第一節・第二部『ケロロ小隊「オタク化」計画、始動!!』


「おい、セロリの貸しだ。……ちょっと『解析デート』に付き合えよ」
零「……いいぜ、曹長。付き合ってやるよ」

朝食後の微睡みを切り裂くように自然に部屋へ不法侵入してきたクルルに、零は「天敵を消してくれた恩はあるか」と渋々腰を上げた。
連行された先は、重苦しい空気が停滞するクルルの秘密ラボ。無機質な機械の唸りと、怪しく明滅するモニターが支配する、いかにも陰気な「根暗天才の城」だ。
だが、招かれた側の零は、その湿っぽい空気を一蹴するようにスマホ(大賢者)を取り出した。



零「大賢者、聞こえるか? わりぃけど、この部屋、俺の趣味じゃねぇんだわ。『模様替え』頼む」
「は? 待て……お前、何を……ッ!?」

クルルの制止など露ほども介さず、大賢者の演算がラボの全システムを侵食する。刹那、メインサーバーの権限は強制奪取され、モニター群には零の「推しアニメ」の美麗なメインビジュアルがズラリと並んだ。無骨なスチール棚は瞬時に変形し、LEDが煌めく「最高級フィギュア展示用防湿ケース」へと姿を変えていく。
さらに、クルルが血眼で集めたケロン軍の極秘データは、あろうことか最新アニメをヌルヌル動かすための「超解像度アップスケーリング・エンジン」へと書き換えられてしまった。



「クク……!!? お、俺様のラボが……ッ!」
零「今日からここ、俺の第二の『オタク部屋』な。お前はその片隅で、せいぜい俺の快適なインフラを維持してろ。……な、俺の専用機ペットくん」

いつの間にか出現した最高級ゲーミングチェアに深く腰掛け、足を組んで不敵に笑う魔王・零。
自分の聖域を蹂躙された屈辱に震えながらも、クルルはその不遜な美しさに、またしても毒々しいまでの執着を膨らませていた。



(……ククッ、いいぜぇ。なら、その高みから引きずり落としてやるよぉ……)

零はそんな執着には露ほども気づかず、「天才の無駄遣い」と言わんばかりに、クルルへ『究極のファンアート制作(背景・音響・エフェクト担当)』を命じる。
クルルは従順なフリをして作業用キーボードを叩き始めた。だが、その裏では密かに、通気口を通じて特殊な霧を発生させていた。

『精神浸透用ナノマシン――クルル・パニックγ(惚れ薬)』



(……ク〜ックック!これでお前のその強気な瞳が、俺様への情欲でどう濁るか……じっくり拝ませてもらうぜぇ……!)

リラックスしてアニメ制作の指示を出す零の足元に、目に見えない「恋の毒霧」が静かに忍び寄る。




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