8話 変化の片隅に
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…ママはダアト付近の森に、転移してました…無事に仔供たちも、生まれました。だから――ありがとう、です」
ぬいぐるみに顔を埋めたまま私にお礼を言う。アリエッタと話がしたくて私が前に出ようとするとジェイドが手で制したが、私はジェイドの腕に触れそのままアリエッタに向かって歩き出す。
「真咲!?」
ガイが声をあげる。私の行動が理解できないと、何をしているんだと。それでも歩みを止めず、アリエッタの所まで行き彼女の数歩前で立ち止まる。敵意は無いと思ったから。
「よかった…どこに飛んだか分からなかったから」
私が安堵の笑みを見せるとアリエッタは一瞬目を見開く。だって本当に助かるとは思ってなかった。場所も特定していなかったから、ずっと気になっていた。勝手に出た言葉を紡いで術を発動させたのはいいが、その後がどうなったのか心配だったし。炎を出したり風で敵や人を切り裂いたりするのと違って、その場から消えただけでは成功したのか何の効果があったのかなんて分からないし、結果が目に見えるものでもない。私が微笑んで見せると、アリエッタは困った表情をしていた。
「……どうして、ママを助けてくれたの?」
アリエッタが問う。何故っと。人間が魔物の命を守る、普通ならあり得ないと、彼女もわかっているのだろう。
「――失って、奪っていい命はないよ」
それが当然といった風に言う。私の言葉にジェイド以外の全員は息を呑んだ。今の私の言葉はきっと綺麗事。エゴだなんていわれても仕方ない…だって、私の手はもう汚れているから。
それでも、
「命はたった一つしかないもの。守れるのなら、守りたいよ」
その瞬間、地面が揺れた気がした。私の記憶通りなら、ここは…どんっと、アリエッタを思い切り押す。いきなり押された、アリエッタは尻餅をついた。
「――っ!!」
地面の揺れが激しくなり、その衝撃で割れた地面から紫色の蒸気のようなものが吹き出した。