第一節・第二部『ケロロ小隊「オタク化」計画、始動!!』
夕暮れ時、日向家地下基地の作戦会議室。
重々しい扉が閉ざされ、ケロロ小隊の面々が顔を揃えていた。
「ようやく……ようやく
気炎を吐くギロロ伍長。だが、円卓の主座に座る軍曹の口から漏れたのは、侵略とは程遠い、あまりにも私欲に塗れた絶叫だった。
「
背後のスクリーンには昼間の様子が映し出されている。それを見ろ!と言わんばかりにドォォォン!と机を叩きつける軍曹。一瞬の静寂の後、会議室は別の意味で爆発した。
「侵略の話ではないのかぁぁぁ!!」
案の定キレるギロロ。しかし、隣のタママが目をキラキラさせて挙手する。
「確かにですぅ〜♪ボクも零さんに『タママ君は最高に可愛いね』って、なでなでされたら昇天しちゃうですぅ〜!」
「ククッ……褒められる?あいつに?……くだらねぇ」
そう言いつつタイピングを続けるクルルだったが、脳内では「(……もし俺様の技術を完璧に理解して賞賛しやがったら、その時は……)」と、隠しきれない淡い期待が顔を覗かせていた。
その周囲の反応に対してギロロも「そ、それを言うなら俺だって……あの地獄を完走した根性を……師に褒めて…」とモゴモゴ。
そんな中、珍しく、運良く、会議に参加(軍曹に少しでも知恵が欲しいと思われ、侵略ではないから!と誘われた)していた修行帰りのドロロだけが、完全に置いてけぼりで首を傾げている。
「……皆、さっきから誰の話をしているのでござろう?」
「とりあえず誰か、零殿に『さすが軍曹、最高だ!』と言わせる完璧な作戦はないのぉぉぉ!?」
ヒートアップする軍曹。もはや小隊の脳は、あの地獄の100本ノックを経て「零に、魔王様に認められたい」という欲望に焼き尽くされていた。
そこで、ドロロが控えめに手を挙げる。
「あのー……。拙者、その方のことは存じ上げぬが……。褒められたいのであれば、その御仁が一番喜ぶことをすれば良いのではござらんか?」
「「「「…………ッ!!」」」」
四人に電流走る。あまりにも正論。あまりにも盲点。
プレイボーイ(魔王)としての圧倒的なオーラに圧倒され、自分たちが「貢ぐ」という発想が抜け落ちていたのだ。
一方その頃。
隣の自宅の自室で、最新刊の漫画を片手にポテトチップスを齧っていた零は、鼻で笑った。
零「あいつら、まーた馬鹿なこと企んでんな。今度は何だ、俺を接待でもすんのか?」
《――告。音声傍受により、個体名:ドロロによる『献上品作戦』の立案を確認。放置しても実害はないと判断しますが、マスターのコレクションが増える好機かと。……いざとなれば、私が対処致します》
零「ククッ……。いいぜ、大賢者。あいつらがどんな『俺の喜ぶこと』を持ってくるか、見ものじゃねえか」
漫画のページをめくりながら、魔王様は自分への「貢ぎ物」の内容に、少しだけ期待を膨らませるのだった。
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