第一節・第六部『魔王城、爆誕!!!そして現れる銀の守護者!!』


数日後の朝、柔らかな陽光が差し込む寝室で、零は大きく伸びをしてベッドから起き上がった。
枕元でけたたましく鳴り響くスマホ。画面には「夏美」の二文字。



零「ふぁ……もしもし、夏美ちゃん? 何、朝からデートのお誘い……?」

寝ぼけ眼で電話に出た零だったが、鼓膜を突き破らんばかりの怒声に一瞬で目が覚めた。



『なんてことをしてるんですかぁぁぁぁぁ!! 分からないなら、今すぐ外に出て自分の家を見てきなさいッ!!』
零「は……? 外?」

零は首を傾げながらパジャマのまま玄関を開け、外へと足を踏み出した。そして、自分の「モダンな外観のはずの自宅」を振り返った瞬間、絶句した。



零「……………………は? なんだよ、あの屋上にある巨大な四連装対空レーザー砲……。それに、外壁の材質……これ、地球の建材じゃねぇだろ。ケロニウム合金になってねーか?」

慌てて家の中に引き返し、リビングのドアを乱暴に開ける。



「――おはよう、零。……貴殿の身を守るため、この『じたく』の警備を私とギロロが引き受けることにした。現在、私の全装備と精鋭部隊の一部も配備完了している」

リビングの中央、1/1スケールのガンプラを丁寧に磨きながら、零の私服を真似た黒いパーカー姿のガルル中尉が、当然のように出迎えた。



零「……お前、軍の仕事はどうしたんだよ。休職ニートかよ」
「何を言う。愛する者の傍にあること。……それこそが、軍人としての私の『究極の任務』だ」

あまりに真っ直ぐで重すぎる言葉に零が呆れていると、床下から聞き慣れた陰湿な笑い声が響いてきた。



「ク〜クックック!!! 零、歓迎しろよぉ? ……俺様のラボのメインサーバー、予備も含めて全てこっちに同期リンクさせて、この家を丸ごと『全自動4Dホログラム・シアター』に作り変えてやったぜぇ……!!!」

いつの間にか増設されていた地下への階段を降りると、そこには元の「オタク部屋」の面影を残しつつも、壁一面がモニター、室温・湿度は常にアニメ原画の保存に適した数値に管理され、宇宙中のマイナー作品を0.1秒で高解像度再生できる「オタクの桃源郷」が爆誕していた。



零「お前ら…………。俺の家が、もう家じゃなくて『要塞(基地)』になってんじゃねーかよ……」

そこへ、半泣きで段ボール箱を抱えた軍曹と、それをお茶目に支えるモアが突入してきた。



「零殿おぉぉぉぉ!!! 我輩を置いて行かないで欲しいのでありますぅぅ!!」
「待ってください、おじ様ー!」
零「……軍曹? お前、それ何持ってんだよ」
「これ、我輩の特選ガンプラ・コレクション(未開封・超レア)であります!!! 以前から隙あらばこっちに引っ越そうと思っていたのでありますが、クルル曹長たちに先を越されたのでありますよぅ!!! ぜひ! 我輩もこの『魔王城』に住まわせてほしいでありますッ!!」
「もちろん! おじ様が行くならモアもです! ってゆーか、一心同体?」


こうして、鷹柴零の自宅は、「宇宙最強の軍人兄弟」と「宇宙一の天才ハッカー」、そして「宇宙一のガンプラバカ」が一つ屋根の下に集う、ケロン軍本部ですら迂闊に手が出せない銀河最強の「魔王城」へと進化したのであった。




《――報告。マスター、宅内の防衛レベルが「惑星破壊兵器」の直撃にも耐えうる数値に到達しました。……また、おやつ用の冷蔵庫にセロリが混入する確率は0%に固定されました。快適な引きこもりライフをお楽しみください》
零「……あぁ、そうか。ま、ガンプラ作る仲間が増えたと思えば……悪くねぇか」


魔王様は、相変わらずの「絶対恋愛障壁ニブチン」を発動させながら、賑やかすぎる日常を受け入れるのだった。





1/5ページ
スキ