第二章
夢小説設定
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「いいなぁ俺らの船にも人魚乗せてぇなぁ!」
「こんな可愛い人魚いたら航海ももっと楽しくなりそう」
「THE RAMPAGEはやめて俺らのところ来ない?」
EXILE号、甲板。
私はコワモテの男の人に囲まれてビビりまくっていた。
さっきから私の隣を陣取って動かない樹さんが、私にしか聞こえないような声でぼそりと呟く。
「だから紹介したくなかったのに…」
EXILE号にはEXILEとTHE RAMPAGEの総勢31人が集まって宴の真っ最中。みんな私に興味津々だった。
と、そこへひとりの男が船室から現れる。
「こらこら、怖がってるだろ。程々にしとけよ」
私は思わずびくりと肩を震わせた。
その人のオーラというか、迫力があまりにもすごかったから。
カリスマ性、とでも言うのだろうか。
EXILEのみなさんは平然としているが、樹さん含めTHE RAMPAGEのみんなはちょっと緊張してるみたい。
「誰ですか?」
樹さんにこそっと尋ねる。樹さんはその男性に視線を固定したまま低い声で答えた。
「…HIROさん。この船の船長で、船団LDHの頭……俺たちを拾って育ててくれた人。最強と謳われる海賊のひとりだよ」
と、その時だった。
HIROさんが消えた、と思ったら樹さんの目の前に現れる。
そのくらい速い動きだった。
ひゅ
「っ!」
樹さんは顔面目掛けて繰り出された膝蹴りをとっさに仰け反って交わし、そのまま立ち上がると反撃に出た。
「え、な、どうしたんですか!?」
2人は味方同士のはずじゃ…
戸惑う私の肩にぽん、と手を置いたのは啓司さん。
「大丈夫、あれ遊んでるだけだから」
「遊んでる…?あれで…?」
「ま、最初はビビるよね。でもTHE RAMPAGEの奴ら身体頑丈だし、死にはしないからまぁ見てなよ。ていうかもっと飲んだら?」
頑丈とか、そういう問題じゃない気がするんだけど…
勝手に私のグラスにお酒を注ぐ啓司さんをよそに、私は不安を抱えて打ち込みあう2人を見つめる。
と。
耳を塞ぎたくなるような音がして、樹さんのみぞおちにHIROさんの拳が食いこんだ。
「樹さんっ!」
こちらに向かって吹っ飛んでくる樹さんの身体。それを何でもないようにAKIRAさんが受け止めた。
「げほっ、かはっ……ぅあ~…効いた」
「もうちょっとだったな」
「だ、大丈夫ですか!?」
樹さんの頭を自分の膝に乗せて、上からのぞき込む。
「あぁ、うん。平気」
やばい音したけど、なんで平気なんだろう。確かに身体は頑丈みたいだけど…
次にHIROさんと戦っているのは慎さん。
しかしあと少しというところで顎をかち上げられダウン、間髪入れずに壱馬さんがHIROさんに飛びかかった。
「弟分の仇は兄貴が取らないと、か?」
「そういうことです」
目に見えないほどの速さで拳を繰り出し合う2人。
しかし壱馬さんも吹っ飛ばされ、さらに北人さんが襲いかかり、次に昂秀さん、瑠唯さん…気がついた時にはTHE RAMPAGE全員がノされていた。
EXILEさんの歓声が上がる。
「何だ、すげぇ強くなったなあいつら」
亜嵐さんが感心したように言う。「それ負けた奴に言うセリフじゃないっすよ」と頭をさすりながら翔吾さんが起き上がった。
「はは、久しぶりだなお前ら。少し見ないうちに随分成長した」
HIROさんは戦いでついたコートの汚れを軽く払うと、くるりと私に視線を向けた。思わずびくっと身体が跳ねてしまう。
「人魚か。俺はLDHの頭、HIRO。会えて嬉しいよ」
口調と表情は至って穏やか。さっきまでみんなとドンパチやっていた雰囲気は全くない。
「あっ、私、うみと言います。THE RAMPAGEのみなさんにはお世話になっております!」
「固くならなくていい。今夜は宴、無礼講で行こう」
HIROさんはそう笑うとグラスのレモンサワーをぐいっと飲み干した。
途端にTHE RAMPAGEのみんなも何事も無かったかのように起き上がって騒ぎ始める。
「…な、何だったんですか今のは」
「挨拶みたいなもんだよ」
「挨拶!?」
私の膝の上で、樹さんはため息をつく。
「前も言っただろ。俺たちが言葉も話せないような頃から戦闘スキルを叩き込んだのはHIROさんだ。1年半前にTHE RAMPAGEとして独立してからも、たまに会うとこうやって俺たちが鍛錬を怠ってないかチェックしてる」
「な、なるほど…愛のムチですね」
