9話 旋律の奏
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「あれ?」
軽い夕食をマルクト軍の人に用意してもらい、それを頂いた後、ジェイドが外に出て行った。ルークとガイも何か二人で話をしながら出て行った。あっ、瞬迅剣の習得イベントかな?イオンはアニスとティアと一緒に話をしているみたいだったので、私はそっと立ち上がり宿の外に出た。夜風が気持ちいい…うーんと両手を広げて、体を伸ばす。
「―――~♪」
鼻歌を歌いながら適当に散歩をし始め、10分くらい大して広くもないマルクト側の領地を散歩をして宿の前まで戻る。夜空を見上げ、両手を上に伸ばして空に浮かぶ譜石を掴むように握る。自分でも何がしたかったかは分からないけど…ただ、何かを掴み取りたかった。
「真咲」
空を見上げたままでいるとふいに声を掛けられ、その声のほうに顔を向ければジェイドがいた。何処に行っていたか知らないけど出かけて帰ってきたのを見て、
「お帰りなさい」
と、私は言った。思わず出た言葉にジェイドが目を少し見開いた。すぐに戻ったけど。
「…何をしているんですか?」
さすがに"ただいま"とは言わないか。言ったら個人的には面白かったんだけど。
「風に当たりながら散歩していました」
もう一度体を伸ばす。今朝のような怠さはもう感じられないし、先程のような吐き気もしない。
「あっ、さっきの自己紹介はあれでよかたんですか?」
私はヴァンへの名乗り方が心配だった。だって、一般人だもん。分かるわけが無いしそれにバレたら元も子もない。普通に自己紹介ならともかく、軍人としてなんて…とりあえずジェイドの見よう見まねで言ったんだけど。
「…大丈夫でしょう。ただ、気は抜かないでください」
「はい」
正直まだ不安だった。私の中の何かがヴァンに警戒しているのは分かる。この後、軍港からケセドニアまでは一緒だし、なんか不安で怖かった。
「ところで体のほうはもういいのですか?」
グローブをしたままジェイドが私の額に手を置いた。熱を測るのにグローブをしたままじゃ分かんないんじゃ?とか思ってしまう。さっきまでは私と目を合わせてもくれなかったのに…急に優しくされても…何か、困る。
「大丈夫です。もう怠さとかなくなりましたから」
少し戸惑いながらも返答する。私がそう答えるとジェイドはそうですかと、軽く微笑んだ。
「冷えますよ、中に入りましょう」
ジェイドは私の肩を抱き、宿のほうへと促した。私は頷いて、歩き出す。抱かれた肩は温かかったけど、不安は消えることはなかった。
不安が植え付けられた
本能が悟った
私は本当に
異端分子なの?