10話 変わりだした物語
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「私が…足手まといだと感じたら、容赦なく切り捨ててください」
彼から視線を、前へと戻しながら言った。私のせいで誰かが傷つくのは嫌だから。
「…そんなことはしません。巻き込んだのは私です」
そう言ったきりジェイドは何も言わなかった。私も話しかけづらく、黙っていた。お互い何もしゃべらないまま軍港へと歩いた。カイツール軍港に着いたのは日が暮れるころだった。船は大方の修理が終了していて、あとは助け出した整備隊長が受け持つエンジン部だけらしい。
到着してすぐにアルマンダイン伯爵に面会をした。個人的にいい印象は持てない人だったけど。明日の朝には出発できるというので今日は軍港の宿舎で休むことになった。私は夕飯を遠慮して港で散歩をしていた。
「静かな この夜に――」
ふっと、歌を口ずさむ。波の音を聞きながら、満天の星空を見上げる。私の住んでいるところからは、星なんてほとんど見えない。綺麗だった。
「真咲殿?」
後ろから声がした。歌うのをやめて振り返るとそこにはヴァンが居た。理由に分からない恐怖に心臓がバクバクいっていた。
「…ヴァン謡将。何か?」
心情を悟られないように、声が震えないようにする。ヴァンは私の前まで来た。出来れば来ないで欲しいのに…
「部下の身勝手な振る舞い、申し訳ない」
こちらをじっと見下ろし、謝罪の弁を述べる。私も彼を見上げた。私を見る碧眼から目を逸らすことができなかった。