「そんな感じ」
敬浩さんが私に膝枕されたままの樹さんを見てニヤニヤ笑う。
「出た、樹のにゃんにゃん女落としテクニック。うみちゃん気をつけなよ?」
「やめてください。膝枕だったら俺の腿の方が絶対気持ちいいです」
「それこの前も言ってましたけどどっからその自信が湧いてくるんですか」
私は呆れるけど、それでも樹さんは動く気配がない。見かねたのか、HIROさんが私の隣にやってきた。
「樹がすげぇ懐いてる」
懐いてる、というのだろうか。これは。
「ほら、メンディーが久しぶりにジェネのサポメンと喋りたいって言ってたからあっち行ってこい。俺は人魚とサシで飲みたい」
「…手ぇ出さないでくださいよ」
「分かってるよ」
樹さんは妙にピリピリした様子だったけどHIROさんには逆らえないのか、大人しく起き上がってメンディーさんの方に歩いていった。
私はと言えばHIROさんの迫力でちょっと緊張している。
「…力矢から聞いた。あいつらに家に送ってもらってるんだって?」
「あ、はい。オークションにかけられてたところを樹さんと翔平さんが助けてくださったのがきっかけで…」
「そっか。大変だったね」
「はい。でも、今は楽しいです。みなさんと一緒にいると飽きないですし」
「ふふ、ならよかった」
HIROさんは慈しむような目線をTHE RAMPAGEのみんなに向けている。
お父さんみたいだと思った。
「…あいつらがまだ寝返りしかできないような頃から知ってるけど、こうやって一緒に酒を飲めるようになったのかと思うと感慨深いな」
「HIROさんがみんなを育てたんですよね?」
「俺だけの力じゃないけどね」
HIROさん曰く、各地の島に隠れ家のような場所を作ってそこで育てていたと。
「大変だったよ。樹と慎と龍と北人は人見知りだし、力矢は兄貴離れが中々できなくて。健太と瑠唯は育った島の島民性かもしれないけどマイペースすぎたし。彰吾と壱馬と陣あたりはすげぇとんがっててさ。あとは陸と翔吾、それから拓磨と海青が結構泣き虫で」
「えっ海青さんあんなに強そうなのに…意外です」
「あんな筋肉ゴリゴリになったの最近のことだよ?あとは…翔平は野生児って感じで手がつけられなくてさ。昂秀は超インドアだから訓練嫌がるし…」
それがこんなに大きくなっちゃって、と目尻にシワを寄せる様子は本当にお父さんのようだった。
「こんな可愛い人魚いたら航海ももっと楽しくなりそう」
「THE RAMPAGEはやめて俺らのところ来ない?」
EXILE号、甲板。
私はコワモテの男の人に囲まれてビビりまくっていた。
さっきから私の隣を陣取って動かない樹さんが、私にしか聞こえないような声でぼそりと呟く。
「だから紹介したくなかったのに…」
EXILE号にはEXILEとTHE RAMPAGEの総勢31人が集まって宴の真っ最中。みんな私に興味津々だった。
と、そこへひとりの男が船室から現れる。
「こらこら、怖がってるだろ。程々にしとけよ」
私は思わずびくりと肩を震わせた。
その人のオーラというか、迫力があまりにもすごかったから。
カリスマ性、とでも言うのだろうか。
EXILEのみなさんは平然としているが、樹さん含めTHE RAMPAGEのみんなはちょっと緊張してるみたい。
「誰ですか?」
樹さんにこそっと尋ねる。樹さんはその男性に視線を固定したまま低い声で答えた。
「…HIROさん。この船の船長で、船団LDHの頭……俺たちを拾って育ててくれた人。最強と謳われる海賊のひとりだよ」
と、その時だった。
HIROさんが消えた、と思ったら樹さんの目の前に現れる。
そのくらい速い動きだった。
ひゅ
「っ!」
樹さんは顔面目掛けて繰り出された膝蹴りをとっさに仰け反って交わし、そのまま立ち上がると反撃に出た。
「え、な、どうしたんですか!?」
2人は味方同士のはずじゃ…
戸惑う私の肩にぽん、と手を置いたのは啓司さん。
「大丈夫、あれ遊んでるだけだから」
「遊んでる…?あれで…?」
「ま、最初はビビるよね。でもTHE RAMPAGEの奴ら身体頑丈だし、死にはしないからまぁ見てなよ。ていうかもっと飲んだら?」
頑丈とか、そういう問題じゃない気がするんだけど…
勝手に私のグラスにお酒を注ぐ啓司さんをよそに、私は不安を抱えて打ち込みあう2人を見つめる。
と。
耳を塞ぎたくなるような音がして、樹さんのみぞおちにHIROさんの拳が食いこんだ。
「樹さんっ!」
こちらに向かって吹っ飛んでくる樹さんの身体。それを何でもないようにAKIRAさんが受け止めた。
