9話 旋律の奏
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「…そんなつもりはなかったんです」
返す言葉がなくて私が下に俯くと、はぁと溜息をつく。私自身、命を粗末にしているわけでもないんだけど、周りから見ればそうなのだろう。やっと、出た言葉はそれだった。何て説明をしていいのか…隠し事ばかりだ。アリエッタのことを知っていたことも、あそこで瘴気が噴き出すのを知っていたことも言えない。
ただ、アリエッタと話をしたかった…ライガクイーンが生きているのならルーク達を敵としてみないはずだから、もしかしたら分かり合えたかもしれないから。例え、彼女の『願い』を知っていたとしても。
「いえ、私がもっとしっかりしていればよかったんです」
私がそのまま黙り込んでいるとジェイドはまるで全部自分の責任だみたいなことを言った。ジェイドの言葉に驚いて顔を上げれば、彼は眼鏡の位置を直す。なんで?悪いのは私なのに。
「…行きますよ」
それ以上何も語らず、先を歩いて行ってしまった。私は黙ってついていくしか出来なかった。朝早く出発したおかげで昼過ぎにはカイツールに着いた。非武装地帯とはいえピリピリと緊張した雰囲気が伺えた。国境だから、敵兵同士が隣り合わせにいるのだから仕方ない。
「――あれ、アニスじゃねぇか?」
足を止めルークが前方を指差す。国境の門のところで検問をしている兵士と何か話しているアニスの姿があった。