第二章
夢小説設定
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大きな波がふわりと、私たち17人を包み込んだ。
透明な水と泡とが私たちの頭の上を寄せて、引いていく。
まるで、弔うように。
「樹さん」
額を合わせたまま、傷が残る樹さんの頬に手を添わせる。
その瞼がもう開かないことを、私は知っている。
眠るように目を閉じる樹さんの顔が、空気に溶けるように滲んだ。
波が樹さんの魂と一緒に私の恋を連れていってくれたから。
やっと、泣ける。
「大丈夫です。ちゃんと、届いたから」
波のなかで言った最後の1文字も、ちゃんと聞こえたから。
私の瞳から零れた涙は樹さんの頬に触れた瞬間に薄い桃色の宝石に変わる。
ローズクォーツ。
「だから、」
石言葉は、真実の愛。
「いかないで」
そっと、くちづける。
唇を重ねている間も涙は絶えず落ち、まるいローズクォーツが砂の上に散らばる。
周りで立ち尽くすみんなも、静かに泣いていた。
仲間の魂を海へと送り出すために。
くちびるを離す。
眠っているようなその顔を撫でて、私はもういちど呟いた。
「お願い。いかないで…」
声を上げて泣いた。その身体をかき抱いて、泣きじゃくった。
まだ温かい。まるで生きてるみたいだ。
生きて…
樹さんの手がぴくりと動いた。
「…え、」
私は身体を離して、樹さんの顔を覗き込んだ。
伏せられていたまつ毛が震え、ゆっくりと持ち上がる。
「───────────────────うみ」
透明な水と泡とが私たちの頭の上を寄せて、引いていく。
まるで、弔うように。
「樹さん」
額を合わせたまま、傷が残る樹さんの頬に手を添わせる。
その瞼がもう開かないことを、私は知っている。
眠るように目を閉じる樹さんの顔が、空気に溶けるように滲んだ。
波が樹さんの魂と一緒に私の恋を連れていってくれたから。
やっと、泣ける。
「大丈夫です。ちゃんと、届いたから」
波のなかで言った最後の1文字も、ちゃんと聞こえたから。
私の瞳から零れた涙は樹さんの頬に触れた瞬間に薄い桃色の宝石に変わる。
ローズクォーツ。
「だから、」
石言葉は、真実の愛。
「いかないで」
そっと、くちづける。
唇を重ねている間も涙は絶えず落ち、まるいローズクォーツが砂の上に散らばる。
周りで立ち尽くすみんなも、静かに泣いていた。
仲間の魂を海へと送り出すために。
くちびるを離す。
眠っているようなその顔を撫でて、私はもういちど呟いた。
「お願い。いかないで…」
声を上げて泣いた。その身体をかき抱いて、泣きじゃくった。
まだ温かい。まるで生きてるみたいだ。
生きて…
樹さんの手がぴくりと動いた。
「…え、」
私は身体を離して、樹さんの顔を覗き込んだ。
伏せられていたまつ毛が震え、ゆっくりと持ち上がる。
「───────────────────うみ」