第二章
夢小説設定
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夜。
浜辺の洞窟の中で両親と共に眠っていた私は、誰かの気配で目が覚めた。
「誰…?」
洞窟の入口から差し込む月光。銀色のひかりに照らされて立っていたのは樹さんだった。
「樹さん、こんな夜中にどうしたん…」
言いかけた言葉は、樹さんの唇で遮られる。
骨の髄までとろけるようなキス。
本当はもっとして欲しいけど、そばにはお父さんとお母さんがいる。
「ん……樹さ、ここはちょっと…」
「しーっ」
樹さんは人差し指を唇の前に立てて「静かに」の合図をする。
あぁもう、いちいちかっこいい。
私がそのかっこよさに腹を立てていると、樹さんはいきなり私の身体を姫抱きに抱えあげた。
「!?」
一体どうしたんだろう。
私が戸惑っていると、ふいに洞窟の外がかっと明るくなった。
すぐ外の海にTHE RAMPAGEの船。松明を赤々と燃やしているため、そこだけまるで昼間のように明るかった。
「な、何だ!?どうした!?」
お父さんとお母さんが飛び起きる。私も樹さんに抱えられたまま呆然とその顔を見上げていた。
「俺は海賊THE RAMPAGEの戦闘員、藤原樹。冒険と猫とうみを愛する海の略奪者」
は?
突然どうしてしまったんだろう、この人は。
船の上でニヤニヤしているみんなからもその意図は読み取れなくて…
いや、何となく分かる気がする。
半年とはいえ、毎日同じ船の上で寝食を共にしてきたのだ。
みんながこういう顔をしている時。
それは、何か最高にワクワクするものを見つけた時。
「今宵、あなたたちの大切な一人娘を奪いに来た」
船上のメンバーが顔を真っ赤にして笑いを堪えているのも気にせず、樹さんは真顔で言ってのけた。
「えっと…樹さん、どうしたんですか急に?」
「うみのこれからの人生ごともらうから。これもう決定事項」
「えぇ?」
これは、何だ。
「俺が絶対に幸せにする。だからうみの全部、俺がもらう」
私はもう空いた口が塞がらない。
もしかして、
「もしかして、プロポーズしてますか…?」
私の想像していたプロポーズっていうのはもっとムードのある夕焼け色の浜辺で、運命の男の人(人魚でもいい)がロマンチックな言葉と共に真珠の指輪を私の指にはめてくれる、なんかもっとこう、
「ううん、プロポーズじゃない」
じゃないんかーい!
ひとりで先走ってしまった自分が恥ずかしい。私は頬を赤くして、樹さんの腕の中で縮こまった。
「プロポーズっていうのは申し込むことだろ。でもこれはもう決まってることだから」
「決まってるって」
「うみを絶対幸せにするって決めた。うみの全部を俺がもらうって決めたから」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
こんな、こんなの。
ずるい。
「樹さん…」
「ん?」
私は樹さんの胸に顔を埋めた。
真っ赤になった顔を見られるのが恥ずかしくて。
「かっこよすぎます…」
「知ってる」
樹さんはニヤリと笑うと、私を姫抱きにしたまま身を翻した。
「また1年後にここに戻ってくる。美味しい海の幸でも用意して待っておくんだな」
樹さんの傍若無人ぶりに、お父さんとお母さんは呆れ顔で笑う。
「これだから海賊は…」
お父さんは芝居がかったそぶりで頭を振った。
「抵抗空しく可愛い一人娘を奪われるのが無念でならない。俺たちは娘が悪名高い海賊団の一員として、仲間や愛するひとと共に幸福を手にすることを祈るとしよう。もしかしたら1年後、またここで成長した娘とその伴侶や仲間と共に宴を開けるかもしれないと予感しながら」
「お父さん…」
じゃあ、
「いってらっしゃいうみ…あぁ、じゃなかった。この場合は『お願い、行かないで』、かしら?」
お母さんが悪戯っぽく目をきらきらさせる。
私と樹さんは顔を見合わせて笑った。
愛する両親を振り返る。
「行ってきます!」
樹さんがぐっと腰を落として飛んだ。THE RAMPAGE号の甲板に着地する。
そこには、みんながいた。
かけがえのない仲間が。
「錨を上げろ!!出航だ!!」
「「おお!!」」
力矢さんの指示でばさりと帆が張られる。メインマストのてっぺんでは見慣れた握りこぶしの海賊旗がはためいている。
「樹さん」
「何?」
満月の夜に、17人の海賊THE RAMPAGEは新たな冒険へと繰り出していった。
「好きです」
「俺も。大好き」
浜辺の洞窟の中で両親と共に眠っていた私は、誰かの気配で目が覚めた。
「誰…?」
洞窟の入口から差し込む月光。銀色のひかりに照らされて立っていたのは樹さんだった。
「樹さん、こんな夜中にどうしたん…」
言いかけた言葉は、樹さんの唇で遮られる。
骨の髄までとろけるようなキス。
本当はもっとして欲しいけど、そばにはお父さんとお母さんがいる。
「ん……樹さ、ここはちょっと…」
「しーっ」
樹さんは人差し指を唇の前に立てて「静かに」の合図をする。
あぁもう、いちいちかっこいい。
私がそのかっこよさに腹を立てていると、樹さんはいきなり私の身体を姫抱きに抱えあげた。
「!?」
一体どうしたんだろう。
私が戸惑っていると、ふいに洞窟の外がかっと明るくなった。
すぐ外の海にTHE RAMPAGEの船。松明を赤々と燃やしているため、そこだけまるで昼間のように明るかった。
「な、何だ!?どうした!?」
お父さんとお母さんが飛び起きる。私も樹さんに抱えられたまま呆然とその顔を見上げていた。
「俺は海賊THE RAMPAGEの戦闘員、藤原樹。冒険と猫とうみを愛する海の略奪者」
は?
