第一章
夢小説設定
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トレーニングを終えて寮に帰ると、共用リビングで壱馬さんが本を読んでいた。
…あ。
「その本…」
「ん、あぁおかえり樹。これ、最近ちょっと人気になってきた作家の新作なんやけど、すげぇ面白くて」
壱馬さんはメンバーの中でも珍しい読書家で色んな本を持っているが、その作家の本を読んでいるのは初めて見た。
「あとこの作家が結構可愛いんよ。ほら」
壱馬さんが嬉しそうに、中表紙の作者紹介欄の写真を俺に見せた。
猫のようにミステリアスなアーモンドアイが印象的な美少女。
「俺よりいっこ下のミステリ作家なんやけどな。顔が可愛いから人気になってるって言う奴もおるみたいやけど俺は全然そう思わへん。トリックが『そう来たか!』って感じで最後の最後までビックリするし、比喩表現とか文体もすげぇ綺麗で色っぽいというか…普通の文学としてもハイレベルなんよ」
壱馬さんはそこまで一気に言ったところで、ふと俺の顔を見て怪訝な表情になった。
「…何でそんなニヤついてんの?」
そう言われて、俺は慌てて緩んだ頬にぐっと力をこめる。
しまった、喜びが顔に出てた。
「いや。別に」
「…?そっか」
読み終わったら貸したるから読んでみ?
壱馬さんはそう締めくくって読書に戻ろうとする。
「いや、俺その本持ってるんで大丈夫です」
「え?そうなん?樹、読書とかするタイプやっけ」
「まぁ…たまにっすけど」
「なんやそうなんか。じゃあ俺これさっさと読み終えるから、したら感想語り合おうな」
「っす」
さすがは壱馬さん、見る目がある。内心ニヤつきながら自分の部屋に入った。
その作家は、将来必ず日本を代表するミステリ作家になる人だから。
小さな本棚から、さっき壱馬さんが読んでいたものと同じ本を取り出す。中表紙に作者のプロフィールが載っていた。
【作者:櫻川さくら】
1997年生まれの現役高校生。福岡県出身。好きな動物は猫。
16歳の時に応募した短編が賞を受賞し、現役高校生作家として注目を集める。その後も精力的に新作の出版を続ける。
俺がいないと何もできないようなろくでもない奴だけど、なぜか放っておけない可愛い幼なじみ。
元気にしているだろうか。
…いや、あいつのことだからきっと今日も飄々と高校に通っているに違いない。
寂しいくらいは思ってほしいのに。
俺は読み込みすぎてすこし擦れてしまった背表紙を撫でながらため息をついた。
「俺は寂しいよ」
…あ。
「その本…」
「ん、あぁおかえり樹。これ、最近ちょっと人気になってきた作家の新作なんやけど、すげぇ面白くて」
壱馬さんはメンバーの中でも珍しい読書家で色んな本を持っているが、その作家の本を読んでいるのは初めて見た。
「あとこの作家が結構可愛いんよ。ほら」
壱馬さんが嬉しそうに、中表紙の作者紹介欄の写真を俺に見せた。
猫のようにミステリアスなアーモンドアイが印象的な美少女。
「俺よりいっこ下のミステリ作家なんやけどな。顔が可愛いから人気になってるって言う奴もおるみたいやけど俺は全然そう思わへん。トリックが『そう来たか!』って感じで最後の最後までビックリするし、比喩表現とか文体もすげぇ綺麗で色っぽいというか…普通の文学としてもハイレベルなんよ」
壱馬さんはそこまで一気に言ったところで、ふと俺の顔を見て怪訝な表情になった。
「…何でそんなニヤついてんの?」
そう言われて、俺は慌てて緩んだ頬にぐっと力をこめる。
しまった、喜びが顔に出てた。
「いや。別に」
「…?そっか」
読み終わったら貸したるから読んでみ?
壱馬さんはそう締めくくって読書に戻ろうとする。
「いや、俺その本持ってるんで大丈夫です」
「え?そうなん?樹、読書とかするタイプやっけ」
「まぁ…たまにっすけど」
「なんやそうなんか。じゃあ俺これさっさと読み終えるから、したら感想語り合おうな」
「っす」
さすがは壱馬さん、見る目がある。内心ニヤつきながら自分の部屋に入った。
その作家は、将来必ず日本を代表するミステリ作家になる人だから。
小さな本棚から、さっき壱馬さんが読んでいたものと同じ本を取り出す。中表紙に作者のプロフィールが載っていた。
【作者:櫻川さくら】
1997年生まれの現役高校生。福岡県出身。好きな動物は猫。
16歳の時に応募した短編が賞を受賞し、現役高校生作家として注目を集める。その後も精力的に新作の出版を続ける。
俺がいないと何もできないようなろくでもない奴だけど、なぜか放っておけない可愛い幼なじみ。
元気にしているだろうか。
…いや、あいつのことだからきっと今日も飄々と高校に通っているに違いない。
寂しいくらいは思ってほしいのに。
俺は読み込みすぎてすこし擦れてしまった背表紙を撫でながらため息をついた。
「俺は寂しいよ」