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第一節・第九部『銀のやらかし!?独占欲の暴走の果てに』



「零さん、最高に似合ってるわ!ほら、そのまま外に出て、世界の『眼福』になりなさいッ!!」

夏美の更なる無慈悲な「可愛い」の暴力。その一言により、フリルたっぷりのロリータ服に身を包んだ零は、抵抗の余地なく街へと放り出された。

すらりとした長身に、揺れるブルーのレース。ショートウルフの茶髪に鎮座する大きなリボン。
その姿は、もはや魔王というよりは、全臣民を無条件に跪かせる「女帝エンプレス」の神々しさすら放っていた。





零「……っ、おい……見るな。……見るんじゃねぇ……ッ!!」

顔を茹で上がった蛸のように真っ赤にし、スカートの裾を必死に掴んで歩く零。
その背後では、正装(執事服)に身を包んだシルバが、銀の瞳を感動に潤ませて追従する。
さらにガルルとギロロが、鼻血を拭いながら殺気立った眼光で周囲を威圧していた。



「「……守護ガードせねば。……この、…儚き女帝を……ッ!!」」

街中の人々が、その異様な、しかし圧倒的に美しい一団に足を止める。


「…………え…何、あの美少女……。モデル?それとも本物のお姫様?」

広がるざわめき。注がれる好奇の視線。
その瞬間、零の「羞恥心」という名のダムが、ついに音を立てて決壊した。





零「……あ。…………うあぁ……………………………」




―――プツンッ。





零の脳内で、何かが決定的に弾ける音が響く。
魔王としての威厳。アニオタとしてのプライド。
そして18歳の少女としての正気。
あまりの精神的負荷に耐えかねた彼女の意識は、皮肉にもかつて自分がクルルたちに叩き込んだ『ひぐらしのなく頃に』の記憶、その「最も無垢で最強の防衛本能」へと逃避を始めた。




「……あれ?零さん、大丈夫…?」

心配そうに覗き込む冬樹。だが、零は空ろな瞳のまま、リボンを揺らしてふわりと――この世のものとは思えぬほど可憐に微笑んだ。





零「―――零ちゃまなのですよ〜!にぱー☆」

「「「………………ど、どどど、どうしたんだああああッ!!」」」


軍曹が驚きのあまりひっくり返り、クルルが狂喜に近い叫びを上げる。



「……クク……。魔王様が、……幼児退行(梨花ちゃま化)しやがった……ッ!!」

叫びつつも、そのカメラのシャッター音は止まらない。




零「みー……シルバ。なでなでして欲しいのです」

その言葉を受け、シルバは感極まった表情でその場に膝を突いた。



「……お、仰せのままに!!!……あぁ、我がマスター…………零様…このシルバ、一生この『おいたわしいお姿』を守り抜くことを、ここに誓います……ッ!(歓喜)」

一方、ガルル中尉はもはや言葉を失っていた。


「……にぱー……ハッピー……あぁ、……全宇宙のハッピーが、今ここに集束した……」


幸せの絶頂、その限界値を超えた彼は、盛大に泡を吹いてそのまま卒倒した。
街のど真ん中で、フリル姿の「女帝」が放つ、無自覚な「にぱー☆」の連発。
魔王・鷹柴零。彼女の伝説に、一生消えない「黒歴史(という名の究極の萌え)」が、深く、あまりにも深く刻まれた瞬間であった。




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