第一節・第六部『魔王城、爆誕!!!そして現れる銀の守護者!!』



「……さて。今日からこの城の管理は、私シルバが全面的に執行いたします。不服のある不純物は、今すぐ退出デリートを」

リビングに冷徹に響くシルバの声。銀の瞳を鋭く光らせ、零の前に一寸の狂いもなく珈琲を置く。その洗練された所作一つをとっても、ドタバタと騒ぐ軍曹たちとは住む次元が違っていた。



「おのれぇぇ!零殿に名前まで貰って、すっかり正妻面でありますッ!我輩だって、昔はもっと頼りにされていたはずでありますぅ!」

軍曹がガンプラの箱を抱きしめて地団駄を踏むが、悲しいかな、零の記憶にそんな「頼もしかった軍曹」のデータは一片も存在しない。



「ク〜クックック……。シルバだぁ?甘っちょろい名前だねぇ……。いくら実体化したからって、俺様の電脳迷宮からは逃げられねぇぜぇ……!!!」

クルルが不気味に笑いながら、端末を叩き壊さんばかりの勢いで超高度ウイルスを送り込む。だが、シルバは一瞥もくれず、飛来した電子の毒を指先一つで塵へと霧散させた。



「……クルル曹長。その程度の悪戯は、マスターの安眠の妨げです。次はありませんよ?」
「っ!!こいつ、俺様の最新ウイルスを鼻歌混じりに……ッ!?」

そこへ、重厚なプレッシャーを纏ったガルル中尉が、静かに、だが地鳴りのような声で口を開いた。




「…………シルバとやら。貴殿がマスターの『影』であることは認めよう。だが……マスターを外敵から守る『盾』の役目は、実戦経験豊富な私こそが相応しい。……貴殿に、その覚悟ハッピーはあるか?」
「……ハッピー、ですか。…クフフ…………滑稽ですね」

シルバは優雅に肩をすくめ、嘲笑を浮かべた。



「私の存在そのものがマスターの意志であり、この魔王城の理そのもの。つまり、私とマスターは一心同体、魂の根源から繋がっている唯一無二の存在なのですよ。貴方方のような『居候』とは格が違う」

「「「……何だと…………っ!!?」」」


火花を散らす銀髪の執事と、紫の軍人、黄色い天才、そして緑のガンプラオタク。
零は、そんな四匹の不毛な争いを、シルバが一切の皮を残さず芸術的に剥いてくれたリンゴを齧りながら、テレビのリモコンをポチポチと操作して眺めていた。




零「………………あー、うるせーな。お前ら、そんなに暇なら、今から『魔王城・大掃除大会』でもやるか? 一番綺麗に掃除した奴に、今夜のメニューの決定権をやるよ」
「「「「…………………………っ!!!(決定権=零との夕食の主導権!)」」」」


魔王の一言。
それは、この要塞に充満していた嫉妬の火薬に火を点けるには十分すぎた。魔王城は一瞬にして、銀河規模の技術と魔術が交錯する「ガチの掃除バトル」の戦場へと変貌したのである。



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