9話 旋律の奏
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「ティア、ここはヴァンの話を聞きましょう。分かり合えるチャンスを捨てて戦うことは、愚かなことだと僕は思います」
イオンがティアに微笑みながら諭すように言う。ティアは唇を噛んで、
「…イオン様のお心のままに」
そう言った。物語を知っている私は、分かり合えないよ、と言ってしまいそうになる。だって、ティアが可哀相だったから。でも、言えない。未来を知ってるなんて言えない。これとは別に気になることがあった。
「ジェイドさん」
私は口から手を放し、ジェイドの軍服を恐る恐る掴んで声を掛ける。また、無言のまま振り返る。それが、怖いんですけど。
「…あの、私の事は何て説明すれば?本当のことを言っていいんですか?」
出来ればヴァンに私の事は知られたくない。かと言って、私が何者かと聞かれたら返答しない訳にはいかない。勝手に適当なことも答えるわけにもいかないだろうし。
「そうですね…」
ジェイドも今気づいたように口元に手を置き考え込む。ここでヴァンと遭遇するとはいくらジェイドとはいえ思わなかっただろう。
「本当のことは言わないほうがいいでしょう――では私の部下ということにしておきましょう。幸い、ジャケットはマルクト軍の物のに似ています。インナーとブーツもマルクト軍の軍服ですし」
私はジェイドの意見に賛成して頷いた。みんなにもそれを告げれば、ルークが不満を漏らす。
「ヴァン師匠は大丈夫だろ!」
ヴァン贔屓のルークには、ヴァンが除け者になるのが嫌みたいだ。ルークには悪いけど、事の顛末を知っている私はヴァンを信じられるわけがない。