第一章
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「えー、と、いうわけで。今日の戦闘ではみんな大きな怪我もなく、さらに沢山の財宝と食料が手に入ったことを記念して祝杯を上げたいと思います!かんぱーい!」
「カリー!」
「健太いま何て?」
「うちなーぐちで『乾杯』っていう意味です!」
「それ健太と瑠唯しか分かんないから。ていうか陣くん、もう10回は乾杯してるよ?」
呆れ顔で笑う陸さんも頬が赤い。夜、海の真ん中で錨を下ろした私たちは酒盛りの真っ最中だった。
「私、お酒って初めて飲みました!この…レモンサワー?美味しいですね」
「飲みすぎ注意だよ。こうなるから」
樹さんが自分の膝を勝手に枕にして眠りこける北人さんの頬をつついた。どうやら北人さんはそれほどアルコールに強いわけではないらしい。
「えっ北人さんまだ5杯くらいしか飲んでないんじゃないすか」
驚く昂秀さん。その前には10杯以上の空のグラスが並んでいた。
「うみ、樹に口説かれてない?大丈夫?」
「えっ口説く…?」
「やめてくださいよ壱馬さん。うみびっくりしてるじゃないすか」
「ははっ、悪い。でも樹こう見えてけっこう遊んでるから気いつけや?」
「壱馬さんに言われたくないです」
否定はしないんだ。樹さんクールな感じなのに意外。
でも、海賊だもんな。自由さが売りの彼らにとっては女遊びなんてなんでもないことなのかも。
…もしかして、私もみんなに遊ばれてる?
「うみ?どうしたの?」
「えっ?あ、いえ…」
この船に乗ると決めた時から、心のどこかで引っかかっていたこと。
みんな優しさを装って、本当は人魚の長寿の力を狙っているんじゃないか。
私を攫った人間のように、私利私欲のために売り飛ばしたり殺されたりするんじゃないか。
と、不意に樹さんが甲板についた私の手に自分のそれを重ねた。
どくん
「樹さん…?」
「あの時も言ったけど、俺はうみの味方だよ。この船に乗ったなら、紛れもなく俺たちの仲間だから。ちゃんと家まで送り届けてあげる」
初めて知った、人間の温もり。
オークション会場で掴んだ樹さんの大きな手。
とても力強く、温かかった。
「な、何で」
「え?」
「何で、みなさんは初めて会った私にそんなに優しくしてくれるんですか。理由が分からないから、その、少し怖くて…」
宴はまだ終わらない。
楽しそうに酒を煽り、料理に舌鼓を打ち、大騒ぎするみんなはどこか遠くにいるようで。
「…俺たちは、」
ふいに樹さんが語りはじめた。
「みんな親がいないんだ。海賊や山賊に襲われて家族を失った。まだ自分で歩けもしないような頃にね」
私は驚いて樹さんの整った横顔を見上げる。膝の上ですやすや眠る北人さんの髪をいじりながら、樹さんは静かに続ける。
「そんな俺たちを拾ってくれた人がいて。有名な海賊船の船長で、色んな島を回って同じような境遇の子供を拾っては育ててた。俺たちに戦闘スキルを叩き込んだのもその人」
「…いい人なんですね」
「うん。感謝してもしきれない…だから家族と離れ離れになったっていううみの話を聞いて、俺たちもあの人がしてくれたみたいにみたいに誰かを助けなきゃって思ったんだ」
「え?」
私の手に重ねられた樹さんの手に力が篭って、指が絡み合う。
無口そうな樹さんがこれだけ話してくれるのは、酔っ払っているからだろうか。
