8話 変化の片隅に
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「すみ、ま、せ……イオ、ン、さま――ごほっ」
「しゃべらないで下さい」
真咲の背をさすりながらイオンが言う。咳が止まり始めた真咲は、何回も深呼吸を繰り返す。何度か繰り返した後、彼女は閉じていた目を開いた。
「…もう、大丈夫です」
体を正面に向けながら言う。虚ろだった瞳も焦点が定まっている。それを見て、もう大丈夫でしょう、とジェイドが言うとイオンは安堵の笑みを見せた。
「何故、あんな真似をしたのですか?」
ジェイドが問うと真咲は首だけをこちらに向ける。まだ、青い顔をした彼女。
「(瘴気を少し吸ったくらいで、こんな状態になるのでしょうか?)」
ジェイドが眉根を寄せて顔を顰めると、真咲も申し訳なさそうな視線を向けた。
「…アリエッタのことですか?」
「そうです。何故近づいたりしたのですか?殺されていたかもしれないんですよ」
一回視線を逸らし戻した後、真咲が確信を持って聞くと、ジェイドは低く、少し怒気の篭った声で言葉を放つ。真咲は再び目を閉じ、正面を向く。
「…話を聞きたかった。あの時のアリエッタに敵意は感じられませんでしたし…」
目を閉じたまま答える真咲。まだ苦しいのか、顔が苦痛に歪む。
「ありがとうございます、真咲。アリエッタを助けてくれて」
イオンがお礼を言うと、真咲は目を開けて弱々しく微笑む。その姿は痛々しかった。
「私は、なに、も……」
と、言いかけて真咲は目を閉じた。また意識を失ったようだ。ジェイドが彼女の呼吸を確認する。