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作業のキリがよかったから久しぶりに早めのオフィスへ

玄関を見ると沙南と伊沢の靴しかなくて部屋が静かだから驚かせてやろうとそろそろとドアへ近づくと沙南の鼻をすする音と同時に伊沢の話し声


は？やめる？みんなが惜しむ？沙南が？


伊沢が言ったことは信じられないことで俺を動揺させるには十分な材料でしかなくて
部屋から出てきた沙南の手首を掴み引き止める


『須貝さん？おはようございます？どうし、』
須｢お前、クイズノックやめんの？｣
『聞こえちゃってたんですか、そうですか』
須｢なんで？｣
『学業との両立が』
須｢そんな内容じゃなかったろ｣
『どこから聞いて、？』


ほとんど聞いてないけど
けど沙南がそんな理由で辞めるとはとても思えなくて問い詰めるような口調になってしまう


須｢おま、ちょっと来い｣
『えっ』


俺の横にあったし日中は人が来ない仮眠室に入り沙南をベットに座らせ話を聞こうとすると
何も言ってないのに沙南の目からポロポロと零れてくる涙


須｢え、ごめん俺、そうだよな話したくないよな｣
『ちが、ちがくて』
須｢え？｣


俺の腕をゆるゆると掴みながら頑張って話そうと嗚咽をこらえる沙南


『須貝さんは私がクイズノックを辞めることを拒んでくれるんですか？』
須｢え？｣
『私が、こんな私でもクイズノックにいて欲しいと思うんですか？』
須｢え、いや、、もちろん！沙南がいなきゃ寂しいじゃんかよ｣


ありがとうございます、と泣き崩れる沙南


思わず頭を撫でると


『少しだけ、私の昔の話聞いてくれませんか？』
須｢もちろん、沙南が話してくれるなら｣
『少し、重いかもしれないんですけど』


そんな前置きで話し出した話は淡々と事実を並べているが
その事実があまりにも残酷で、素直で明るい沙南はどれだけ傷つけられてきたのかと思うと殺意も芽ばえる程で


『だから、男性が苦手で、最近それをよく感じるようになってて、皆さんに迷惑をかけてしまうしそれならいっそ辞めてしまおうかな、と考えていて』
須｢そう、か
この前の寝起きの驚いたのもそれ？｣
『それです、すみませんでした
須貝さんだと認識すれば怖くないんですけど先に男性と認識してしまうと、反射で』
須｢そうかー｣


正直、伊沢が言った通り簡単に引き止められることではない、が


須｢いつでも相談のるからさ、ゆっくり考えようや｣


残ってくれとここの中で願うばかりだった


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