第一章
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「はい、今週も始まりました」
「「WEEKEND THE RAMPAGE!」」
「先週ね、ゲスト来るよってゲストさんの名前言ってんねんけど」
「うんうん」
「そのあとリスナーさんから『何でその人!?』って反応がかなりあったみたいで」
「俺も聞いた!THE RAMPAGEと全然関係ないじゃん、ていうかジャンル的に正反対じゃんって」
陣さんと陸さんがすっかり慣れた様子でオープニングトークを進めていく。
最初の頃はあんなに緊張でガチガチだったのになぁ…と親心のような思いで2人のトークを聞いていた。向かいの樹も黙って耳を傾けている。
「実は俺が出演のオファー出したんやけど。まぁ今回ね、この人が呼ばれた理由もしっかり聞いていきたいと思います!じゃあちょっと自己紹介してもらってもいいですか」
陣さんからのパス。
私と樹は目の前のマイクに向かって言った。
「THE RAMPAGEパフォーマーの藤原樹です」
「小説家の櫻川さくらです」
「何でこの2人~!!??」
「あはは、陣くんナイスツッコミ」
そう。私は今、陣さんと陸さんがパーソナリティを務めるラジオ、WEEKEND THE RAMPAGEに出演していた。
話が来たのは2週間前。陣さんから直々にオファーがあり、樹も一緒ならとOKしたのだ。
私は基本的にメディアへの出演は断っている。それは小説家の仕事じゃないと思っているから。
でもまぁ、それでも編集社から無理に出させられたりもするから世の中生きずらいわけだけど。
今回は私が特にごねることなく出演了承したということで、日向さんもすごく驚いていた。
「とりあえずさくらちゃんのプロフィールを俺から紹介します。櫻川さくらさんはミステリをメインに執筆活動を行う、福岡県出身の現在20歳!高校生の時から数々の賞を受賞し、去年の10月に『このミス大賞』を受賞したことで今、最も注目を集める小説家です」
陸さんから私のプロフィールの紹介がある。台本通り。
「すごいな、小説家の知り合いなんてさくらちゃんが初めてやで」
「あ、そうそう。俺たちね、実はさくらちゃんと前から知り合いなんだよね」
「どういう繋がりで!?てなる人も多いと思うんで、ちょっといっちゃん」
「はい」
「まずはさくらちゃんといっちゃんの関係について教えてくれる?まぁ俺らは知ってるんやけども、リスナーの人たちにね」
「はい」
樹と目が合った。思わず2人で笑ってしまう。
「実は俺とさくらは幼稚園からずっと一緒の幼なじみです」
エフェクトと共に効果音まで入って、陣さんと陸さんは手を叩いて歓声を上げた。
「いや~もうね、仲が良すぎるんやて2人!今もなんか目を合わせて微笑みあったりとかしてるし!何なん?」
「いや…ただの幼なじみです」
「ほんとに?好きだったりとかしないの?」
「この前もメンバーには言ったんですけど、もうそのレベルは超えました」
片想いの相手なのに私じゃない女の人とくっつけばいいと心の底から思ってるあたり、我ながらもはや片想いじゃない。
「こいつ俺がいないと何もできないんです」
「でも樹だって私がいないと寂しがるんです」
「うん、確かに幼なじみとかのレベルじゃないねそれはね。リスナーのみなさんも聞きたいこと沢山あると思うんですけど、とりあえずここで1曲かけておきましょう。じゃあさくらちゃん、曲紹介よろしく」
「はい。100degreesです。どうぞ」
去年の冬に発売された新曲が流れ始める。
この曲ランペっぽくて好きだなぁと思っていると、あっという間に曲が終わって次のコーナーに入っていった。
「はい、ここからは、ここまでのウィーケンを聞いた樹ファンの方から大量の感想メールが届いてるのでそれを紹介していこうかな。2人への質問がいっぱいあるで」
「え~、神奈川県の女性の方。『まさかの美男美女幼なじみって驚きです!しかもお互いのこと好きすぎませんか!?お互いの嫌いな所とかないんですか!?』だって。さくらちゃんどう?」
嫌いな所。そりゃずっと一緒にいれば合わないところも見えてくるけど。