「げほっ、かはっ……ぅあ~…効いた」
「もうちょっとだったな」
「だ、大丈夫ですか!?」
樹さんの頭を自分の膝に乗せて、上からのぞき込む。
「あぁ、うん。平気」
やばい音したけど、なんで平気なんだろう。確かに身体は頑丈みたいだけど…
次にHIROさんと戦っているのは慎さん。
しかしあと少しというところで顎をかち上げられダウン、間髪入れずに壱馬さんがHIROさんに飛びかかった。
「弟分の仇は兄貴が取らないと、か?」
「そういうことです」
目に見えないほどの速さで拳を繰り出し合う2人。
しかし壱馬さんも吹っ飛ばされ、さらに北人さんが襲いかかり、次に昂秀さん、瑠唯さん…気がついた時にはTHE RAMPAGE全員がノされていた。
EXILEさんの歓声が上がる。
「何だ、すげぇ強くなったなあいつら」
亜嵐さんが感心したように言う。「それ負けた奴に言うセリフじゃないっすよ」と頭をさすりながら翔吾さんが起き上がった。
「はは、久しぶりだなお前ら。少し見ないうちに随分成長した」
HIROさんは戦いでついたコートの汚れを軽く払うと、くるりと私に視線を向けた。思わずびくっと身体が跳ねてしまう。
「人魚か。俺はLDHの頭、HIRO。会えて嬉しいよ」
口調と表情は至って穏やか。さっきまでみんなとドンパチやっていた雰囲気は全くない。
「あっ、私、うみと言います。THE RAMPAGEのみなさんにはお世話になっております!」
「固くならなくていい。今夜は宴、無礼講で行こう」
HIROさんはそう笑うとグラスのレモンサワーをぐいっと飲み干した。
途端にTHE RAMPAGEのみんなも何事も無かったかのように起き上がって騒ぎ始める。
「…な、何だったんですか今のは」
「挨拶みたいなもんだよ」
「挨拶!?」
私の膝の上で、樹さんはため息をつく。
「前も言っただろ。俺たちが言葉も話せないような頃から戦闘スキルを叩き込んだのはHIROさんだ。1年半前にTHE RAMPAGEとして独立してからも、たまに会うとこうやって俺たちが鍛錬を怠ってないかチェックしてる」
「な、なるほど…愛のムチですね」
「そんな感じ」
敬浩さんが私に膝枕されたままの樹さんを見てニヤニヤ笑う。
「出た、樹のにゃんにゃん女落としテクニック。うみちゃん気をつけなよ?」
「やめてください。膝枕だったら俺の腿の方が絶対気持ちいいです」
「それこの前も言ってましたけどどっからその自信が湧いてくるんですか」
私は呆れるけど、それでも樹さんは動く気配がない。見かねたのか、HIROさんが私の隣にやってきた。
「樹がすげぇ懐いてる」
懐いてる、というのだろうか。これは。
「ほら、メンディーが久しぶりにジェネのサポメンと喋りたいって言ってたからあっち行ってこい。俺は人魚とサシで飲みたい」
「…手ぇ出さないでくださいよ」
「分かってるよ」
樹さんは妙にピリピリした様子だったけどHIROさんには逆らえないのか、大人しく起き上がってメンディーさんの方に歩いていった。
私はと言えばHIROさんの迫力でちょっと緊張している。
「…力矢から聞いた。あいつらに家に送ってもらってるんだって?」
「あ、はい。オークションにかけられてたところを樹さんと翔平さんが助けてくださったのがきっかけで…」
「そっか。大変だったね」
「はい。でも、今は楽しいです。みなさんと一緒にいると飽きないですし」
「ふふ、ならよかった」
HIROさんは慈しむような目線をTHE RAMPAGEのみんなに向けている。
お父さんみたいだと思った。
「…あいつらがまだ寝返りしかできないような頃から知ってるけど、こうやって一緒に酒を飲めるようになったのかと思うと感慨深いな」
「HIROさんがみんなを育てたんですよね?」
「俺だけの力じゃないけどね」
HIROさん曰く、各地の島に隠れ家のような場所を作ってそこで育てていたと。
「大変だったよ。樹と慎と龍と北人は人見知りだし、力矢は兄貴離れが中々できなくて。健太と瑠唯は育った島の島民性かもしれないけどマイペースすぎたし。彰吾と壱馬と陣あたりはすげぇとんがっててさ。あとは陸と翔吾、それから拓磨と海青が結構泣き虫で」
「えっ海青さんあんなに強そうなのに…意外です」
「あんな筋肉ゴリゴリになったの最近のことだよ?あとは…翔平は野生児って感じで手がつけられなくてさ。昂秀は超インドアだから訓練嫌がるし…」
それがこんなに大きくなっちゃって、と目尻にシワを寄せる様子は本当にお父さんのようだった。