「血の繋がる家族がいない俺たちだからこそ、その大切さはよく分かってる。俺たちにないものを持ってるうみには、それを大切にしてほしい」
「家族を?」
「そう」
樹さんが初めてこっちを見た。
茶色がかった瞳に、松明の炎が映り込んでゆらゆらと揺れている。
その真剣な眼差しに、心臓のどきどきが止まらなくなる。
「悪巧みとか、そういうのは一切ないってわかって欲しい。そりゃ俺たちはお尋ね者の海賊だけど、仁義は通すよ。弱い人には手を出さないし、助けを求められたら迷わず手を差し伸べる。あの時、オークション会場でうみは俺に助けを求めてた。だからこうして今、同じ船に乗ってるんだろ」
頭上の海賊旗がばさりとはためいた。
この人なら、この人たちなら。信じられる。
そう思えた。
みんなを疑っていた自分が恥ずかしい。
「すっすみません…私、」
「いいよ別に。怖がられるのは慣れてる」
樹さんがふっと視線をどんちゃん騒ぎの輪の中へ戻す。また元の取っ付きにくそうな無口な青年に戻ってしまった。
それでも、重なる手はそのまま。
何だかよく分からない人だ。私が松明に照らされるその横顔を見つめている、と。
「今日はよく喋るんだね樹」
「「!?」」
樹さんの膝の上で突然ぱっちり目を開けた北人さんに、私と樹さんはびくりと肩を震わせた。繋いでいた手が離れていく。
「北人さん…起きてたんならそこどいてくださいよ」
「どかない~」
北人さんはご機嫌そうに笑いながら頭をぐりぐりと樹さんの腿に押し付ける。
「うみの前だと饒舌になるのかな」
「俺いつもよく喋りますよ」
「俺と一緒にいる時は話しかけても返事しかしないじゃん」
「気のせいじゃないですか」
「もういいうみに膝枕してもらう」
北人さんが拗ねた表情で私のところへやってきた。「いい?」と上目遣いで尋ねられてはこちらも断れない。
北人さん綺麗な顔してるから余計にあざといんだよなぁ、なんて思っていると樹さんが北人さんの肩をがっと掴んだ。
「俺の太ももの方が絶対寝心地いいんで」
「えっ…何で私の太ももの寝心地知ってるんですか…?」
「やだ樹くんってば経験済み?」
「違います」
樹さんは強引に北人さんを膝枕すると、お酒をぐいっと飲み干した。
宴もたけなわ。力矢さんが北人さん、壱馬さん、陸さんを呼ぶ。
「新しい仲間も加わったことだし、うちの最高の楽士たちに美声を披露してもらおうよ」
「お、いいっすね」
楽士3人が円の中心に進み出た。
「歌ってくださるんですか?」
「そう。うちの楽士の歌はすごいんだよ」
樹さんがちょっと自慢げに新たなグラスを傾ける。
何だ、やっぱり北人さんのこと好きなんだ。
素直じゃないところが可愛らしくて、私はくすりと笑ってしまう。
「…何」
「ふふ、いえ。何でもないです」
そうこうしているうちに騒がしかった場が静まった。3人の歌が始まる。
綺麗なハーモニー。月夜の海に相応しい、しっとりとしたバラード。
はちみつのように甘く、さざなみのように爽やかで、そよ風のように心地よい。
人魚族として歌には自信があったが、この歌声は人魚族にも勝る美しさだ。
歌が終わっても、私はその余韻に浸っていた。
「どう?」
「すごいです…こんな…こんなに素敵な歌は初めて聞きました」
「ふふ、だろ」
次の歌は長調の楽しげな歌。お酒のグラス片手に踊り始める人もいて、この感じだと宴の終わりは当分先のようだ。
と、その時樹さんが何かを思い出したように「あ」と言った。
「そうだ、これ」
