第三章
夢小説設定
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「…始まった」
俺は寮のテレビで、さくらの緊急記者会見の中継を見ていた。他のみんなも固唾を飲んで画面を食い入るように見つめている。
俺のせいで、さくらは今あそこにひとりで立っている。
俺のせいで、事務所やメンバーのみんなに迷惑をかけている。
それでもメンバーの15人は、俺を軽蔑したり怒ることはしなかった。
ちゃんと俺とさくらの関係を理解して、あまつさえかばおうとまでしてくれた。
だからこそ、心がこんなにも苦しいのだ。
『私と、THE RAMPAGEパフォーマーの藤原樹さんは、幼少期からずっと一緒に育ってきた幼なじみです。その意味では家族同然の、とても大切な存在です』
さくらは華奢な身体いっぱいにカメラのフラッシュを浴びて、それでも真っ直ぐに前を見て話している。
今すぐに隣に飛んでいって、俺が全て悪かったんだと叫びたい。
しかし、数時間前にHIROさんにそんなことをしてもまたさくらが批判を浴びるだけだと止められていた。
『私は、3ヶ月前にストーカー被害に会いました。その時に私を支えてくれたのが樹で…記事にあった通り、私の家に来て料理を作ったり、時には泊まっていくこともありました。しかし、私たちの間に恋愛感情はありませんでした。これは確信を持って言うことができます』
俺たちは恋人じゃない。
そんな浅い関係ではないのだ。
『私がつらい時には、いつも隣に樹がいました。樹がつらい時には、私がそばにいようと努めていました。私たちは、互いの存在が必要不可欠なんだと知っています』
さくらのアーモンド型をした大きな目が、僅かに潤む。
『私たちの間に恋愛感情はありません。しかし、かけがえのない存在であることは認めます。20年の人生を、ダンスと小説という全く違うジャンルではありますが、共に人に感動を届ける者として戦ってきた戦友なんです。樹なくして、今の私はありませんでした。これまでも、そしてこれからも。私は樹の隣で戦っていたい』
あぁ、零れる。
俺とさくらの瞳から、同時に一筋の涙が流れた。
『しかし、THE RAMPAGEのファンの皆様や私の読者の方々に不快な思いをさせてしまったのは事実。今回このような場を設けさせていただいたのは、ご迷惑をおかけした関係者の方々や不快な思いをさせてしまった皆様に謝罪をするためです。本当に申し訳ありませんでした』
ぽろぽろと涙を零しながら、さくらが深く頭を下げた。
声を殺して泣く俺の肩を、北人さんが引き寄せる。
『…THE RAMPAGEのみなさんや樹は、明後日から全国を回る初の単独ツアーのファイナル公演が始まる大切な時なんです。どうかそっとしておいてくださいませんか。今回の事態は私の甘さから起こってしまったこと…ご批判なら全て私に。お願いします。お願いします』
違う、違う。心が叫んでいた。
さくらは悪くない。かと言ってこれまでの俺たちが悪かったとも思わない。
どうして世間は俺たちを認めてはくれないのだろうか。
互いが互いをこんなにも思いあっているだけなのに。
「樹、大丈夫だから。俺たちはちゃんと分かってる」
俺の肩をさすりながら、北人さんが優しく言う。その言葉にはっとした。
そうか。
分かってくれる人はいる。
ちゃんと伝えれば、分かってくれる。
俺はある決意を胸に、涙を拭って力矢さんを見た。
「力矢さん。お願いがあります」
俺は寮のテレビで、さくらの緊急記者会見の中継を見ていた。他のみんなも固唾を飲んで画面を食い入るように見つめている。
俺のせいで、さくらは今あそこにひとりで立っている。
俺のせいで、事務所やメンバーのみんなに迷惑をかけている。
それでもメンバーの15人は、俺を軽蔑したり怒ることはしなかった。
ちゃんと俺とさくらの関係を理解して、あまつさえかばおうとまでしてくれた。
だからこそ、心がこんなにも苦しいのだ。
『私と、THE RAMPAGEパフォーマーの藤原樹さんは、幼少期からずっと一緒に育ってきた幼なじみです。その意味では家族同然の、とても大切な存在です』
さくらは華奢な身体いっぱいにカメラのフラッシュを浴びて、それでも真っ直ぐに前を見て話している。
今すぐに隣に飛んでいって、俺が全て悪かったんだと叫びたい。
しかし、数時間前にHIROさんにそんなことをしてもまたさくらが批判を浴びるだけだと止められていた。
『私は、3ヶ月前にストーカー被害に会いました。その時に私を支えてくれたのが樹で…記事にあった通り、私の家に来て料理を作ったり、時には泊まっていくこともありました。しかし、私たちの間に恋愛感情はありませんでした。これは確信を持って言うことができます』
俺たちは恋人じゃない。
そんな浅い関係ではないのだ。
『私がつらい時には、いつも隣に樹がいました。樹がつらい時には、私がそばにいようと努めていました。私たちは、互いの存在が必要不可欠なんだと知っています』
さくらのアーモンド型をした大きな目が、僅かに潤む。
『私たちの間に恋愛感情はありません。しかし、かけがえのない存在であることは認めます。20年の人生を、ダンスと小説という全く違うジャンルではありますが、共に人に感動を届ける者として戦ってきた戦友なんです。樹なくして、今の私はありませんでした。これまでも、そしてこれからも。私は樹の隣で戦っていたい』
あぁ、零れる。
俺とさくらの瞳から、同時に一筋の涙が流れた。
『しかし、THE RAMPAGEのファンの皆様や私の読者の方々に不快な思いをさせてしまったのは事実。今回このような場を設けさせていただいたのは、ご迷惑をおかけした関係者の方々や不快な思いをさせてしまった皆様に謝罪をするためです。本当に申し訳ありませんでした』
ぽろぽろと涙を零しながら、さくらが深く頭を下げた。
声を殺して泣く俺の肩を、北人さんが引き寄せる。
『…THE RAMPAGEのみなさんや樹は、明後日から全国を回る初の単独ツアーのファイナル公演が始まる大切な時なんです。どうかそっとしておいてくださいませんか。今回の事態は私の甘さから起こってしまったこと…ご批判なら全て私に。お願いします。お願いします』
違う、違う。心が叫んでいた。
さくらは悪くない。かと言ってこれまでの俺たちが悪かったとも思わない。
どうして世間は俺たちを認めてはくれないのだろうか。
互いが互いをこんなにも思いあっているだけなのに。
「樹、大丈夫だから。俺たちはちゃんと分かってる」
俺の肩をさすりながら、北人さんが優しく言う。その言葉にはっとした。
そうか。
分かってくれる人はいる。
ちゃんと伝えれば、分かってくれる。
俺はある決意を胸に、涙を拭って力矢さんを見た。
「力矢さん。お願いがあります」