「そうですね…どこだろう。未だにお風呂一緒に入りたがるところとか」
「は!?え、待ってや、いっちゃんそれガチ?」
「いや…だってここ4年は正月くらいしか会えてなかったから。短い時間だけでもずっと一緒にいたいじゃないですか」
「えっ、だからって風呂も一緒に入る!?2人とも20歳でしょ!?」
「まぁ…さくらなら別に恥ずかしくないし」
「恥ずかしいよ。私は嫌だよ」
一緒にお風呂に入っていたのなんて小学生くらいまでだ。私の思春期が始まったあたりからやめてしまった。
「知れば知るほどやばいね…樹のファン減っちゃうからこの話はこの辺にしとこ。逆に樹が思うさくらちゃんの嫌いな所ってある?」
陸さんに尋ねられた樹はしばらく考えてから、ぼそりと言った。
「自立できてないところ」
「例えば?」
「生活の全般は俺が面倒見てます」
「否定はしない」
「え、料理とか作ったりするん?」
「はい」
「私、小説書く以外に何もできなくて。福岡にいた頃は親任せにしてたんですけど、こっち来てからはたまに樹が来て、家事をやって帰っていく、みたいな生活してます」
「早く自立してほしい」
「ごめんね、多分私そういうのができない体質なんだと思う」
「もういっそ一緒に住めや…」
陣さんが呆然と呟いた。
「もう何か樹とさくらちゃんのイメージがどんどん壊れていく気しかしないので次!次のコーナー行こ!」
「タイトルコール陸さんやで」
「あ、そうか。じゃあ…おきにザランページ!」
いつも楽しみに聞いてるコーナーだ。まさかこれを私がやることになるとは思ってもみなかった。
「今回はゲストのさくらちゃんにやってもらおうかなと思うんやけど。ルールは大丈夫?」
「はい。いつも聞いてますから」
「おっありがとう!じゃあさっそく行ってみましょう!スタート!」
タイムリミットは60秒。その中で私が伝えたい、週末にオススメの『おきに』は…
「読書です」
「うん、でしょうね!小説家だもんね!」
「ちょっと陸さんうるさいよ」
「まぁ小説家の端くれとして、週末のリラックスタイムに読書をぜひおすすめしたくてですね。私、本を書く以前に読む側でいたいわけですよ。世の中にはたくさんの素敵な文章があるんです。いろんな作家さんのいろんな文章に触れて、フィクションの世界に浸るのってすごく大切なことなんです。自分が生きてるこの場所以外にも、世界はあるんです。感じていないだけで。その世界を目に見えるかたちにしてくれてるのが文字だと思うんです。だから本なんて読まないって人にも、ぜひ、読書をしていただきたいです!」
1分経過を告げるゴングが鳴った。
よし、ちゃんと伝えれたぞ。
ほっとして樹を見ると、樹はテーブルの向こうから手を伸ばして私の頬を指の甲で擽った。
「はいそこいちゃつかない!ほんまに油断も隙もないな」
「じゃあスタッフさんたちに何オキニか判定してもらいましょう」
『9オキニ!』
「…あと1人誰ですか」
樹が低い声で言った。あまりにもガチのトーンだったので思わず笑ってしまう。
「怒んなやいっちゃん怖いわ!ていうかさくらちゃんすごいで、過去最高記録や」
「やったぁ」
「すごいね、やっぱ頭のいい人が言うことって説得力あるんだよね」
「とんでもない…でもこれをきっかけに物語に興味を持ってくださる人がいれば嬉しいです」
そろそろ30分が経とうとしている。ラジオに出て話すのはあんまり好きじゃなかったけど、今日は楽しかった。
「それじゃあさくらちゃん、樹、ここまでのウィーケンどうだった?樹は2回目だけどさくらちゃんは初めてだよね」
「はい。さくらが一緒だから楽しかったです」
「さくらちゃんが一緒じゃない時は楽しくないみたいなこと言わないでくれる!?」
「あ、いや。そういう意味じゃ」
「私はメディアとかにはあまり出ないんですけど、とても楽しかったです」
「そうだよね。さくらちゃん文章が面白いとか可愛いとかですごい人気だけどテレビとかに出てるの見たことないもん」
「はい」
あっという間だったな。テレビとかの仕事だと早く終われしか思わないのに。
「それじゃあWEEKEND THE RAMPAGE、ボーカルの陸と!」
「リーダーの陣と!」
