第一節・第二部『ケロロ小隊「オタク化」計画、始動!!』


「いいか!零殿は恐らくアニメの定番『ギャップ』に弱いと見たであります!我輩がたまに真面目な顔をして侵略プランを語れば……!」
「貴様、浅いぞ!俺が戦場での武功をアニメ的演出で語れば、師もきっと……!」
「違いますぅ!ここはボクの可愛さと狂気の二面性でぇ……!」
「ククッ……お前らの策じゃ、あの大賢者スマホに一瞬で見破られるぜぇ……?」

会議室はもはや「侵略」の二文字が霧散し、誰が一番に魔王(零)に甘やかされるかという、醜くも必死な迷走状態に陥っていた。その輪に入れず、一人涙目になっているドロロがポツリと溢す。



「ねぇ……なんで皆そんなにアニメに拘ってるの!?拙者にも教えてよぉ!」

その混沌を切り裂くように、会議室の頑丈な防音ドアが勢いよく蹴破られた。



零「おめぇら!さっきからうるせぇんだよ!んで、何 ドロロ聖人泣かせてんだ、ごらぁ!!」

乱入してきたのは、不機嫌を全身から漂わせた零だった。
実はこの魔王様、ドロロの「中の人」の大ファン。某バスケアニメの元不良主人公や、龍の玉を探すアニメの王子の息子など、彼女の推しリストの上位を独占する「声」の持ち主なのだ。



「え?え?なに?誰……?」

混乱するドロロの前で、零はスッと膝をつき、その青い手を優しく、かつ情熱的に握りしめた。他のバカ四匹を背景の置物のように無視して、至近距離で自己紹介を始める。



零「すまねぇな、ドロロ兵長。俺は鷹柴 零だ。……零って呼んでくれねぇか?ぜひ、君の……君だけの話を聞かせてほしいんだ」

普段は女性にしか発動しないはずの「限界プレイボーイ・モード」が、ドロロの声(聖域)を前に完全暴走。あまりの熱烈なアプローチに、ドロロは顔を真っ赤にして「あ、あの……拙者は……」と戸惑うばかり。
だが、それを背後で見ていた四匹の胸中に、ドス黒い「嫉妬」という名のマグマが噴出した。



《告。個体名:ケロロ、タママ、ギロロ、クルルの四名より、ドロロへの殺意に近い負の感情を検知。……マスター、このままでは基地が内部崩壊します》
零「チッ、面倒な奴らだな……」

零はドロロの手を握ったまま、背後の「嫉妬ガエル」たちを冷徹な眼差しで射抜いた。そして、彼らの欲望を煽り、一気にコントロール下に置くための「極上の餌」を放り投げる。



零「そこのバカ蛙共!今から24時間以内に、俺が思わず『最高だ』と零すような『地球侵略アトラクション』を見せてみろ!」

零は不敵に、そして妖艶に微笑んだ。



零「一番俺を驚かせ、満足させた奴には……。あぁ、そうだな。望む言葉でも、添い寝でも、なんだってくれてやるよ!」

その瞬間、会議室の温度が物理的に数度上がった。
「添い寝」というパワーワード。それは、一晩中アニメを観るよりも、ガンプラを貰うよりも、彼らの本能を狂わせるには十分すぎる「魔王の恩賞」だった。




「「「「…そ…そ、添い寝ぇぇぇぇぇ!!!???」」」」

目の色を変えた四匹と、その横で「そ、添い寝……修行でござるか?」と首を傾げる純粋なドロロ。

零(ドロロ……君は平和に、そのまま聖人でいてくれ…)






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