樹さんがおもむろにポケットから出したのは、綺麗なネックレス。トップには南国の海を思わせるネオンブルーの宝石があしらわれていた。
これはパライバトルマリン。トルマリンの中でも希少な色で、『幻の宝石』なんて言われるほどのもの。
石言葉は『原点 』。
「今日襲ったあの船の積荷の中にあった。あげる」
「えっ」
私が戸惑っていると、樹さんは私の肩を掴んで半ば無理やり背中を向かせ、首にそのネックレスを下げた。
首元に腕を回された時に耳に吐息がかかって、またどきりとしてしまう。
「はいOK」
「あ、ありがとうございます…」
改めてよく見てみる。
本当に綺麗な青色。吸い込まれそうだ。
「私が育った海と同じ色をしてます。嬉しい…本当に貰っちゃっていいんですか?」
「いいんじゃない、みんなシルバーアクセとかは好きだけどそういうのはあんまり興味ないみたいだし。あ、あと女物の服とかもあったから後で見ておいたら?」
私が言いたかったのはそういうことではないのだけど、それを言ってもはぐらかされそうな気がしたのでありがたくもらっておくことにした。
服越しに伝わるひんやりとした石の感触が心地よい。
私がニヤニヤしているのに気がついた樹さんが怪訝な表情で私を見た。
「…そんなに嬉しい?」
「あっいえ、あの、はい」
さっき壱馬さんも言っていたけど、女遊びの激しい(らしい)樹さんからしたらプレゼントなんて大したことないのだろう。
でも、今まで両親としか関わってこなかった私にとってはとても嬉しいことなのだ。
「両親以外の誰かからのプレゼントなんて初めてなので…大切にします、ありがとうございます!」
笑顔を向ける。
と、樹さんが一瞬だけ目を大きく見開いて私を見た。すぐにいつもの読めない表情にもどって顔をそらされてしまう。
「樹さん?」
「いや…何でもない」
ピアスの揺れる耳が赤い。
お酒のせい?
私が不思議がって首を傾げていると、歌に合わせて踊っていた瑠唯さんが私を呼んだ。
「うみ!一緒に踊ろうよ!」
「え、でも私ダンスなんて…」
「大丈夫大丈夫、なんくるないさー」
「なんく…?って、わ、」
瑠唯さんに手を引かれ、私は無理やり踊りの輪の中へ連れ込まれた。
その後ろで樹さんが顔を抑えているのにも気付かずに。
「はぁ…今のはやばいな」
「カリー!」
「健太いま何て?」
「うちなーぐちで『乾杯』っていう意味です!」
「それ健太と瑠唯しか分かんないから。ていうか陣くん、もう10回は乾杯してるよ?」
呆れ顔で笑う陸さんも頬が赤い。夜、海の真ん中で錨を下ろした私たちは酒盛りの真っ最中だった。
「私、お酒って初めて飲みました!この…レモンサワー?美味しいですね」
「飲みすぎ注意だよ。こうなるから」
樹さんが自分の膝を勝手に枕にして眠りこける北人さんの頬をつついた。どうやら北人さんはそれほどアルコールに強いわけではないらしい。
「えっ北人さんまだ5杯くらいしか飲んでないんじゃないすか」
驚く昂秀さん。その前には10杯以上の空のグラスが並んでいた。
「うみ、樹に口説かれてない?大丈夫?」
「えっ口説く…?」
「やめてくださいよ壱馬さん。うみびっくりしてるじゃないすか」
「ははっ、悪い。でも樹こう見えてけっこう遊んでるから気いつけや?」
「壱馬さんに言われたくないです」
否定はしないんだ。樹さんクールな感じなのに意外。
でも、海賊だもんな。自由さが売りの彼らにとっては女遊びなんてなんでもないことなのかも。
…もしかして、私もみんなに遊ばれてる?
