9話 旋律の奏
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「証明書も旅券もなくしちゃったんですぅ。通してください、お願いしますぅ」
手を胸の辺りで組んで、くねくねと体を揺らして懇願するアニス。背中のトクナガもそれに合わせて揺れる。可愛すぎるだろ、あれ。
「残念ですが、お通しできません」
「ふみゅぅ~」
兵士の言葉にがくっと肩を落として、踵を返すアニス。兵士に背を向けた瞬間、顔つきが変った。
「…月夜ばかりと思うなよ」
ぼそりと、低い声で言う。そのアニスの姿にルークやガイはぽかんとしていたが、私は生で聞けて内心、アニス可愛い~とか思ってたりしている。いや、マジで可愛いよ。
「アニス、ルークに聞こえちゃいますよ」
イオンがにこにことした表情でいうと、アニスはその声に何だという顔でこちらを見た。
「んっ?――きゃわ~ん!アニスの王子様ぁ~!」
ルークがいることに気づくとアニスは一変して、可愛らしい声をあげてルークに抱きつく。当のルークはアニスの豹変振りを気にしてはいない。ただ、ガイが
「女ってこえー」
後ろを向いて呟いていた。気持ちは分かるけど、アニスの場合は『ルーク』が目当てだからね…猫ぐらいかぶるよ。
「大変でしたね、アニス」
「ええ、もう少しで心配するところでした」
労いの言葉をかけるイオンに対してジェイド楽しそうに笑みを浮かべている。さっきまで怖い顔してたのに…まぁ、あれは私が悪いんだけど。
「ぶー、最初から心配してくださいよぉ」
「してましたよ?親書がなくては話になりませんから」
「大佐って意地悪ですぅ」
ルークに抱きついたままアニスは頬を膨らませる。