第一節・第四部『紫の来訪者・再来』



「ク〜ックックッ……!まさか団体で来るとはなぁ……。おい、魔王。いつまでその紫のデカブツを連れ歩いてんだよ。目障りなんだよ……ッ!!」

地下ラボ。モニター越しに魔王軍(?)の接近を確認しながら、クルルは狂ったようにキーボードを叩きつけていた。画面にはガルル中尉を「有害事象」として排除しようとする真っ赤な警告ログが滝のように流れ続けている。
自動ドアが開き、一斉に雪崩れ込む一行。だが、機材の詰まったラボに大人数で入るにはいささか狭い。そんな密度の高い空間で、零に「しおちゃん」呼び(支配)されて以来、完全に憑き物が落ちた(ヤンデレ化した)ガルル中尉が、当たり前のように零の真横をキープして控えていた。




零「いいじゃねぇか、曹長。こいつ、少し教えただけでガンプラのバリ取りの精度が爆上がりしたんだぜ? お前も少しは見習えよ」

零がガルルの肩を軽く叩く。
すると、ガルルは微かに頬を染め「……あぁ。零の役に立てるなら、指の一本や二本……」と不穏な悦びを漏らした。その光景が、クルルの導火線に特大の火をつけた。




「っ……、ふざけんな! ガンプラだのバリ取りだの! そんなのは俺様の専門外だ!! 俺様が……俺が、お前に見てほしいのは、そんなもんじゃ……ッ!!」


ガシャン!! と椅子を蹴って立ち上がるクルル。



「お、落ち着くでありますよ、クルル曹長!」
「貴様、どうしたんだ……?」

いつもは猫背で卑屈な彼が、真っ向から零の瞳を見据える。その眼差しは、剥き出しの嫉妬と独占欲でドロドロに濁り、激しく燃えていた。軍曹とギロロは「まさかストレスによる反乱か!?」と武器を構えるが……。







「…………おい、零。お前、マジで……。マジで、俺が、こんなに…………っ、好きで堪んねぇのによおおぉぉぉッ!!」





零「…………は?」





零の呆然とした声を最後に、ラボに心臓の鼓動すら聞こえそうなほどの静寂が訪れた。
叫んだ当の本人であるクルル自身、自分の口から飛び出した言葉の意味を脳内で処理しきれず「…………………え? は? ……俺様、今、なんて…………?」と、顔を真っ青にしたり真っ赤にしたりを繰り返し、ガタガタと震えだす。

一方で、背後の外野は大盛り上がりだ。
「「「きゃー! 愛の告白だー!!! ってゆーか、公開処刑!?」」」
軍曹、タママ、モアは謎のテンションMAXで頬を赤らめている。
ギロロは「……兄貴の次はクルルか。この小隊はどうなっているんだ……」と遠い目で天を仰ぎ、対照的にガルルは「……クルル曹長。貴様、私のハッピーを邪魔する気か」と、殺気を帯びた手つきで銃のグリップを握りしめた。


ツッコミ不在の密室。
現場は、底なしのカオスへと沈み込んでいく……。



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