第二節・第一部『勝者の余裕!?最強攻め様、爆誕!!』
「ちょっと、零さん!逃げないで!この『猫耳付きのゴスロリ』、あんたのショートウルフに絶対似合うから!ほら、語尾に『にゃあ』って付けなさいッ!!」
日向家の女子会会場は、もはや「魔王調教センター」と化していた。
パステルピンクの幾重にも重なるフリル、そして頭上にはぴこぴこと動く猫耳。零はモアと桃華に羽交い締めにされ、人生最大級のアイデンティティ崩壊の危機に直面していた。
零「……や、やめろ、夏美ちゃん!『にゃあ』とか言えるかッ!呪いか!?これはアンゴル族の断罪か!?厚顔無恥!つまり、恥ずか死ぬ、ですかぁああッ!!」
全宇宙のオスを無条件に跪かせる「究極の女帝(ネコVer.)」の完成。だが、零のプライドは限界を優に超えていた。
零「(……だ、ダメだ。……これ以上ここにいたら、俺の『俺様』としての概念が消滅する……!――シルバ!助けろ……って、あいつら廊下で乱闘中かよ!……クソッ、こうなったら……)『
「あ! こらー! 待ちなさーい!!」
夏美の制止を振り切り、零は着せ替えられたばかりの猫耳フリル姿のまま、自室の窓から空間を食い破ってダイブした。
零「……はぁ、……はぁ、やられるかと思った……。……あいつら、女子会ってレベルじゃねーぞ、これ……」
転送された先は、魔王城(ガンダム邸)の地下。咄嗟の跳躍で行き先は未指定だったはずだが、辿り着いたのはなぜか、クルルの予備ラボであった。薄暗い室内。規則的な電子音。そして――微かに漂う、昨夜のハチミツの匂い。
「……ク〜クックックッ!!まさかの『魔王様』が……今度は『迷い猫』かよォ。ククッ!」
暗闇の中で、眼鏡が不敵に光った。
そこには、シルバたちとの乱闘をまたしても「精巧な自爆ダミー」に丸投げし、自分だけはちゃっかりこの隔離空間に退避していた曹長がいた。
零「おまっ!? なんでここに……」
「ここは俺様の聖域だぜェ?零。居ても不思議じゃねぇだろ?……あんたと『
曹長は、猫耳を揺らして困惑する零に、一歩、また一歩と歩み寄る。
零の「暴食者」の出力を逆利用し、自分自身の執着を転送座標に上書きする。それはシルバの検知すら届かない、智慧之王と共振した者同士にしか成し得ない「密約」に等しい高等テクニックだった。
零「マジかよ、そんな事が……って、笑うなよ!こんな格好、似合ってねぇのは分かってるし!夏美ちゃんが勝手に……」
「笑ってねぇよ。……最高に、似合ってるじゃねぇか…ッ!!」
零「っ……!!?」
曹長は、零をラボの壁際――巨大なサーバーユニットの影へと押し込んだ。
昨夜のハチミツの残り香。そして、密室で重なり合う二人の熱い吐息。
「逃げても無駄だぜェ?魔王様ァ。……あんたの心臓は今、俺の心臓と完全に『
曹長が、猫耳を掠めるようにして、零の耳元で甘く、粘りつくように囁いた。
最強の魔王。そして、最強の「攻め様」。
サーバーの駆動音だけが響く静寂の中で、二人の境界線が再び、どろりと溶け始めていた。
続