第一節・第二部『ケロロ小隊「オタク化」計画、始動!!』


魔王の気まぐれな「勅令」。
それは、平和ボケしていたケロロ小隊を、かつてないほど危険な、そして「変な方向」に研ぎ澄まされた集団へと変貌させた。


零「大賢者……こいつら、多分とんでもねーことやらかすぞ。フォロー頼むな」
《――了。周辺被害を最小限に抑えつつ、マスターの娯楽(侵略)を最大限に演出するよう、電脳・物理の両面で待機します》

そして翌朝。
地球ペコポンの空は、ケロロ小隊が零に捧げるための「史上最大級のバカ騒ぎ」によって、七色に染まろうとしていた。
零はパーカーのポケットに手を突っ込み、「さて、あいつら何してっかなー?」と、悠然とした足取りで偵察に向かう。
ちなみに、この「勅令」はバカ四匹に向けられたものなので、ドロロは不参加だ。むしろ巻き込んでは可哀想だと事情を説明し、避難してもらっている。
その際、「あ、あの、あまりケロロくん達を虐めないで……!」とドロロから忠告を受けたが、零は「内容による」としか返していない。出来ない約束はしない、それが魔王の誠実さ(?)であった。


まずはケロロとタママの二匹。どうやら共闘して作戦を実行に移そうとしているようで……。



「ク〜ッ!これで全世界のテレビ、スマホ、街頭ビジョンは、我輩たちの手中に!零殿の愛する『伝説のアニメ第1話』を24時間リピート放送するであります!」

地下基地のメインコントロールルーム。軍曹とタママが、怪しく光るレバーを握りしめていた。



「そうすれば、全人類が零さんと同じ感性を持つ『同志』!争いのない、平和なオタク惑星の誕生ですぅ〜!」

二匹の手元には『全人類オタク化計画』と書かれた、狂気と愛の詰まった企画書。
世界中のネットワークが「ケロロ小隊」のマークに染まろうとしたその瞬間。背後の自動ドアが、静かに、だが重々しく開いた。



零「……おい。誰の許可得て、俺の『推し』を公共の電波で垂れ流そうとしてるんだ?」

冷え切った零の声が響く。スマホを片手に、魔王の威圧感を纏って歩み寄る姿に、二匹は「ゲロォッ!?」「タマァッ!?」と飛び上がった。



「れ、零殿!これは、貴殿を喜ばせるための『至高の布教』でありまして……!!」
零「布教?……バカ言え。アニメってのはな、自分の意志で、自分のタイミングで出会うから『エモい』んだよ。強制的に見せられた名作が、どれほど価値を下げるか分かってんの?」

零が氷のような視線で射抜くと、大賢者が静かに同期する。



《――解析終了。軍曹たちが構築した全世界同時配信システムを、「個人の好みに合わせた、おすすめアニメ提案AI」へと書き換えました。……これにより、無理な強制視聴ではなく、自然な形でのオタク化を促進します》
零「いいか、軍曹。侵略ってのは、相手に『侵略された』と気づかせないほど自然に、相手の日常に溶け込ませるもんだ」

零は腰をかがめ、軍曹の目線に合わせて不敵に笑った。



零「全世界を俺の『同志』にするなんて、100億年早ぇんだよ。まずは、俺一人を心から満足させる『最高のプレゼンアニメ語り』を……俺の横でやってみろ。もちろんお前もな、タママ」
「っ!!……零殿……!!直接、我輩達のプレゼンを、聞いてくれるのでありますか……!?」
「さすが僕らの魔王様ですぅ〜!!」

軍曹たちの瞳がキラキラと輝き、侵略の野望は一瞬で「零への熱烈なオタク語り」という、さらに濃密な時間へと昇華されたのであった。






【閑話休題】


《――告。先程の発言に矛盾を感知しました。マスターは「アニメ100本ノック」という名の強制視聴をケロン人に対し実行しております》
零「あ?んなもん、良いんだよ。あれは修行だし。普通の人間に強制は可哀想だろ?あいつらは宇宙人だから倫理的にはセーフだ」
《――了。承知致しました。マスターが「白」といえば「白」、「黒」といえば「黒」。ユニークスキルスキル『魔王の二重基準ダブルスタンダード』を確認致しました》
零「……おい、変なスキル増やすんじゃねえよ」




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