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うちは一家の巻物

…そこには誰もいなかった。

裏庭にも、

縁側にも。

落書きが描かれた紙が数枚縁側に置きっぱなしされていた、それだけ。

イタチは眉をひそめ、立ち止まって、じっと裏庭を見回した。

そして目を閉じ、再び周囲の音に集中した。

いや。

たしかに、庭には誰もいない。

奥の部屋にも…

しかし、

もう少し先で…父さんの部屋で…あの音は…

イタチは目を開けた!

父さんの部屋に誰かいた!

父さんは在宅していたのだろうか。

あるいはサスケとあすかが…?

それとも誰かが…?!

イタチは忍び足で縁側を歩いた。

父さんの部屋の障子が開いていた。

しんとあの部屋へ向かい、用心しながら障子の間に立つと、その場ですくんだ。

あすかとサスケは父さんの部屋の真ん中に座っていた。

家族が有していた最古の巻物の一つは畳上に広げられていた。

あの巻物だった。 昨夜、父さんはそこに何かを注意深く、じっくりと書き留めていたあの巻物が。

イタチは、なぜ巻物の筆跡があちらこちらで異なっていると父さんに訪ねていた。丸で一人の執筆者ではなく、複数の人はその巻物を書いていたように。

父さんは感心するような笑みを浮かべて彼を見て、それは正しいと言った。 なぜなら、その巻物は家族が有していた最古の巻物の一つだったからだ。 その巻物は、うちは一族の間で代々受け継がれてきた。 巻物を預かった世代は、それに重要な歴伝の秘法を書き加えたのだ。

その巻物は今、部屋の中央に大きく広げられていた。

サスケはうつ伏せになって、わくわくしながらあすかと巻物を見つめていた。

そしてあすかは…

あすかは…

あすかは…墨に浸した筆を手に持って…巻物に…らく…落書きを…書いていたのだ!


(つづく)




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