第一節・第四部『紫の来訪者・再来』
「………………零。………………観終わったぞ。あの『ハッピーシュガーライフ』という……甘い地獄を」
数時間後。視聴部屋から這い出してきたガルル中尉の瞳には、かつて戦場で見せた鋭利な光とは質の違う、どんよりと濁り、それでいて恐ろしいほど透き通った「確信」が宿っていた。
「……理解した。……愛とは、自分たちだけの甘い
《――警告。個体名:ガルル中尉の「執着パラメータ」が、計測限界を突破。……想定通り、彼の思考回路は現在、マスターを自分だけの「城(ラボや旗艦)」に閉じ込めることこそが、全宇宙で最も正しい戦略であると確信しています》
あまりに極端なガルルの変貌と大賢者の無慈悲な分析に、零は飲んでいたコーヒーを盛大に噴き出した。
零「え? ……はぁ!!?」
「……零。……貴殿を、誰にも渡さない。たとえ母星を……全宇宙を敵に回しても。……貴殿を私の『城』に招待(拘束)したい。甘い、甘い時間を二人だけで……」
ガルルが音もなく零の目の前に跪き、その指先で零の手を掴もうとする。だが、それは周囲にいた面々が即座に割り込み、阻止した。それでも、ガルルの熱に浮かされた独白は止まらない。
「たとえ貴殿が、男であろうと関係ない。……愛があれば、そこは『ハッピー』なのだ。……違うか?」
「ゲロォッ!!? ガルル中尉殿!!!」
「お、落ち着け! 兄貴ッ!!」
「目が! 目が完全に『あっち側』に行っちゃってるですぅ〜!!!?」
フリーズしていた軍曹がようやく再起動し、ギロロは必死に兄を抑え込み、タママは零の横でその狂気に震え上がる。この場に「聖人」ドロロがいなかったのは、むしろ幸いと言うべきであった。
「ク〜クックックッ!! こりゃあ傑作だ!! あの堅物中尉が『ヤンデレ』にジョブチェンジしやがった……!!!」
クルルが狂ったように笑いながら、ガルルの異常なバイタルデータを解析し始める。ちゃっかり零の真横(タママの反対側)を陣取っており、隙あらばガルルに電撃を流す準備は万端だ。
零「…………あー、中尉? お前、ちょっと、落ち着け。な? ……その、アニメってのはな、もっとこう、フィクションとして楽しむものでだな……」
「……否!!! 貴殿という『甘い真実』を見つけた今、私は……もう、迷わない!!!」
ガルルはどこからともなく、全宇宙を巻き込むハルマゲドン級の効力を持つ『愛の誓約書』を取り出し、零の鼻先に突きつけた。
軍人としての冷静沈着なタクティクスが、すべて「零を独占するための方策」へと
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