第一節・第二部『ケロロ小隊「オタク化」計画、始動!!』



ゲーミングチェアに深く腰掛け、スマホゲームを嗜んでいた零の脳内に、大賢者の無機質な声が響く。

《告。通気口より個体名『クルル』による精神浸食用ナノマシンの散布を確認。即座に『清浄結界』を展開しますか?》
零(ククッ……。あいつ、セロリの借りを速攻で取り返す気かよ。……大賢者、結界は不要だ。せっかくの『解析デート』なんだ、あいつの期待に乗ってやろうじゃねえか)

零は口角を薄らと上げ、大賢者に命じてナノマシンを体表に擬似吸着させ、バイタルデータを「情欲による高揚」へと偽装させた。スマホを椅子に置き、潤んだ瞳(演技)でゆっくりとクルルへ歩み寄る。



零「……なぁ、曹長。なんか、お前見てると……身体が熱いんだ。……お前のせい?」
「ク〜ックック! そうだぜぇ……。俺様のナノマシンに抗えるはずがねぇ……」

零に軽く腕を引っ張られながら、勝利を確信し、零を押し倒すような形になったクルル。だがその時、ラボの自動ドアが勢いよく開いた。



「曹長〜! ちょっとこれ見てほし……」
「クルル、すまんが銃火器の様子が……ッ!?」

入ってきたのは冬樹とギロロだった。彼らの目に飛び込んできたのは、顔を真っ赤にし、熱っぽい吐息を漏らしながらクルルに縋り付く零と、その上に伸し掛かるクルルの姿。



「え、ええぇぇっ!?れ、零さんが!クルルに!?そんなぁっ!?」
「き、貴様らぁぁあ!! 神聖なラボで何を破廉恥なことをぉぉぉっ!!」

冬樹の悲鳴とギロロの怒号が地下基地に木霊する。



「はぁ!?ちがっ……!?これは実験で……!」

慌てて身を引こうとするクルル。だが零はその首筋に顔を埋め、彼にしか聞こえない極小の声で、愉悦に満ちた囁きを落とした。



零「……なぁ、曹長。どーすんの、この状況?お前の『専用機おもちゃ』が……今にもお前に食い殺されそうに見えてるらしいぜ?」
(こいつ……!最初から気付いてやがったのか……!?)

策に溺れ、逆に零の「魔王の遊び」にハメられたことを悟ったクルル。首筋に感じる零の熱い吐息と、背後から突き刺さるギロロの殺意。天才クルル曹長、人生で初めて「詰んだ」という表情を浮かべた。
しかし、惨劇は終わらない。浮遊していたナノマシンを吸い込んだギロロまでもが「……零ぃぃぃぃ! 貴方という人はぁぁ!」と顔を真っ赤にして参戦。



(はぁ!?アンタもかよ!クソッ!収集がつかねぇ!)

冬樹が慌てて軍曹たちを呼びに走り、間もなく全員が集合。ナノマシンの存在が白日の下に晒され、元凶であるクルルは全会一致で「悪」と断定された。

数日後。日向家の台所で、フリフリエプロンを着せられ、ブツブツと文句を言いながら皿洗いをさせられているクルルの姿があった。



「ク〜クックックッ……俺様がなんでこんな……あの魔王め、絶対に解析してやるぜぇ……」

それを居間から眺め、零は夏美が淹れてくれたお茶を啜りながら、大賢者と共にクルルの新しい「調教メニュー」を練り上げるのであった。



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