第二節・第二部『猫耳の惨劇!!最悪最恐にぱー☆再び』
零「眠れないからお話が聞きたいのです……クルル、ここに座るのですよ!」
夜の魔王城。猫耳をゆらりと揺らし、零ちゃまがシルバ特製の天蓋付きベッドの上で、迷わずクルルを指名した。
シルバが「……な、なぜ……なぜ私ではなく、その不浄な蛙を……ッ!!」と床に伏して慟哭し、ガルルが「……ハッピー。……だが、……羨ましい……ッ!!」と嫉妬のあまり柱を噛み砕かんばかりの勢いの中、クルルは勝ち誇った。
「ク〜クックック!! アホ共、これが『
鼻血を乱暴に拭い、ベッドサイドに陣取る策士。
「ほら、零。俺様があんたにぴったりの……甘くて陰湿な『おとぎ話』を読み聞かせてやるよォ……」
零「…ん!クルル、もっと近くに来るのですよ! ……ぎゅっ、して欲しいのです……」
零ちゃまは、クルルの腕の中に自分から潜り込み、その胸板に顔を寄せた。クルルの細い腕が、驚きに震えながらも、壊れ物を扱うように零を強く抱きしめる。
「ククッ……零。俺はあんたに飼い殺されるなら、本望だぜェ……いや、俺があんたを一生この腕の中に閉じ込めて、飼い殺してやりたいくらいだぜェ……」
クルルが零の耳元で囁く。それはもはや演技でも嫌がらせでもない、魂の深淵から溢れ出したドロドロの執着だった。
「あんたが俺以外のものになるくらいなら、俺はこの宇宙もろとも心中したって構わねぇんだよォ……愛してるぜ、零」
零「……ん……俺もクルル好き、なのですよ……にゃぁ……」
零ちゃまは、クルルの腕の中で幸せそうに安らかな寝息を立て始めた。クルルは、その温もりを一時も手放さぬよう、一晩中、彼女の髪を優しく撫で続けるのであった。
――翌朝。カーテンの隙間から、容赦のない朝日が差し込む。
零「………………ん……………あー………………なんかめっちゃ腰、痛ぇ……」
零はゆっくりと目を開けた。隣に感じる、異常なまでの熱量と密度。
視界に映るのは、眼鏡をしたまま、しかしこれまで見たこともないような穏やかな(だが酷く独占欲に満ちた幸福感に漂う)寝顔で自分を抱きしめているクルルだった。
そして己の服装は、相変わらず猫耳付きのフリルドレス。
からの――全記憶、超高解像度フラッシュバック。
零「………………よし、死のう」
「……ク? ……ク〜クックックッ……起きたかよ、俺の可愛い零ちゃま?」
クルルが、邪悪にして最高に幸せそうな笑みを浮かべて目を覚ます。
その瞬間、寝室の扉がシルバの「分子分解」によって爆散した。
「
「不浄ッ!!地獄に落ちろ、ドブネズミィィィッ!!」
深夜の嫉妬で目を血走らせたシルバとガルルが突入してくる。
零は無言で枕を複製し、クルルとガルルに叩きつけると、毛布をマントのように羽織ってガンダム邸の頭部(屋根)まで一気に逃げ出した。
「………………死ぬ!!俺は今すぐ銀河系ごと爆発して死ぬぞッ!!シルバ!記憶だ!記憶を消せ!!!今すぐ俺の海馬を焼き切れぇぇッ!!」
屋根の上で絶叫する魔王。だが、階下から執事の冷徹な声が響く。
「マスター。あいにくシルバのメモリには、昨夜の『好き……なのです』という音声データが、100億ギガバイトの超高画質で保存されております。ゆえに消去は……不可能です」
「智慧之王。こいつ、しばらく
《――了。分体・シルバを一時的に
魔王・鷹柴 零。
彼女の「威厳」という名の城は、もはや再建不能なまでに崩壊し、朝焼けの中でむせび泣く彼女の姿だけが、虚しく風に揺れていた。
続
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