「パフォーマー藤原樹と」
「小説家の櫻川さくらでした」
「「ばいばーい!」」
「「WEEKEND THE RAMPAGE!」」
「先週ね、ゲスト来るよってゲストさんの名前言ってんねんけど」
「うんうん」
「そのあとリスナーさんから『何でその人!?』って反応がかなりあったみたいで」
「俺も聞いた!THE RAMPAGEと全然関係ないじゃん、ていうかジャンル的に正反対じゃんって」
陣さんと陸さんがすっかり慣れた様子でオープニングトークを進めていく。
最初の頃はあんなに緊張でガチガチだったのになぁ…と親心のような思いで2人のトークを聞いていた。向かいの樹も黙って耳を傾けている。
「実は俺が出演のオファー出したんやけど。まぁ今回ね、この人が呼ばれた理由もしっかり聞いていきたいと思います!じゃあちょっと自己紹介してもらってもいいですか」
陣さんからのパス。
私と樹は目の前のマイクに向かって言った。
「THE RAMPAGEパフォーマーの藤原樹です」
「小説家の櫻川さくらです」
「何でこの2人~!!??」
「あはは、陣くんナイスツッコミ」
そう。私は今、陣さんと陸さんがパーソナリティを務めるラジオ、WEEKEND THE RAMPAGEに出演していた。
話が来たのは2週間前。陣さんから直々にオファーがあり、樹も一緒ならとOKしたのだ。
私は基本的にメディアへの出演は断っている。それは小説家の仕事じゃないと思っているから。
でもまぁ、それでも編集社から無理に出させられたりもするから世の中生きずらいわけだけど。
今回は私が特にごねることなく出演了承したということで、日向さんもすごく驚いていた。
「とりあえずさくらちゃんのプロフィールを俺から紹介します。櫻川さくらさんはミステリをメインに執筆活動を行う、福岡県出身の現在20歳!高校生の時から数々の賞を受賞し、去年の10月に『このミス大賞』を受賞したことで今、最も注目を集める小説家です」
陸さんから私のプロフィールの紹介がある。台本通り。
「すごいな、小説家の知り合いなんてさくらちゃんが初めてやで」
「あ、そうそう。俺たちね、実はさくらちゃんと前から知り合いなんだよね」
「どういう繋がりで!?てなる人も多いと思うんで、ちょっといっちゃん」
「はい」
「まずはさくらちゃんといっちゃんの関係について教えてくれる?まぁ俺らは知ってるんやけども、リスナーの人たちにね」
「はい」
樹と目が合った。思わず2人で笑ってしまう。
「実は俺とさくらは幼稚園からずっと一緒の幼なじみです」
エフェクトと共に効果音まで入って、陣さんと陸さんは手を叩いて歓声を上げた。
「いや~もうね、仲が良すぎるんやて2人!今もなんか目を合わせて微笑みあったりとかしてるし!何なん?」
「いや…ただの幼なじみです」
「ほんとに?好きだったりとかしないの?」
「この前もメンバーには言ったんですけど、もうそのレベルは超えました」
片想いの相手なのに私じゃない女の人とくっつけばいいと心の底から思ってるあたり、我ながらもはや片想いじゃない。
「こいつ俺がいないと何もできないんです」
「でも樹だって私がいないと寂しがるんです」
「うん、確かに幼なじみとかのレベルじゃないねそれはね。リスナーのみなさんも聞きたいこと沢山あると思うんですけど、とりあえずここで1曲かけておきましょう。じゃあさくらちゃん、曲紹介よろしく」
「はい。100degreesです。どうぞ」
去年の冬に発売された新曲が流れ始める。
この曲ランペっぽくて好きだなぁと思っていると、あっという間に曲が終わって次のコーナーに入っていった。
「はい、ここからは、ここまでのウィーケンを聞いた樹ファンの方から大量の感想メールが届いてるのでそれを紹介していこうかな。2人への質問がいっぱいあるで」
「え~、神奈川県の女性の方。『まさかの美男美女幼なじみって驚きです!しかもお互いのこと好きすぎませんか!?お互いの嫌いな所とかないんですか!?』だって。さくらちゃんどう?」
嫌いな所。そりゃずっと一緒にいれば合わないところも見えてくるけど。
「そうですね…どこだろう。未だにお風呂一緒に入りたがるところとか」
