9話 旋律の奏
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「…そうかもしれませんね」
少し間を空けてからジェイドも頷いた。私はイオンがくれたタオルに顔を埋める。違う…とは言えなかった。ヴァンが怖かったとは言えなかった。なんで。なんで、ヴァンが怖いのだろう。
「もう、休んだほうがいいんじゃない?」
遠くからティアの声がした。また心配をかけてしまった。とはいえ自分でもよくわからないのだからどうしようもない。
「…大丈夫。もう、大丈夫」
力なく返事をする。イオンが、でも…と言ったがタオルから顔を放して笑ってみせる。吐き気もだいぶ治まってきて、汗のほうも濡れた場所がひんやりしていたがそちらも引いてきた。
「真咲、さっきは悪かったな」
思い出したようにガイが謝罪の言葉を零した。眉を下げて申し訳なさそうに頭の後ろを掻く。
「いいよ。何とかなったし」
「そういや、何で真咲は知ってたんだ?」
ルークが思い出したように声を上げる。話に納得して忘れていたようだ。お姉さん、ちょっとだけ怒りがぶり返してきたよ。
「真咲は勉強熱心ですよ。私やイオン様から文字以外にも、歴史やこの世界での常識を教えて欲しいと聞いてきます」
「それにローレライ教団のことも知っておいたほうがいいでしょうと進んで聞きにきますよ」
ジェイドとイオンが説明する。これはルークとさっき合流したばかりのアニス以外は全員知っている。ルークの他人への関心の無さが伺えた。
「まだ教えて間もないから正直心配だったが…よかったよ」
「真咲、すごーい!」
ガイが苦笑し、アニスは私の隣に座る。そのまま私の腰に抱きついてきたので、頭を撫でてあげる。子供扱いしないでと、怒ると思ったが、えへへっと笑っている。可愛いなぁ~