第一節・第三部『紫の影と絶対零度の眼差し』
あれから数週間後………。
零の自宅の庭で、燕尾服に身を包んだ執事ギロロが、不意に空を見上げて動きを止める。かつて戦場を共にした者だけが嗅ぎ取れる、身に覚えのある苛烈なプレッシャー。
その直後、上空から飛来した数条の光柱が、零の家と日向家を包囲するように突き刺さった。
光の中から現れたのは、ケロン軍最強の精鋭部隊――ガルル小隊。
「…………弟よ。無様な姿だな。その格好は何だ」
冷徹な声と共に、紫色のケロン人、ガルル中尉が愛銃を肩に担いで歩み寄る。その後ろには、超一流の暗殺兵ゾルル、通信兵トロロ、そして突撃兵タルルが、一分の隙もなく布陣していた。
「ガ、ガルル……!? なぜ兄貴がここに……」
驚愕するギロロに対し、ガルルは感情を排した声で言い放つ。
「ケロン軍本部より通達があった。『ケロロ小隊は、地球人あるいは未知の存在によって
ガルルの鋭い銃口が、二階の自室の窓から顔を出していた零へと向けられた。
「…………貴様か。小隊を、そして我が弟を堕落させた『魔王』を自称する
零は窓枠に肘をつき、スマホ(大賢者)の画面を無造作に眺めながら、鼻で笑った。
零「堕落だぁ? ……はっ、笑わせんなよ、中尉さん。俺は、こいつらに『新しい生きがい』を与えてやっただけだ。……本物の軍人様が、わざわざ俺の『遊び場』を壊しに来たのか?」
最強の精鋭が放つ重圧を、軽口一つで撥ね退ける零。だが、その背後に「ドス黒い何か」が蠢いている気配を察知し、ガルルが一瞬だけ息を呑む。
「っ…構わん。やれ!
ガルルの号令と共に、精鋭たちが一斉に零へと襲い掛かる。
零「さて、どうすっかなぁ……」
零が「大賢者」に迎撃プログラムを指示しようとした、その時。彼女の背後から無数の影が飛び出した。
「零殿! 大丈夫でござるか!?」
ゾルルの鋭い暗殺剣を、ドロロの日本刀が火花を散らして受け止める。
「せっかく軍曹さんとプレゼン資料を作ってたのにぃ〜! ……許せねぇですぅ……ッ!」
タルルの猛攻を、タママが嫉妬の炎を纏った拳で押し戻す。
「ク〜クックック。せっかく新しいウイルスを開発してた所だったのによぉ……。邪魔すんじゃねーよ、ガキが」
トロロの電子攻撃を、クルルが欠伸混じりのハッキングで無効化した。
そして最後に、零の隣へとぴょんと窓枠に飛び乗ったのは、緑色の影。
「総員戦闘配置! これより我らが小隊の魔王様を! ……零殿をお守りするであります!!!」
軍曹の号令の下、かつてないほど「団結」したケロロ小隊が、最強の精鋭部隊を前に牙を剥いた。
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