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ケーキ屋『Freyja』の扉には『closed』の札がかかっていた。
店内のカフェスペースには、俺とももが向かい合って座っている。
俺はふたりきりというシチュエーションと、店を閉めてまでももが俺のために時間を割いてくれたことにどきどきしながら、「で、話って何なん?」と促した。
「その、」
紅茶をひとくち飲んで、ももはテーブルの木目に視線を落としたまま、ぼそりと呟く。
「北人さんのことが、好きで」
俺のなかの何かが、一気に冷えていった。
「分かってるんです。芸能人の方を好きになるなんて、身の程知らずなのは。今ツアー中なんですよね?お忙しいのは分かってるんですけど、でも……お店に来て下さるたびに私の作るケーキがいちばん好きだって、言ってくれるから」
お願いだ、やめて。もうそれ以上なにも言わないで。
「気づいたら、好きになってました。壱馬さんなら同じグループで同じボーカルだし、きっと北人さんのこと色々と知ってるんじゃないかと思って」
もう少しだけ、君へのあまい恋心に溺れさせて。
「迷惑を承知でお願いします。壱馬さん、協力していただけませんか」
かけあしの春の使者は、あっという間に俺のもとを去っていってしまう。
夏も秋も一緒に連れ去って、俺のもとを訪れたのはただ切なく冷たい静かな冬だった。
あぁ、ダメだ。俺はこのブラックコーヒーのようにかっこいい男でいなくちゃ。
でも、上手く笑えている自信がない。
「…俺でいいなら。何でもしますよ」
店内のカフェスペースには、俺とももが向かい合って座っている。
俺はふたりきりというシチュエーションと、店を閉めてまでももが俺のために時間を割いてくれたことにどきどきしながら、「で、話って何なん?」と促した。
「その、」
紅茶をひとくち飲んで、ももはテーブルの木目に視線を落としたまま、ぼそりと呟く。
「北人さんのことが、好きで」
俺のなかの何かが、一気に冷えていった。
「分かってるんです。芸能人の方を好きになるなんて、身の程知らずなのは。今ツアー中なんですよね?お忙しいのは分かってるんですけど、でも……お店に来て下さるたびに私の作るケーキがいちばん好きだって、言ってくれるから」
お願いだ、やめて。もうそれ以上なにも言わないで。
「気づいたら、好きになってました。壱馬さんなら同じグループで同じボーカルだし、きっと北人さんのこと色々と知ってるんじゃないかと思って」
もう少しだけ、君へのあまい恋心に溺れさせて。
「迷惑を承知でお願いします。壱馬さん、協力していただけませんか」
かけあしの春の使者は、あっという間に俺のもとを去っていってしまう。
夏も秋も一緒に連れ去って、俺のもとを訪れたのはただ切なく冷たい静かな冬だった。
あぁ、ダメだ。俺はこのブラックコーヒーのようにかっこいい男でいなくちゃ。
でも、上手く笑えている自信がない。
「…俺でいいなら。何でもしますよ」