9話 旋律の奏
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「どういうつもりだ、アッシュ!私はお前にこんな命令を出した覚えはない!」
飛び降りてきたのは黒と赤を基調とした服を纏った、深紅の長い髪の少年―アッシュだった。アッシュがルークに向けて剣を再び振り下ろそうとすると、横から誰かが防いだ。それはマロンペーストの髪をきつく結い、白と灰色を貴重とした服を纏う、神託の盾騎士団主席総長であるヴァンだった。ヴァンが退けと、言うとアッシュは大人しく剣を収め舌打ちをして飛び去って行った。
「師匠!」
ルークが嬉しそうに名を呼べば、ヴァンは首だけルークのほうへ向ける。
「ルーク。今の避け方は無様だったな」
「ちぇっ、会っていきなりそれかよ」
剣を鞘に収めながら微笑むヴァンに対し、ルークは唇を尖らせた。それでもルークはヴァンに会えたことが嬉しいみたいで、今まで見せたことのないような笑みを浮かべていた。何か…何だろう?お腹の中で何かがぐるぐるする、気持ち悪い。それをただ見ていた私は急な吐き気に手で口を覆う。
「ヴァン!」
ルークがヴァンとの再会を喜んでいる中、ティアがナイフを構え、ヴァンを睨みつける。実の兄にまるで親の敵として見るように。
「ティア、武器を収めなさい。お前は誤解しているのだ」
今にもナイフを投げそうなティアにヴァンは動揺することもなく冷静にそう言った。ヴァンの言葉にティアは怪訝そうな表情をする。そしてヴァンは、頭を冷やして宿屋まで来いと言って去っていった。ヴァンがいなくなるとティアは大人しくナイフをしまう。途中、ルークとヴァンのやり取りも聞こえたが、私は先ほどからする吐き気に意識は持っていかれていた。