第一節・第四部『紫の来訪者・再来』
目の前でヤンデレ化し、全宇宙を巻き込むレベルの『誓約書』を突きつけてくるガルル中尉。この異常事態をどう処理すべきか――それが目下の問題だった。
脳内では大賢者がけたたましくアラートを鳴らし、《個体名:ガルル中尉の精神構造が危険域です。存在の
だが、零は「そこまでしなくても良くね?」と、事態の深刻さを微塵も感じていなかった。究極能力『
むしろ、零の着眼点は斜め上の方向へ向いていた。
零「(……監禁?ついこの前、俺にボコられた中尉が、この俺を『城』に閉じ込めるだと? ……100億年早ぇんだよ!)……はっ! 笑わせてくれる。いいぜ、中尉さん。そこまで言うなら、お前のその重すぎる『愛』……全部受け取ってやるよ」
「「「「……はぁぁぁ!!?」」」」
まさかの受諾に、居合わせた四匹が驚愕の絶叫を上げる。クルルに至っては、計算外の事態にフリーズし、パキィッ……と眼鏡にヒビが入るほどの衝撃を受けていた。
零は跪くガルルの顎に無造作に手をかけ、強引に自分を見上げさせた。その黒銀の瞳に宿るのは、慈悲などではない。獲物を完膚なきまでに飼いならそうとする、絶対的な支配者の色だ。
零「けどな……勘違いすんな。お前が俺を『城』に閉じ込めるんじゃねぇ。俺が、この魔王様が、お前を一生出られない『甘い檻』に閉じ込めてやんだよ」
零はガルルの耳元に顔を寄せると、大賢者が(勝手に)演算・生成した「精神を蕩けさせる極甘の
零「――お前の軍人としての誇りも、その優秀な頭脳も、全部俺のものだ。返して欲しければ、死ぬ気で俺を満足させてみろ。……な? 俺の『しおちゃん』?」
「……っ!! 零…………!!」
ガルルの脳内回路が、凄まじい速さで全戦域において白旗を上げた。圧倒的な支配、そして甘美な隷属。最強の軍人のプライドが、魔王のたった一言で「忠実なる従僕」へと書き換えられた瞬間だった。
その様子を横で見ていたギロロたちは、ガルルのあまりの陥落っぷりに、ただただ戦慄するしかなかった。
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