突然どうしてしまったんだろう、この人は。
船の上でニヤニヤしているみんなからもその意図は読み取れなくて…
いや、何となく分かる気がする。
半年とはいえ、毎日同じ船の上で寝食を共にしてきたのだ。
みんながこういう顔をしている時。
それは、何か最高にワクワクするものを見つけた時。
「今宵、あなたたちの大切な一人娘を奪いに来た」
船上のメンバーが顔を真っ赤にして笑いを堪えているのも気にせず、樹さんは真顔で言ってのけた。
「えっと…樹さん、どうしたんですか急に?」
「うみのこれからの人生ごともらうから。これもう決定事項」
「えぇ?」
これは、何だ。
「俺が絶対に幸せにする。だからうみの全部、俺がもらう」
私はもう空いた口が塞がらない。
もしかして、
「もしかして、プロポーズしてますか…?」
私の想像していたプロポーズっていうのはもっとムードのある夕焼け色の浜辺で、運命の男の人(人魚でもいい)がロマンチックな言葉と共に真珠の指輪を私の指にはめてくれる、なんかもっとこう、
「ううん、プロポーズじゃない」
じゃないんかーい!
ひとりで先走ってしまった自分が恥ずかしい。私は頬を赤くして、樹さんの腕の中で縮こまった。
「プロポーズっていうのは申し込むことだろ。でもこれはもう決まってることだから」
「決まってるって」
「うみを絶対幸せにするって決めた。うみの全部を俺がもらうって決めたから」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
こんな、こんなの。
ずるい。
「樹さん…」
「ん?」
私は樹さんの胸に顔を埋めた。
真っ赤になった顔を見られるのが恥ずかしくて。
「かっこよすぎます…」
「知ってる」
樹さんはニヤリと笑うと、私を姫抱きにしたまま身を翻した。
「また1年後にここに戻ってくる。美味しい海の幸でも用意して待っておくんだな」
樹さんの傍若無人ぶりに、お父さんとお母さんは呆れ顔で笑う。
「これだから海賊は…」
お父さんは芝居がかったそぶりで頭を振った。
「抵抗空しく可愛い一人娘を奪われるのが無念でならない。俺たちは娘が悪名高い海賊団の一員として、仲間や愛するひとと共に幸福を手にすることを祈るとしよう。もしかしたら1年後、またここで成長した娘とその伴侶や仲間と共に宴を開けるかもしれないと予感しながら」
「お父さん…」
じゃあ、
「いってらっしゃいうみ…あぁ、じゃなかった。この場合は『お願い、行かないで』、かしら?」
お母さんが悪戯っぽく目をきらきらさせる。
私と樹さんは顔を見合わせて笑った。
愛する両親を振り返る。
「行ってきます!」
樹さんがぐっと腰を落として飛んだ。THE RAMPAGE号の甲板に着地する。
そこには、みんながいた。
かけがえのない仲間が。
「錨を上げろ!!出航だ!!」
「「おお!!」」
力矢さんの指示でばさりと帆が張られる。メインマストのてっぺんでは見慣れた握りこぶしの海賊旗がはためいている。
「樹さん」
「何?」
満月の夜に、17人の海賊THE RAMPAGEは新たな冒険へと繰り出していった。
「好きです」
「俺も。大好き」
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