「は!?え、待ってや、いっちゃんそれガチ?」
「いや…だってここ4年は正月くらいしか会えてなかったから。短い時間だけでもずっと一緒にいたいじゃないですか」
「えっ、だからって風呂も一緒に入る!?2人とも20歳でしょ!?」
「まぁ…さくらなら別に恥ずかしくないし」
「恥ずかしいよ。私は嫌だよ」
一緒にお風呂に入っていたのなんて小学生くらいまでだ。私の思春期が始まったあたりからやめてしまった。
「知れば知るほどやばいね…樹のファン減っちゃうからこの話はこの辺にしとこ。逆に樹が思うさくらちゃんの嫌いな所ってある?」
陸さんに尋ねられた樹はしばらく考えてから、ぼそりと言った。
「自立できてないところ」
「例えば?」
「生活の全般は俺が面倒見てます」
「否定はしない」
「え、料理とか作ったりするん?」
「はい」
「私、小説書く以外に何もできなくて。福岡にいた頃は親任せにしてたんですけど、こっち来てからはたまに樹が来て、家事をやって帰っていく、みたいな生活してます」
「早く自立してほしい」
「ごめんね、多分私そういうのができない体質なんだと思う」
「もういっそ一緒に住めや…」
陣さんが呆然と呟いた。
「もう何か樹とさくらちゃんのイメージがどんどん壊れていく気しかしないので次!次のコーナー行こ!」
「タイトルコール陸さんやで」
「あ、そうか。じゃあ…おきにザランページ!」
いつも楽しみに聞いてるコーナーだ。まさかこれを私がやることになるとは思ってもみなかった。
「今回はゲストのさくらちゃんにやってもらおうかなと思うんやけど。ルールは大丈夫?」
「はい。いつも聞いてますから」
「おっありがとう!じゃあさっそく行ってみましょう!スタート!」
タイムリミットは60秒。その中で私が伝えたい、週末にオススメの『おきに』は…
「読書です」
「うん、でしょうね!小説家だもんね!」
「ちょっと陸さんうるさいよ」
「まぁ小説家の端くれとして、週末のリラックスタイムに読書をぜひおすすめしたくてですね。私、本を書く以前に読む側でいたいわけですよ。世の中にはたくさんの素敵な文章があるんです。いろんな作家さんのいろんな文章に触れて、フィクションの世界に浸るのってすごく大切なことなんです。自分が生きてるこの場所以外にも、世界はあるんです。感じていないだけで。その世界を目に見えるかたちにしてくれてるのが文字だと思うんです。だから本なんて読まないって人にも、ぜひ、読書をしていただきたいです!」
1分経過を告げるゴングが鳴った。
よし、ちゃんと伝えれたぞ。
ほっとして樹を見ると、樹はテーブルの向こうから手を伸ばして私の頬を指の甲で擽った。
「はいそこいちゃつかない!ほんまに油断も隙もないな」
「じゃあスタッフさんたちに何オキニか判定してもらいましょう」
『9オキニ!』
「…あと1人誰ですか」
樹が低い声で言った。あまりにもガチのトーンだったので思わず笑ってしまう。
「怒んなやいっちゃん怖いわ!ていうかさくらちゃんすごいで、過去最高記録や」
「やったぁ」
「すごいね、やっぱ頭のいい人が言うことって説得力あるんだよね」
「とんでもない…でもこれをきっかけに物語に興味を持ってくださる人がいれば嬉しいです」
そろそろ30分が経とうとしている。ラジオに出て話すのはあんまり好きじゃなかったけど、今日は楽しかった。
「それじゃあさくらちゃん、樹、ここまでのウィーケンどうだった?樹は2回目だけどさくらちゃんは初めてだよね」
「はい。さくらが一緒だから楽しかったです」
「さくらちゃんが一緒じゃない時は楽しくないみたいなこと言わないでくれる!?」
「あ、いや。そういう意味じゃ」
「私はメディアとかにはあまり出ないんですけど、とても楽しかったです」
「そうだよね。さくらちゃん文章が面白いとか可愛いとかですごい人気だけどテレビとかに出てるの見たことないもん」
「はい」
あっという間だったな。テレビとかの仕事だと早く終われしか思わないのに。
「それじゃあWEEKEND THE RAMPAGE、ボーカルの陸と!」
「リーダーの陣と!」
「パフォーマー藤原樹と」
「小説家の櫻川さくらでした」
「「ばいばーい!」」