だれの


渋谷なんて歩くんじゃなかった
普段来ないのに友達とご飯だからなんて慣れない場所に来ちゃったから

きっと向こうも私が渋谷に来ないのをわかってて場所を選んでたのに


来なかったらこんなの見なかったはずなのに


拓司が他の女の人と歩いてるところなんて

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伊｢俺、浮気性なところあるよ？｣

なんとなく付き合うことになった日、二人で飲みながら話していると唐突に発せられたひとこと

正直色気ないな、そんなこと付き合った日に言うもんなのかなんて思ったけど
それも私を試してるのかな、なんて

『それでもいい、すき』

こんなこと言わなきゃよかった
優しく微笑んでそのまま優しくキスした拓司の顔はなんども夢に出てきて私を困らせる


何人かの女性と関係を持ったのは知ってる
あとから報告がきたりこなかったりするから続いてるかワンナイとかなのかは知らないけど、知りたくもないけど。


その度にまた？なんて言いながらもなんだかんだいつも私の家に帰ってくる拓司が愛しくて私が1番だって信じて疑わなかった、疑わない事にしてた


家にどう帰ってきたかは覚えてない、でも泣きながらもどうやってこれを理由に拓司に拗ねて甘やかしてもらうか考えてる自分がいて


伊｢ただいまー｣


ここは答えないで待つ


伊｢沙南～？いるんだろ～？ただいま～？｣


拗ねた顔を作り三角座りをする、涙は拭かない


伊｢ただいま、って、どうしたー？なんかあった？｣


優しく横から抱きしめてくれる拓司のことをちらっと見たあとまた泣いて


伊｢ねえーどうしたのー？疲れてるのー？｣


顔を両手で包み込み自分の方を向かせる拓司
わかってた、すると思ってたよ、だからここで


『ねえー、沙南バカだった、思ったより辛かった』
伊｢なにが？｣


不思議そうな顔をしてる拓司の胸に顔をしっかり埋めてから


『拓司が他の女の人と歩いてるの見ちゃったー渋谷～』
伊｢見ちゃったかー、ごめんなー｣
『あの人のこと好きなの？』


胸元から顔を上げて悲しい、辛いという顔をする
ついでに軽く首を傾げれば完璧


伊｢好きじゃないよ｣
『じゃあ、沙南のことも？』


ここで拗ねた顔したら拓司困るでしょ？


伊｢なわけ、沙南しか好きじゃないよ｣
『いちばん？』
伊｢1番、誰よりも大切だよ｣

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