8話 変化の片隅に
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「ありがとうございます。いずれ、機会があれば、譜歌のことを詳しく伺いたいですね。特に大譜歌について」
ジェイドが礼を述べると、ティアは先に進みましょうという。まるでそれ以上は語りたくないと言っているかのように。
「――んっ」
眼下で聞こえた声にジェイドが視線を落とせば真咲の意識が戻ったようだった。だが薄く開いた瞳はまだ焦点が合ってはいない。
「真咲、大丈夫ですか?」
ジェイドが真咲の顔を覗き込み様子を伺うと、ルークとイオンが駆け寄ってくる。ティアとガイもゆっくりと近づいてくる。
「…こ、ここは?アリ、エッタは?」
目を覚ましての開口一番はアリエッタの心配の言葉だった。まだ虚ろな目で周りを見る。
「大丈夫です。気を失ってましたが、安全な場
所に避難させましたので」
イオンが真咲の手を自身の両手で包み込み安心させるためにか微笑んで言う。それを聞いた真咲の顔にも弱々しい笑みが見えた。
「…よかった」
笑みを浮かべたまま目を伏せる。
―――何故、そんなに他人のことを想えるのか私には理解ができない。それが、彼女の優しさなのだろうか?
ジェイドには到底理解できないと思った。なぜ自分が犠牲になってまで他人を、敵を助けるのかと。
「ジェイド。少し早いが大事を取って、今日はここで野宿にしないか?」
「――そうですね。真咲も意識が戻ったとはいえ、まだ動かさないほうがいいでしょう」
ガイの提案に皆も頷く。その言葉にルーク達は野宿の準備にとりかかる。
「ごめん、なさい…ごほっ、ごほっ」
真咲はジェイドに向いて謝罪の言葉を言うが、苦しそうに咳き込み体を丸める。咳き込む真咲の背をイオンがさすってやる。