第5章
夢小説設定
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…私の名前は麻藤院あおい。スラム街の娼婦だった麻藤院莇の娘よ。
母は娼館で1番優しくて、1番美しいひとだった。
私は娼館の客であった父との間に望まずしてできた子供だったのだけど、母は堕ろせという娼館のオーナーの言葉に耳を貸すことなく私を産んでくれた。父の顔も知らない、すごく貧しい暮らしだったけど幸せだったわ。母が娼館で仕事をしている時は他の娼婦が可愛がってくれた。
…でも、そんな私が3歳になった頃に、彼が現れたの。
来栖雷蔵。
会社を設立したばかりで徐々に成功への階段を登っていた当時の彼は私たちスラム街の住人を見下していたけど、近くを通りかかった時に偶然見かけた母に一目惚れをした。そして素性を探り、傲慢にも自分の屋敷に呼び出すようになった。
スラム街と来栖の屋敷を往復する母を見送るうちに、もしかしたらこんな貧乏な暮らしを抜け出せるかもしれないとそう思ったわ。
でも、私は彼のことをどうしても好きになれなかった。母はだいぶぞっこんのようだったけど。
そのうち、彼は母によからぬことを吹き込むようになった。
母は自分を酷使してきた館のオーナーを少なからず憎んでいた。彼はベッドの中でその憎しみに少しずつ少しずつ空気を入れ、膨らませていったのよ。
そして歪に膨らんだその憎しみを爆発させたのも彼だった。
…来栖は館に火をつけるようそそのかした。館のオーナー諸共殺すようにね。
でも、母はできなかった。私が必死に説得をして、ギリギリのところで思いとどまったのよ。
………そう。火をつけたのは母じゃない。
来栖の手先が館に火をつけたの。
そしてそれはあっという間にあのスラム街中に燃え広がった。事前に仕込んであった爆弾や油に燃え移り、私の生まれ育った街は一夜にして灰になったわ。
今でも覚えている。逃げ惑う人々の悲鳴。親と行き別れた子供の鳴き声。死にゆく人々の断末魔。私と母は抱き合って震えながら、その光景を見ていることしかできなかった。
私が5歳の時の話よ。
母は娼館で1番優しくて、1番美しいひとだった。
私は娼館の客であった父との間に望まずしてできた子供だったのだけど、母は堕ろせという娼館のオーナーの言葉に耳を貸すことなく私を産んでくれた。父の顔も知らない、すごく貧しい暮らしだったけど幸せだったわ。母が娼館で仕事をしている時は他の娼婦が可愛がってくれた。
…でも、そんな私が3歳になった頃に、彼が現れたの。
来栖雷蔵。
会社を設立したばかりで徐々に成功への階段を登っていた当時の彼は私たちスラム街の住人を見下していたけど、近くを通りかかった時に偶然見かけた母に一目惚れをした。そして素性を探り、傲慢にも自分の屋敷に呼び出すようになった。
スラム街と来栖の屋敷を往復する母を見送るうちに、もしかしたらこんな貧乏な暮らしを抜け出せるかもしれないとそう思ったわ。
でも、私は彼のことをどうしても好きになれなかった。母はだいぶぞっこんのようだったけど。
そのうち、彼は母によからぬことを吹き込むようになった。
母は自分を酷使してきた館のオーナーを少なからず憎んでいた。彼はベッドの中でその憎しみに少しずつ少しずつ空気を入れ、膨らませていったのよ。
そして歪に膨らんだその憎しみを爆発させたのも彼だった。
…来栖は館に火をつけるようそそのかした。館のオーナー諸共殺すようにね。
でも、母はできなかった。私が必死に説得をして、ギリギリのところで思いとどまったのよ。
………そう。火をつけたのは母じゃない。
来栖の手先が館に火をつけたの。
そしてそれはあっという間にあのスラム街中に燃え広がった。事前に仕込んであった爆弾や油に燃え移り、私の生まれ育った街は一夜にして灰になったわ。
今でも覚えている。逃げ惑う人々の悲鳴。親と行き別れた子供の鳴き声。死にゆく人々の断末魔。私と母は抱き合って震えながら、その光景を見ていることしかできなかった。
私が5歳の時の話よ。