第一章
夢小説設定
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ライブ翌日。クリスマスイヴ。
年内のライブは福岡で最後ということで滞在時間は結構長い。俺たちはローカルのテレビやラジオ出演をこなし、なぜか全員で「さくら屋」に晩御飯を食べに来ていた。
「ごめんおじさん、おばさん…こんな大人数で」
「何言ってんだよ樹くん、俺たちは樹くんがこうやってTHE RAMPAGEのメンバーと一緒にご飯を食べに来てくれるのが夢だったんだよ」
あぁ、本当にいい人たちだ。ちょっと一人娘を溺愛しすぎてるところはあるけど。
ていうか、その一人娘はどこだ。
「樹、櫻川先生はどこや。ここが実家なんやろ」
「先生って…」
会って話したらきっとガッカリするだろうな壱馬さん、と思いながら俺はお酒を運んできてくれたおばさんにさくらの居場所を尋ねる。
「さくらなら今ネタ探しに散歩に出かけてるんだけど…たぶんそろそろ、」
そこまで言ったところで入口がガラリと開いた。
「ただいま~、お母さん今日の晩ごはん…」
コートにマフラー、そして飼い猫の日本号を腕に抱いたさくらはそこまで言ったところでようやく俺たちに気づく。
「…は?」
固まるさくらを、俺を除く15人が一斉に取り囲んだ。
「樹の幼なじみ?昨日ライブ来てくれてたよね?」
「誰推しですか?やっぱり樹さん?」
「え~近くで見るともっと可愛いね」
「ピアスばちばちに開いてるやん、清楚そうなのに意外とファンキーやな」
「樹の小さい頃の恥ずかしいエピソードとか教えてよ」
「小説家ってマジですか?」
みんなの勢いに恐れをなした日本号が俺のところに逃げてくる。それを抱き上げて、俺は止めるでもなくみんなの背中を眺めた。
あいつの焦った顔なんてなかなか見られないから、もう少し放っておこう。
と、プチパニック状態のさくらに壱馬さんがずいっと近づいた。
「あの、俺、THE RAMPAGEボーカルの川村壱馬っていうんですけど。先生の天才的なトリックとか、綺麗な文体とかが大好きで。ファンです、このミス大賞おめでとうございます」
「え、あ、どうも」
握手した手をぶんぶん振られて目を白黒させるさくら。人見知りが極限にまで達したのか、ぴゃっとみんなの間をすり抜けて俺の後ろに隠れてしまった。
「な、なんでうちにランペが大集合してんの」
「いや…みんなさくらに会いたいって言うから」
「なにゆえ…」
さくらは俺の服の裾をぎゅっと掴んで警戒心むき出しにみんなを伺っている。
可愛い。
「あ、すみません驚かせてしまって」
「やっぱ樹が1番か…」
あまりに怯えた様子にみんなも反省したのか、大人しくもとの席についた。それでもさくらは俺の後ろから出てこない。
「いい加減離せって。大丈夫だから」
「む、無理」
俺はため息をつくと、さくらの襟首を掴んで俺の隣の席にぽいっと座らせる。
「ほら、俺が隣にいるから」
「無理そうだったら速攻部屋に逃げるからね!」
「はいはい」
俺としては普通の会話のつもりだったが、周りで聞いていたみんなは「ふぅ~」と歓声を上げる。
「いっちゃんイケメン~」
「惚れますねこれは」
「は?」
確かに距離感がおかしいとか熟年夫婦かとか、今まで散々言われてきたけど俺たちとしては何がおかしいのかも分からない。長く一緒に居すぎたせいだと思うけど。
顔を見合わせる俺とさくらをよそに、力矢さんがジョッキを持って立ち上がる。
「それじゃ、年内のライブは昨日で最後だったということで、お疲れ様でした!来年のツアーも暴れ回っていきましょう!かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
年内のライブは福岡で最後ということで滞在時間は結構長い。俺たちはローカルのテレビやラジオ出演をこなし、なぜか全員で「さくら屋」に晩御飯を食べに来ていた。
「ごめんおじさん、おばさん…こんな大人数で」
「何言ってんだよ樹くん、俺たちは樹くんがこうやってTHE RAMPAGEのメンバーと一緒にご飯を食べに来てくれるのが夢だったんだよ」
あぁ、本当にいい人たちだ。ちょっと一人娘を溺愛しすぎてるところはあるけど。
ていうか、その一人娘はどこだ。
「樹、櫻川先生はどこや。ここが実家なんやろ」
「先生って…」
会って話したらきっとガッカリするだろうな壱馬さん、と思いながら俺はお酒を運んできてくれたおばさんにさくらの居場所を尋ねる。
「さくらなら今ネタ探しに散歩に出かけてるんだけど…たぶんそろそろ、」
そこまで言ったところで入口がガラリと開いた。
「ただいま~、お母さん今日の晩ごはん…」
コートにマフラー、そして飼い猫の日本号を腕に抱いたさくらはそこまで言ったところでようやく俺たちに気づく。
「…は?」
固まるさくらを、俺を除く15人が一斉に取り囲んだ。
「樹の幼なじみ?昨日ライブ来てくれてたよね?」
「誰推しですか?やっぱり樹さん?」
「え~近くで見るともっと可愛いね」
「ピアスばちばちに開いてるやん、清楚そうなのに意外とファンキーやな」
「樹の小さい頃の恥ずかしいエピソードとか教えてよ」
「小説家ってマジですか?」
みんなの勢いに恐れをなした日本号が俺のところに逃げてくる。それを抱き上げて、俺は止めるでもなくみんなの背中を眺めた。
あいつの焦った顔なんてなかなか見られないから、もう少し放っておこう。
と、プチパニック状態のさくらに壱馬さんがずいっと近づいた。
「あの、俺、THE RAMPAGEボーカルの川村壱馬っていうんですけど。先生の天才的なトリックとか、綺麗な文体とかが大好きで。ファンです、このミス大賞おめでとうございます」
「え、あ、どうも」
握手した手をぶんぶん振られて目を白黒させるさくら。人見知りが極限にまで達したのか、ぴゃっとみんなの間をすり抜けて俺の後ろに隠れてしまった。
「な、なんでうちにランペが大集合してんの」
「いや…みんなさくらに会いたいって言うから」
「なにゆえ…」
さくらは俺の服の裾をぎゅっと掴んで警戒心むき出しにみんなを伺っている。
可愛い。
「あ、すみません驚かせてしまって」
「やっぱ樹が1番か…」
あまりに怯えた様子にみんなも反省したのか、大人しくもとの席についた。それでもさくらは俺の後ろから出てこない。
「いい加減離せって。大丈夫だから」
「む、無理」
俺はため息をつくと、さくらの襟首を掴んで俺の隣の席にぽいっと座らせる。
「ほら、俺が隣にいるから」
「無理そうだったら速攻部屋に逃げるからね!」
「はいはい」
俺としては普通の会話のつもりだったが、周りで聞いていたみんなは「ふぅ~」と歓声を上げる。
「いっちゃんイケメン~」
「惚れますねこれは」
「は?」
確かに距離感がおかしいとか熟年夫婦かとか、今まで散々言われてきたけど俺たちとしては何がおかしいのかも分からない。長く一緒に居すぎたせいだと思うけど。
顔を見合わせる俺とさくらをよそに、力矢さんがジョッキを持って立ち上がる。
「それじゃ、年内のライブは昨日で最後だったということで、お疲れ様でした!来年のツアーも暴れ回っていきましょう!かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」