第二章
夢小説設定
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「ん…」
硬い甲板の上で目が覚めた。
眠っているうちに人魚に戻ってしまったようで、スカートの下からにょっきりヒレが生えている。
他のみんなも騒ぎ疲れたのか、折り重なってあちこちでごろ寝していた。
真夜中、月は雲に隠れてしまっていた。
船の上はすっかり寝静まっている。
「喉乾いた…」
私は二本足になって起き上がると、寝ているみんなを踏まないように気をつけながら水樽が置いてある甲板の端まで歩いていく。
「…あ、樹さん」
樽にもたれ、刀に抱きつくようにして眠っていたのは樹さん。
その姿が何だか面白くて、私はその前にしゃがみこんだ。
THE RAMPAGEの誰かと恋愛するんだったら。
さっきの会話を思い出して、勝手に顔が熱くなる。
(ごめんなさい樹さん)
人魚なんかと恋に落ちるなんてありえないとは分かってるんです。
好きとかじゃないけれど、でも、やっぱりあなたは私を狭い水槽から連れ出してくれたヒーローだから。
もし初めての恋をするのならば、樹さんがいい。
樹さんじゃないと…
気持ちよさそうに寝ているのを起こさないように、そうっとその頬に触れてみる。
無駄な肉がついてなくて、すべすべしていた。
(あったかい…)
…いやいや。何をやっているんだ私は。
頭を振って立ち上がろうとした、その時。
「え、」
ぐいっと手を引っ張られて、ころんと床に転がる。
どん、と私の耳の横の床に手をついたのは。
「樹さん…?」
真上から見下ろしてくる樹さんの顔は影になって、どんな表情をしているのか全く分からない。
ていうかこの体勢が分からない。
寝ていたんじゃなかったのか。寝ぼけているのだろうか。
「うみ」
低い声で名前を呼ばれただけなのに。
背骨がぞくりと甘く震えた。
私は声を出すこともできずに、ただ樹さんを見上げている。
「俺を選んでくれたなら、いいよね」
「…え?」
選んだ?
まさか、さっきの会話聞かれてた?
頭の中はぐちゃぐちゃなのに、身体は痺れたように動かない。
いいって何?何がいいの?
ねぇ、
樹さん────────────────────
ふわり
気がついた時には、唇が重なっていた。
柔らかくて、あたたかくて、レモンサワーの味。
一瞬のようで、永遠にも感じられる時間。
ちゅ、と音を立てて唇が離れる。
さっと月が雲の合間から顔を出して、樹さんの顔を照らした。
「…な、」
何で。
「うみ」
何で、そんなに幸せそうな顔をしてるんですか。
そんなに綺麗な顔で微笑まれたら、
わたし、
と、私がパニックになりかけたところでふいに床についていた樹さんの手からかくんと力が抜けた。
どさりと私の上に樹さんの逞しい身体が覆いかぶさる。
「えっ、ちょ、樹さっ…」
他の人を起こさないようにひそひそ声で樹さんの身体を引き剥がそうとするがびくともしない。
しかも、よくよく聞いてみると。
「すー…すー…」
「寝てる…」
まじか。何でこの状況で寝られるんだ。
ぴったり密着した身体から樹さんの体温が伝わってきて、私は寝るどころじゃないというのに。
どうすることもできず、満月の空を見上げながら私は呆然と呟いた。
「私の…ファーストキス……」
硬い甲板の上で目が覚めた。
眠っているうちに人魚に戻ってしまったようで、スカートの下からにょっきりヒレが生えている。
他のみんなも騒ぎ疲れたのか、折り重なってあちこちでごろ寝していた。
真夜中、月は雲に隠れてしまっていた。
船の上はすっかり寝静まっている。
「喉乾いた…」
私は二本足になって起き上がると、寝ているみんなを踏まないように気をつけながら水樽が置いてある甲板の端まで歩いていく。
「…あ、樹さん」
樽にもたれ、刀に抱きつくようにして眠っていたのは樹さん。
その姿が何だか面白くて、私はその前にしゃがみこんだ。
THE RAMPAGEの誰かと恋愛するんだったら。
さっきの会話を思い出して、勝手に顔が熱くなる。
(ごめんなさい樹さん)
人魚なんかと恋に落ちるなんてありえないとは分かってるんです。
好きとかじゃないけれど、でも、やっぱりあなたは私を狭い水槽から連れ出してくれたヒーローだから。
もし初めての恋をするのならば、樹さんがいい。
樹さんじゃないと…
気持ちよさそうに寝ているのを起こさないように、そうっとその頬に触れてみる。
無駄な肉がついてなくて、すべすべしていた。
(あったかい…)
…いやいや。何をやっているんだ私は。
頭を振って立ち上がろうとした、その時。
「え、」
ぐいっと手を引っ張られて、ころんと床に転がる。
どん、と私の耳の横の床に手をついたのは。
「樹さん…?」
真上から見下ろしてくる樹さんの顔は影になって、どんな表情をしているのか全く分からない。
ていうかこの体勢が分からない。
寝ていたんじゃなかったのか。寝ぼけているのだろうか。
「うみ」
低い声で名前を呼ばれただけなのに。
背骨がぞくりと甘く震えた。
私は声を出すこともできずに、ただ樹さんを見上げている。
「俺を選んでくれたなら、いいよね」
「…え?」
選んだ?
まさか、さっきの会話聞かれてた?
頭の中はぐちゃぐちゃなのに、身体は痺れたように動かない。
いいって何?何がいいの?
ねぇ、
樹さん────────────────────
ふわり
気がついた時には、唇が重なっていた。
柔らかくて、あたたかくて、レモンサワーの味。
一瞬のようで、永遠にも感じられる時間。
ちゅ、と音を立てて唇が離れる。
さっと月が雲の合間から顔を出して、樹さんの顔を照らした。
「…な、」
何で。
「うみ」
何で、そんなに幸せそうな顔をしてるんですか。
そんなに綺麗な顔で微笑まれたら、
わたし、
と、私がパニックになりかけたところでふいに床についていた樹さんの手からかくんと力が抜けた。
どさりと私の上に樹さんの逞しい身体が覆いかぶさる。
「えっ、ちょ、樹さっ…」
他の人を起こさないようにひそひそ声で樹さんの身体を引き剥がそうとするがびくともしない。
しかも、よくよく聞いてみると。
「すー…すー…」
「寝てる…」
まじか。何でこの状況で寝られるんだ。
ぴったり密着した身体から樹さんの体温が伝わってきて、私は寝るどころじゃないというのに。
どうすることもできず、満月の空を見上げながら私は呆然と呟いた。
「私の…ファーストキス……」