「うみ?どうしたの?」
「えっ?あ、いえ…」
この船に乗ると決めた時から、心のどこかで引っかかっていたこと。
みんな優しさを装って、本当は人魚の長寿の力を狙っているんじゃないか。
私を攫った人間のように、私利私欲のために売り飛ばしたり殺されたりするんじゃないか。
と、不意に樹さんが甲板についた私の手に自分のそれを重ねた。
どくん
「樹さん…?」
「あの時も言ったけど、俺はうみの味方だよ。この船に乗ったなら、紛れもなく俺たちの仲間だから。ちゃんと家まで送り届けてあげる」
初めて知った、人間の温もり。
オークション会場で掴んだ樹さんの大きな手。
とても力強く、温かかった。
「な、何で」
「え?」
「何で、みなさんは初めて会った私にそんなに優しくしてくれるんですか。理由が分からないから、その、少し怖くて…」
宴はまだ終わらない。
楽しそうに酒を煽り、料理に舌鼓を打ち、大騒ぎするみんなはどこか遠くにいるようで。
「…俺たちは、」
ふいに樹さんが語りはじめた。
「みんな親がいないんだ。海賊や山賊に襲われて家族を失った。まだ自分で歩けもしないような頃にね」
私は驚いて樹さんの整った横顔を見上げる。膝の上ですやすや眠る北人さんの髪をいじりながら、樹さんは静かに続ける。
「そんな俺たちを拾ってくれた人がいて。有名な海賊船の船長で、色んな島を回って同じような境遇の子供を拾っては育ててた。俺たちに戦闘スキルを叩き込んだのもその人」
「…いい人なんですね」
「うん。感謝してもしきれない…だから家族と離れ離れになったっていううみの話を聞いて、俺たちもあの人がしてくれたみたいにみたいに誰かを助けなきゃって思ったんだ」
「え?」
私の手に重ねられた樹さんの手に力が篭って、指が絡み合う。
無口そうな樹さんがこれだけ話してくれるのは、酔っ払っているからだろうか。
「血の繋がる家族がいない俺たちだからこそ、その大切さはよく分かってる。俺たちにないものを持ってるうみには、それを大切にしてほしい」
「家族を?」
「そう」
樹さんが初めてこっちを見た。
茶色がかった瞳に、松明の炎が映り込んでゆらゆらと揺れている。
その真剣な眼差しに、心臓のどきどきが止まらなくなる。
「悪巧みとか、そういうのは一切ないってわかって欲しい。そりゃ俺たちはお尋ね者の海賊だけど、仁義は通すよ。弱い人には手を出さないし、助けを求められたら迷わず手を差し伸べる。あの時、オークション会場でうみは俺に助けを求めてた。だからこうして今、同じ船に乗ってるんだろ」
頭上の海賊旗がばさりとはためいた。
この人なら、この人たちなら。信じられる。
そう思えた。
みんなを疑っていた自分が恥ずかしい。
「すっすみません…私、」
「いいよ別に。怖がられるのは慣れてる」
樹さんがふっと視線をどんちゃん騒ぎの輪の中へ戻す。また元の取っ付きにくそうな無口な青年に戻ってしまった。
それでも、重なる手はそのまま。
何だかよく分からない人だ。私が松明に照らされるその横顔を見つめている、と。
「今日はよく喋るんだね樹」
「「!?」」
樹さんの膝の上で突然ぱっちり目を開けた北人さんに、私と樹さんはびくりと肩を震わせた。繋いでいた手が離れていく。
「北人さん…起きてたんならそこどいてくださいよ」
「どかない~」
北人さんはご機嫌そうに笑いながら頭をぐりぐりと樹さんの腿に押し付ける。
「うみの前だと饒舌になるのかな」
「俺いつもよく喋りますよ」
「俺と一緒にいる時は話しかけても返事しかしないじゃん」
「気のせいじゃないですか」
「もういいうみに膝枕してもらう」
北人さんが拗ねた表情で私のところへやってきた。「いい?」と上目遣いで尋ねられてはこちらも断れない。
北人さん綺麗な顔してるから余計にあざといんだよなぁ、なんて思っていると樹さんが北人さんの肩をがっと掴んだ。
