第三章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『やりましたよ先生!』
「…デジャヴ…………」
何だか前にもこんな展開があった気がする。
昼12時。日向さんからの電話で叩き起された私はすこぶる不機嫌だった。
『先生また夜更かししたんですか?藤原さんに怒られますよ!』
「うるさいなぁ……切りますよ」
『あっ待ってください!報告したいことがあるんです!』
私のお腹の上で日本号がくあ、と欠伸をした。
『直木賞です!すごいですよ、おめでとうございます先生!』
「あー…そうですか」
去年の9月に私が発表した作品、
『猫と月』。
表紙には私のタトゥーがデザインされ、本格長編ミステリとして大ヒットした。
舞台は1600年のスウェーデン。王国で最も美しいと評される現国王の第一皇子、レインホルドと、幼少期からその側近を務めてきた猫好き侍従長、エディ。
エディはレインホルドの美しさを「闇夜に輝く三日月のようだ」と評価し、レインホルドもまたエディに絶対の信頼を寄せていた。
しかし父王が謎の遺言を残して急死したことをきっかけに2人は権力闘争に巻き込まれ、レインホルドに謎の刺客が襲いかかる。
2人で支え合いながら先王の遺言の謎を解いた時、そこに悲しくも感動の真実が────────
おっと、ここまでにしておこう。ネタバレになっちゃうからね。
『何でそんなにテンション低いんですか!確かに先生は賞とかそういったものに興味ないかもしれないですけどね!この賞は権威あるものなんです!先生が才能ある小説家として認められた証拠なんですよ!』
「じゃあ日向さんがいつもみたいに私の分まで喜んどいてください。私はもう一眠りするんで」
スマホの向こうで感極まって泣き喚いている日向さんは暑苦しいことこの上ない。
まぁ私がスランプに陥った時に見捨てないでいてくれたし、日向さんのおかげで私は小説家になれたのだから、感謝はしているけど。
私が強制的に通話を終わらせようとしたその時、ふいに日向さんの笑い声が聞こえてきた。
『いえ、今回先生の分まで喜ぶのは僕だけじゃないです』
なんだコイツ、今さっきまで泣いてたのに。こわい。
ていうか日向さんだけじゃないって…
その時、玄関の方からガタンガタンと何やら騒がしい音がした。
私がぎょっと振り返ると同時に、寝室の扉が勢いよく開く。
そこに立っていたのは。
「い、樹……?」
「…デジャヴ…………」
何だか前にもこんな展開があった気がする。
昼12時。日向さんからの電話で叩き起された私はすこぶる不機嫌だった。
『先生また夜更かししたんですか?藤原さんに怒られますよ!』
「うるさいなぁ……切りますよ」
『あっ待ってください!報告したいことがあるんです!』
私のお腹の上で日本号がくあ、と欠伸をした。
『直木賞です!すごいですよ、おめでとうございます先生!』
「あー…そうですか」
去年の9月に私が発表した作品、
『猫と月』。
表紙には私のタトゥーがデザインされ、本格長編ミステリとして大ヒットした。
舞台は1600年のスウェーデン。王国で最も美しいと評される現国王の第一皇子、レインホルドと、幼少期からその側近を務めてきた猫好き侍従長、エディ。
エディはレインホルドの美しさを「闇夜に輝く三日月のようだ」と評価し、レインホルドもまたエディに絶対の信頼を寄せていた。
しかし父王が謎の遺言を残して急死したことをきっかけに2人は権力闘争に巻き込まれ、レインホルドに謎の刺客が襲いかかる。
2人で支え合いながら先王の遺言の謎を解いた時、そこに悲しくも感動の真実が────────
おっと、ここまでにしておこう。ネタバレになっちゃうからね。
『何でそんなにテンション低いんですか!確かに先生は賞とかそういったものに興味ないかもしれないですけどね!この賞は権威あるものなんです!先生が才能ある小説家として認められた証拠なんですよ!』
「じゃあ日向さんがいつもみたいに私の分まで喜んどいてください。私はもう一眠りするんで」
スマホの向こうで感極まって泣き喚いている日向さんは暑苦しいことこの上ない。
まぁ私がスランプに陥った時に見捨てないでいてくれたし、日向さんのおかげで私は小説家になれたのだから、感謝はしているけど。
私が強制的に通話を終わらせようとしたその時、ふいに日向さんの笑い声が聞こえてきた。
『いえ、今回先生の分まで喜ぶのは僕だけじゃないです』
なんだコイツ、今さっきまで泣いてたのに。こわい。
ていうか日向さんだけじゃないって…
その時、玄関の方からガタンガタンと何やら騒がしい音がした。
私がぎょっと振り返ると同時に、寝室の扉が勢いよく開く。
そこに立っていたのは。
「い、樹……?」