安堵


見慣れたアパートの一室の前で覚悟を決めるために5分もかかったのは多分初めてライターとして来た時以来

なんならあの時はもっと短かったかも？なんて考えられる程度には余裕が出来てからゆっくりインターホンを鳴らす


福｢はい、あ！沙南ちゃん！｣
『あ！福良さん！お久しぶりです！』


すると直ぐにドアが開き須貝さんが勢いよく出てくる


須｢沙南！お兄さんは心配したよ！｣
『お久しぶりです～須貝さん～』
須｢元気？ご飯食べてた？ちゃんと寝てた？｣
『食べてました！しっかり寝てました！』
須｢よかった～沙南すぐ無理するから｣
福｢沙南ちゃん玄関じゃ暑いでしょ、中おいで｣


須貝さんと中入ろっかと言い合いオフィス内に入る、須貝さんのおかげがうるさいくらいの動悸は無くなっていた


山｢沙南ちゃん！久しぶり～｣
福｢ほんとに久しぶりだね～元気だった？｣
『お久しぶりです！元気でした！』
伊｢このまえぶり｣
『その節はありがとうございました』
こ｢は！？なにがあった！？｣
『なんもないよ、こうちゃん久しぶり』
こ｢久しぶり！｣


しばらく来てなかったオフィス
不安を抱えたまま来たけどこの人たちなら、と思えるくらいそこは暖かい所だった


伊｢川上ももうすぐ来るはずだし｣
『そういえば、川上さん』


玄関が開く音で振り返れば川上さんがリビングのドアを開けてそのままこちらを見ている


『お久しぶりです？』
川｢沙南、久しぶり、元気か？｣
『元気です、メッセージずっと頂いてたのに返せてなくてすみません
須貝さんもすみません』
須｢いやいやいいのよ｣
川｢いや、そんなのええよ元気なら｣
『めっちゃ元気ですよ』


川上さんは私の頭を軽く撫でると荷物を置きに別の部屋へ入っていく

私は何も言わずに伊沢さんの横に座りパソコンを開いて作業を始めようとすると


伊｢ね？言ったでしょ？｣
『ほんとでしたね、ありがとうございます』
須｢え？なにがなにが？｣
伊｢須貝さんは夏でもうるさいでしょ？って｣
須｢いや、絶対うそ！｣
『いや、案の定でしたね』
須｢おい！沙南！｣


みんなが私を取り囲んで話す度に
この人たちは私の事をそんな目で見ないと
安心する


川｢沙南～？｣


名前を呼んでもらう度に必要とされる気がして
居場所がある気がして

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