔を見ることが出来ず、俯いたまま謝罪をする。勝手に逆ギレして怒鳴ってしまった。隠し事をしているのは自分、悪いのは全部私だ。