「俺の太ももの方が絶対寝心地いいんで」
「えっ…何で私の太ももの寝心地知ってるんですか…?」
「やだ樹くんってば経験済み?」
「違います」
樹さんは強引に北人さんを膝枕すると、お酒をぐいっと飲み干した。
宴もたけなわ。力矢さんが北人さん、壱馬さん、陸さんを呼ぶ。
「新しい仲間も加わったことだし、うちの最高の楽士たちに美声を披露してもらおうよ」
「お、いいっすね」
楽士3人が円の中心に進み出た。
「歌ってくださるんですか?」
「そう。うちの楽士の歌はすごいんだよ」
樹さんがちょっと自慢げに新たなグラスを傾ける。
何だ、やっぱり北人さんのこと好きなんだ。
素直じゃないところが可愛らしくて、私はくすりと笑ってしまう。
「…何」
「ふふ、いえ。何でもないです」
そうこうしているうちに騒がしかった場が静まった。3人の歌が始まる。
綺麗なハーモニー。月夜の海に相応しい、しっとりとしたバラード。
はちみつのように甘く、さざなみのように爽やかで、そよ風のように心地よい。
人魚族として歌には自信があったが、この歌声は人魚族にも勝る美しさだ。
歌が終わっても、私はその余韻に浸っていた。
「どう?」
「すごいです…こんな…こんなに素敵な歌は初めて聞きました」
「ふふ、だろ」
次の歌は長調の楽しげな歌。お酒のグラス片手に踊り始める人もいて、この感じだと宴の終わりは当分先のようだ。
と、その時樹さんが何かを思い出したように「あ」と言った。
「そうだ、これ」
樹さんがおもむろにポケットから出したのは、綺麗なネックレス。トップには南国の海を思わせるネオンブルーの宝石があしらわれていた。
これはパライバトルマリン。トルマリンの中でも希少な色で、『幻の宝石』なんて言われるほどのもの。
石言葉は『
「今日襲ったあの船の積荷の中にあった。あげる」
「えっ」
私が戸惑っていると、樹さんは私の肩を掴んで半ば無理やり背中を向かせ、首にそのネックレスを下げた。
首元に腕を回された時に耳に吐息がかかって、またどきりとしてしまう。
「はいOK」
「あ、ありがとうございます…」
改めてよく見てみる。
本当に綺麗な青色。吸い込まれそうだ。
「私が育った海と同じ色をしてます。嬉しい…本当に貰っちゃっていいんですか?」
「いいんじゃない、みんなシルバーアクセとかは好きだけどそういうのはあんまり興味ないみたいだし。あ、あと女物の服とかもあったから後で見ておいたら?」
私が言いたかったのはそういうことではないのだけど、それを言ってもはぐらかされそうな気がしたのでありがたくもらっておくことにした。
服越しに伝わるひんやりとした石の感触が心地よい。
私がニヤニヤしているのに気がついた樹さんが怪訝な表情で私を見た。
「…そんなに嬉しい?」
「あっいえ、あの、はい」
さっき壱馬さんも言っていたけど、女遊びの激しい(らしい)樹さんからしたらプレゼントなんて大したことないのだろう。
でも、今まで両親としか関わってこなかった私にとってはとても嬉しいことなのだ。
「両親以外の誰かからのプレゼントなんて初めてなので…大切にします、ありがとうございます!」
笑顔を向ける。
と、樹さんが一瞬だけ目を大きく見開いて私を見た。すぐにいつもの読めない表情にもどって顔をそらされてしまう。
「樹さん?」
「いや…何でもない」
ピアスの揺れる耳が赤い。
お酒のせい?
私が不思議がって首を傾げていると、歌に合わせて踊っていた瑠唯さんが私を呼んだ。
「うみ!一緒に踊ろうよ!」
「え、でも私ダンスなんて…」
「大丈夫大丈夫、なんくるないさー」
「なんく…?って、わ、」
瑠唯さんに手を引かれ、私は無理やり踊りの輪の中へ連れ込まれた。
その後ろで樹さんが顔を抑えているのにも気付かずに。
「はぁ…今のはやばいな」