第二節・第一部『勝者の余裕!?最強攻め様、爆誕!!』
「……チッ。日向夏美が来なけりゃ、今頃、もっといいことしてたのによォ……」
夏美たちが去った後、静まり返ったはずの廊下。正座させられたままの曹長が、勝ち誇ったように低く呟いた。だが、その「勝利の独り言」を、隣で同じく石像のように正座していたシルバ、中尉、伍長が聞き逃すはずもなかった。
ピキィイイイイイインッ!!
廊下の空間そのものに、物理的な「亀裂」が走る。
「……クルル曹長。………………貴様、今……何と言いましたか?」
笑顔だが目が笑っていない執事シルバの背後から、実体化した銀色の魔力触手がゆらりと立ち上がる。その殺気は、もはや主の命令すらオーバーライドしかねない。
「……宜しい。……ならば、
中尉が、軍人としての理性をかなぐり捨てて曹長に顔を寄せた。
「貴様のその、卑劣な妄想ごと、この俺の力で……粉砕してやるぞぉぉ!!」
伍長も負けじと、転移装置から呼び出した最大火力の重火器すべてをクルルへと向ける。
「「「………………おのれ、クルルゥウウウッ!!」」」
廊下で宇宙規模の乱闘(処刑)が始まった、その頃。
日向家の夏美の部屋では、布団に押し込められた零を囲んで「緊急・ペコポン女子会」が開催されていた。
「零さん。……あんたのその、顔の赤み……。これ、風邪じゃないわよね?」
夏美が腕を組み、零の瞳をじっと覗き込んで断言する。
零「何言ってんの?夏美ちゃん。俺、マジで熱あったんだって!知恵熱かなんかだよ!」
顔を赤に染め、パーカーの裾をちぎれんばかりに握りしめる零。
「つまり、零さんは……恋をしているのですね!?ってゆーか、恋愛成就?」
モアが目を輝かせ、その隣では桃華が不穏な光を眼に宿す。
「……あのクルルさんに、そこまでドキドキさせられるなんて!嫉妬ですわ!西澤グループの全技術を投じて、零さんの心拍数を正常に戻す(洗脳する)必要がありますわね!!」
零「恋だぁ!?違うって!誰があんな性格の悪い黄色いバカに……!!」
「自覚しなさい、零さん……」
夏美の容赦ない指摘に、零は「ちげーよ! 本当に新型の宇宙ウイルスなんだって!!」と、必死に抵抗を続ける。
最強の究極能力『
それは今、主のプライドを守るため、過去最大の演算負荷に耐えながら「これは病気である」という虚偽の結論を叩き出し続けていた。
廊下では「クルル抹殺戦争」が。
女子部屋の中では「零の恋心・わからせ包囲網」が。
異世界の魔王・鷹柴 零。彼女の絶対障壁が崩れるのが先か、それとも廊下が更地になるのが先なのか……
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