第二章
夢小説設定
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「おいしい」
「よかった」
テーブルの向こうで、さくらは猫背ぎみに座って俺の手料理をもそもそ食べていた。
「一日中書いてたの?」
「そう。締切ギリギリのやつを何個かやっつけてた。たぶんそのうち日向さんが原稿取りに来る」
「ふーん」
あの新作のことは言うつもりはないらしい。
猫と月。
あの作品を読めば、さくらのタトゥーの意味が分かるのだろうか。
何だか微妙な気持ちだった。
作品として世に出して、世間の人と同じタイミングでタトゥーの意味を知る。
それが嫌だった。
タトゥーは身体の一部。さくらの密やかで大切なそれを、顔も分からない不特定多数の人に知って欲しくない。
俺だけが知っていればいいのに。
「タトゥー、また増やしたの?」
「ん、あぁそうそう。耳裏と、あと左手首と…あと右の脇腹」
そんなに入れたのか。
LDHの先輩はタトゥーを入れている人もいるし偏見はないけど、さすがに幼なじみが全身タトゥーになってたら嫌だ。適当なところで俺がストップをかけてやらないと。
俺のそんな心配もよそに、さくらは嬉しそうに新しいタトゥーを見せる。左手首の内側には『Throw Ya Fist』の文字が彫り込まれている。
それからさくらは服をまくり上げて脇腹を見せた。女性らしい柔らかいふくらみに沿うように、桜のトライバル模様。苗字の櫻川に準えているのだろうか。
ていうか俺だって男なんだからそんな際どいところまで見せないでほしい…と思ったけど普段いっしょに風呂入りたいとか言ってる俺も俺だった。
「手首のやつ、どういう意味?」
「拳を掲げろって意味。何となく語感が好きで入れてみた。ちょっとランペっぽいし」
「首のやつはがっつり『RMPG』だったよね。さっき見えた」
「そうそう。ちょっとランペファンアピールしてみた」
「俺らのファンじゃなくなったらどうすんの?」
何気なく俺が尋ねると、さくらは少し拗ねたように唇を尖らせた。
「私が樹やみんなのファンじゃなくなることなんて絶対ないよ。ずっと応援してやる」
「してやるって」
飽き性のさくらが断言してくれたことが嬉しくて、俺は顎の下を擽ってやる。さくらは気持ち良さげに目を細めていたが、そのうち撫でられるのも飽きたのか空の食器を持って立ち上がった。
「ごちそうさま。美味しかった」
「よかった」
テーブルの向こうで、さくらは猫背ぎみに座って俺の手料理をもそもそ食べていた。
「一日中書いてたの?」
「そう。締切ギリギリのやつを何個かやっつけてた。たぶんそのうち日向さんが原稿取りに来る」
「ふーん」
あの新作のことは言うつもりはないらしい。
猫と月。
あの作品を読めば、さくらのタトゥーの意味が分かるのだろうか。
何だか微妙な気持ちだった。
作品として世に出して、世間の人と同じタイミングでタトゥーの意味を知る。
それが嫌だった。
タトゥーは身体の一部。さくらの密やかで大切なそれを、顔も分からない不特定多数の人に知って欲しくない。
俺だけが知っていればいいのに。
「タトゥー、また増やしたの?」
「ん、あぁそうそう。耳裏と、あと左手首と…あと右の脇腹」
そんなに入れたのか。
LDHの先輩はタトゥーを入れている人もいるし偏見はないけど、さすがに幼なじみが全身タトゥーになってたら嫌だ。適当なところで俺がストップをかけてやらないと。
俺のそんな心配もよそに、さくらは嬉しそうに新しいタトゥーを見せる。左手首の内側には『Throw Ya Fist』の文字が彫り込まれている。
それからさくらは服をまくり上げて脇腹を見せた。女性らしい柔らかいふくらみに沿うように、桜のトライバル模様。苗字の櫻川に準えているのだろうか。
ていうか俺だって男なんだからそんな際どいところまで見せないでほしい…と思ったけど普段いっしょに風呂入りたいとか言ってる俺も俺だった。
「手首のやつ、どういう意味?」
「拳を掲げろって意味。何となく語感が好きで入れてみた。ちょっとランペっぽいし」
「首のやつはがっつり『RMPG』だったよね。さっき見えた」
「そうそう。ちょっとランペファンアピールしてみた」
「俺らのファンじゃなくなったらどうすんの?」
何気なく俺が尋ねると、さくらは少し拗ねたように唇を尖らせた。
「私が樹やみんなのファンじゃなくなることなんて絶対ないよ。ずっと応援してやる」
「してやるって」
飽き性のさくらが断言してくれたことが嬉しくて、俺は顎の下を擽ってやる。さくらは気持ち良さげに目を細めていたが、そのうち撫でられるのも飽きたのか空の食器を持って立ち上がった。
「ごちそうさま。美味しかった」