第5章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ、」
セキリュティ制御室に集まる面々の前で何やらキーボードを叩いていた昂秀が突然声を上げた。
「来ましたァ」
緊張感のない声に拍子抜けしつつも、1番大きなモニターにぱっと映し出された男の顔を見た途端一転して場の空気が張り詰める。
来栖だ。
先に襲撃した件の屋敷の一室らしき豪奢な洋室で、これまた高そうな椅子に腰掛ける男。落ち着きは取り戻したらしいが、しかしそのローブの袖口から覗く包帯は痛々しい。あおいさんが付けた背中の傷だろう。同情の余地などないのだが。
「ハッキング?」
「させました。逆探知もできる捨て回線ですけど。安全面は問題ないっスよ」
「やるじゃん」
満足そうに笑うやましょーさんに昂秀もニヤリと笑いかける。さすがはうちのサイベランス課のトップだ。全て想定の範囲内ということだろう。
来栖はそのロマンスグレーの瞳に憎悪の炎をメラメラと燃やしながら口を開いた。
「まさかお前があの女の娘とはな。忌々しい血が未だ絶やされていなかったというわけだ、悪魔の子め」
「貴方を殺すためなら悪魔と呼ばれようと構わないわ。目には目を、歯には歯を、外道には外道を。貴方に私のことが言えて?」
「私は世のためにあの穢れた地を浄化しただけに過ぎないさ。外道などとんでもない、私はアメリカのヒーローだよ」
「呆れたわ。愚かな男」
あおいさんは喉の奥で小さく嘲笑する。
奴のバックに付くのはアメリカ政府。敵は大きい。
しかし勝算はあった。なんせこちらは神をも恐れぬマフィアなのだから。法も体制も権力も、何の脅しにもなりはしない。
「お前を殺さねばならない、麻藤院あおい」
鷹揚に言ってのける画面の向こうの男を今すぐぶちのめしてやりたい衝動に駆られたが、隣に立つあおいさんが窘めるように俺の腕に触れた。視線が交わる。
「ゲームをしよう。先の対戦の続きだ」
「ゲーム?」
「ギャンブルだよ。私と君を引き合わせたギャンブルで、20年越しの決着を付けようじゃないか」
来栖の目は本気だった。
本気で『梟』に、ギャンブルの女神に挑もうとしているのだ。
「3番勝負だ。全て賭け事だとあまりにも芸がないから少し趣向をこらした内容を用意しよう。そこにいるTHE RAMPAGEの諸君も参加してもらって構わない。私もとっておきの手駒を連れていく。賭けるのは俺と君…互いの命だ」
誰かがごくりと喉を鳴らす。あおいさんがどんな表情をしているのか気になって視線を横に向ける。
ギャンブルの女神は、この上なく美しい顔で笑っていた。
「受けて立つわ」
セキリュティ制御室に集まる面々の前で何やらキーボードを叩いていた昂秀が突然声を上げた。
「来ましたァ」
緊張感のない声に拍子抜けしつつも、1番大きなモニターにぱっと映し出された男の顔を見た途端一転して場の空気が張り詰める。
来栖だ。
先に襲撃した件の屋敷の一室らしき豪奢な洋室で、これまた高そうな椅子に腰掛ける男。落ち着きは取り戻したらしいが、しかしそのローブの袖口から覗く包帯は痛々しい。あおいさんが付けた背中の傷だろう。同情の余地などないのだが。
「ハッキング?」
「させました。逆探知もできる捨て回線ですけど。安全面は問題ないっスよ」
「やるじゃん」
満足そうに笑うやましょーさんに昂秀もニヤリと笑いかける。さすがはうちのサイベランス課のトップだ。全て想定の範囲内ということだろう。
来栖はそのロマンスグレーの瞳に憎悪の炎をメラメラと燃やしながら口を開いた。
「まさかお前があの女の娘とはな。忌々しい血が未だ絶やされていなかったというわけだ、悪魔の子め」
「貴方を殺すためなら悪魔と呼ばれようと構わないわ。目には目を、歯には歯を、外道には外道を。貴方に私のことが言えて?」
「私は世のためにあの穢れた地を浄化しただけに過ぎないさ。外道などとんでもない、私はアメリカのヒーローだよ」
「呆れたわ。愚かな男」
あおいさんは喉の奥で小さく嘲笑する。
奴のバックに付くのはアメリカ政府。敵は大きい。
しかし勝算はあった。なんせこちらは神をも恐れぬマフィアなのだから。法も体制も権力も、何の脅しにもなりはしない。
「お前を殺さねばならない、麻藤院あおい」
鷹揚に言ってのける画面の向こうの男を今すぐぶちのめしてやりたい衝動に駆られたが、隣に立つあおいさんが窘めるように俺の腕に触れた。視線が交わる。
「ゲームをしよう。先の対戦の続きだ」
「ゲーム?」
「ギャンブルだよ。私と君を引き合わせたギャンブルで、20年越しの決着を付けようじゃないか」
来栖の目は本気だった。
本気で『梟』に、ギャンブルの女神に挑もうとしているのだ。
「3番勝負だ。全て賭け事だとあまりにも芸がないから少し趣向をこらした内容を用意しよう。そこにいるTHE RAMPAGEの諸君も参加してもらって構わない。私もとっておきの手駒を連れていく。賭けるのは俺と君…互いの命だ」
誰かがごくりと喉を鳴らす。あおいさんがどんな表情をしているのか気になって視線を横に向ける。
ギャンブルの女神は、この上なく美しい顔で笑っていた。
「受けて立つわ」