第一節・第十部『女帝争奪戦!遂に覚醒!?進化する天才策略家』
「返事は、今じゃなくてもいいからよ。でもな……これだけは、俺だけのものだ……」
秋葉原の夜景を背に、クルルが零の肩を引き寄せた。
その手が、今は熱く、微かに震えながらも、獲物を逃さない強固な意志で零を固定する。
零が驚愕に目を見開いた瞬間、クルルの唇が、そっと彼女の額――白く柔らかな肌へと落とされた。
零「!?お、お前……何すんだっ!!」
「ク〜クックック!嫌なら、今すぐ俺様をブチ殺してみせろよ。俺様はアンタになら本望だぜ?出来ねぇのか?魔王様ァ!!」
「………!!」
挑発するようにクルルの指先が、零の頬を掠める。
その至近距離で交わされる熱が臨界点に達しようとした、その瞬間。
「
「クルル曹長、貴様のその唇、今すぐ軍事裁判にかけるッ!!」
空間を切り裂き、銀髪を逆立てたシルバと偽装の新聞紙をズタズタに引き裂いたガルル中尉が文字通り「ビルの壁を突き破って」乱入してきた。
背後ではギロロが「終わった……。秋葉原の平和が終わった……」と絶望して天を仰いでいる。
零「騒がしいぞ!お前ら、騒ぐなッ!!」
零は曹長を突き飛ばして数歩後退した。
胸の奥で、心臓がバクバクと、これまでの戦闘では一度も経験したことのない激しい鼓動を刻んでいる。頬が熱を持ち、耳の奥でドクドクと自分の血流が響いている。
零「……なんだ、これは……?」
《告。マスターの体温が0.8度上昇。心拍数の急激な増加を確認。……これは、生物学的に見て……》
零(分かってる!……これ、あれだろ?慣れない女装で秋葉原を歩き回ったせいで、新型の宇宙ウイルスに感染したんだろ!?それか、急激な外気との温度差による、風邪(ひき始め)だな!!)
《………………………………肯定。……はい。……そうですね。……それはきっと、救いようのない……
智慧之王の、どこか呆れたような、それでいて慈悲深い肯定。
零「クソッ、だからこんな薄い服は嫌なんだ……ッ!!帰るぞ!シルバ!!!」
零は額を押さえ、その下に残る唇の感触から逃げるように、エレベーターへと駆け込んだ。
「ク〜クックック!!……風邪だァ? その反応でか?…………お前、マジで……最高に面白い
床に転がったクルルが、鼻血を拭いながら、自らの仕掛けた「博打」の成果に狂ったような笑声を上げる。
夜の秋葉原。喧騒の影で、策士の陰湿なハッピーが、いつまでも響き渡っていた。
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