第二章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
3月。
俺はツアーの合間に出来た休みで、さくらの家を訪れた。
合鍵を使って勝手に上がりこむ。
玄関先から声をかけても返事がない。その代わりに日本号がとことことやって来た。
「にほ、さくらは?」
「にゃ」
日本号は俺を誘うようにリビングへと入っていく。もう昼の11時だというのに部屋はカーテンで日光が遮られ、薄暗かった。
物が散乱する部屋の中で、机に突っ伏して力尽きている華奢な背中。
「…また寝落ちして」
パソコンの画面には新しい作品だろうか、物語が書きかけのまま放置されている。
きっと深夜まで夢中になってこれを書いているうちに睡魔に負けたんだろう。
「にゃあ」
「起こすなって?分かってるよ」
俺はさくらを起こさないように慎重にその身体を抱き上げると寝室へと運んでいった。
小柄なにさくらは大きすぎるダブルサイズのベッド。寝相が悪くてすぐベッドから落ちるから、さくらはいつも大きめサイズのベッドを使っている。
そこにそっと寝かせると、すぐに猫のように丸くなった。
可愛い。
顔にかかった髪をさらりと後ろに流すと、耳の後ろから首筋にかけて新しいタトゥーが増えていることに気づく。
『RMPG』の飾り文字。
ぶわっと、身体が熱くなる。
やばい、すげぇ嬉しい。
その時さくらがごろりと寝返りを打った。もう少し見ていたかったが、気持ちよさそうに寝ているのを起こすのはしのびない。
「…さて」
家主が寝ているうちに部屋の掃除と洗濯。もはやさくらのパンツも無心で干せるようになってしまった。
冷蔵庫をのぞき込むと案の定スカスカだったので買ってきた食材で軽くおかずになりそうなものを作ってストックしておく。
「にゃー」
「自分のことはできなくてもにほの世話はちゃんとするのがあいつの不思議なところだね」
すっかり綺麗になった部屋のソファに座って日本号と遊んでいると、ふと立ち上げっぱなしのパソコン画面が目に入った。
そういえば、新作に手をつけたんだろうか。相変わらずハイペースだ。
俺は机の前に行って、マウスでスクロールしてみる。
題名、
『猫と月』。
「猫と月って…さくらのタトゥー…?」
「樹…?」
「うわっ」
突然背後からさくらの声がして、びくりと肩が跳ねる。別に悪いことをしていたわけではないのだけど、何となく後ろめたい気持ちだった。
でもさくらは寝ぼけ眼をこすりながらぼんやりと立っているだけ。
大丈夫、勝手にパソコンを見たのはバレてない。
「あれ…昨日どうしたんだっけ」
「寝落ちしてたよ」
「んあ~…そっか」
「お風呂入っておいで。お湯はっといたから」
「ありがと」
ふらふらと脱衣場に向かうさくらを見送って、ほっと息をつく。そんな俺を日本号がじっと見つめていた。
「にゃお」
「…何だよ」
俺はツアーの合間に出来た休みで、さくらの家を訪れた。
合鍵を使って勝手に上がりこむ。
玄関先から声をかけても返事がない。その代わりに日本号がとことことやって来た。
「にほ、さくらは?」
「にゃ」
日本号は俺を誘うようにリビングへと入っていく。もう昼の11時だというのに部屋はカーテンで日光が遮られ、薄暗かった。
物が散乱する部屋の中で、机に突っ伏して力尽きている華奢な背中。
「…また寝落ちして」
パソコンの画面には新しい作品だろうか、物語が書きかけのまま放置されている。
きっと深夜まで夢中になってこれを書いているうちに睡魔に負けたんだろう。
「にゃあ」
「起こすなって?分かってるよ」
俺はさくらを起こさないように慎重にその身体を抱き上げると寝室へと運んでいった。
小柄なにさくらは大きすぎるダブルサイズのベッド。寝相が悪くてすぐベッドから落ちるから、さくらはいつも大きめサイズのベッドを使っている。
そこにそっと寝かせると、すぐに猫のように丸くなった。
可愛い。
顔にかかった髪をさらりと後ろに流すと、耳の後ろから首筋にかけて新しいタトゥーが増えていることに気づく。
『RMPG』の飾り文字。
ぶわっと、身体が熱くなる。
やばい、すげぇ嬉しい。
その時さくらがごろりと寝返りを打った。もう少し見ていたかったが、気持ちよさそうに寝ているのを起こすのはしのびない。
「…さて」
家主が寝ているうちに部屋の掃除と洗濯。もはやさくらのパンツも無心で干せるようになってしまった。
冷蔵庫をのぞき込むと案の定スカスカだったので買ってきた食材で軽くおかずになりそうなものを作ってストックしておく。
「にゃー」
「自分のことはできなくてもにほの世話はちゃんとするのがあいつの不思議なところだね」
すっかり綺麗になった部屋のソファに座って日本号と遊んでいると、ふと立ち上げっぱなしのパソコン画面が目に入った。
そういえば、新作に手をつけたんだろうか。相変わらずハイペースだ。
俺は机の前に行って、マウスでスクロールしてみる。
題名、
『猫と月』。
「猫と月って…さくらのタトゥー…?」
「樹…?」
「うわっ」
突然背後からさくらの声がして、びくりと肩が跳ねる。別に悪いことをしていたわけではないのだけど、何となく後ろめたい気持ちだった。
でもさくらは寝ぼけ眼をこすりながらぼんやりと立っているだけ。
大丈夫、勝手にパソコンを見たのはバレてない。
「あれ…昨日どうしたんだっけ」
「寝落ちしてたよ」
「んあ~…そっか」
「お風呂入っておいで。お湯はっといたから」
「ありがと」
ふらふらと脱衣場に向かうさくらを見送って、ほっと息をつく。そんな俺を日本号がじっと見つめていた。
「にゃお」
「…何だよ」