第一節・第八部『迫る!神の審判!!–魔王と参謀の究極進化!!–』




零「宇宙の因果律シナリオに反するだぁ? んなもん……俺様のための因果律シナリオに今すぐ書き換えてやんよぉ!!」



零が不敵に言い放つと同時に、背後に控えるシルバの銀の瞳が、青白いデータの奔流を高速で映し出した。祭りの空気はバチバチと激しい放電を始め、静止した夏美や冬樹、そしてモアたちを柔らかな光の膜が包み込む。


《――了解。個体名:日向夏美、冬樹、西澤桃華、アンゴル・モア……周辺の全友好個体に対し、多重結界「不変の繭」を展開。時間の静止による因果的崩壊を完全に遮断します。……マスター、敵軍事システムの完全掌握ハッキング完了まで「180秒」。……時間を稼いでください》
零「180秒か。……上等だ、瞬きする暇も与えねぇよ」


零の不敵な笑みに呼応するように、膝をついていたクルルが、吐血しながらも強引に自分の首筋へ外部端子を叩き込んだ。バキィッ、と火花が散り、彼のシステムが強制再起動リブートを果たす。




「……クク……。零……、言ってくれるじゃねぇか……ッ!! 俺様の脳内にはなぁ、あんたに叩き込まれた『不屈のテーマアンパンマン』の旋律が、呪いプログラムが抜けた今でもエンドレスで流れてんだよぉ……! 時間凍結如きで、この俺様が止まれるかよぉッ!!」

「……あぁ。…………零。貴殿の描くシナリオこそが、私の『ハッピー』だ。不純な粛清者共め、我が主の領域ステージを汚すことは許さん。……排除するッ!!」


ガルル中尉が、重力無視の加速装置をリミッター解除で全開にする。武器を失った素手のまま、白い粛清兵の一人に肉薄し、真空を切り裂く一撃でその装甲ごと首をへし折った。




零「――ギロロ伍長! いや、ギロロ近衛兵! 魔王の側近として、その身を盾にせよッ!! 寝てることは許さねぇぞ!!!」


零の咆哮が、静止していたギロロの魂を震わせた。固まっていたはずの指先が微かに動き出し、次の瞬間、執念だけで時間の枷を食いちぎる。




「……あぁ……言われるまでもない……っ!!! こんな、見えない鎖で俺を……止めようなど……!!! 零に……師に、指一本触れさせるものかぁッ!!!」


魔王の近衛兵、ギロロが咆哮と共に浴衣の袖を食いちぎり、次元貯蔵庫から呼び出した大型火器を同調させるように吠えさせた。

静止した夏祭りの境内。動けるのは、魔王・零と、その魂を既に明け渡した三匹のカエル、そしてハッキングを続ける銀の執事のみ。十数名の白い粛清官たちが、無機質なレーザーブレードを抜き放ち、四方八方から零へと殺到する。




零「…………智慧之王レイソフィアロード! いや、シルバ! 好き勝手抜かしやがる本部の連中に、本当の『書き換えハッキング』を見せてやれ!!」


零は、浴衣の帯に隠し持っていた「万能糸」を宙に張り巡らせ、向かってくる粛清官の喉元を一瞬で絡め取った。指先一つで、空間そのものを締め上げる。





「――てめぇら……。俺の楽しい祭りを邪魔した代償は、宇宙の終焉より重てぇぞ……?」


漆黒のオーラを纏った零の瞳が、銀色の月光を反射して冷酷に輝いた。


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