第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その夜から1ヶ月が経ったある昼下がり。
俺たちは海賊の象徴である髑髏マークの黒い旗をはためかせながらとある島に着港した。
「じゃあ今から船番グループと買い出しグループに別れて行動な。買い出しグループは1時間後にまたここに戻ってきてくれ」
「「うーす」」
船長、力矢さんの指示。
俺は翔平たちと共に買い出しへ向かう。
約1週間ぶりの大地。俺は靴越しにその感触を踏みしめながら街へと入った。
「この島はカジノとかクラブとか、そういうエンターテインメントなものが多いらしい」
陣さんの言う通り、まだ昼間なのにあちこちのカジノやクラブから歓声が上がっている。
いや、歓声だけじゃない。
怒声、銃声、許しを乞う悲痛な声。
どうやらここを訪れる海の荒くれ者は俺たちだけではないらしい。
「カジノ…ギャンブル…」
「ダメっすよ健太さん」
「わ、分かってるよ!」
声が裏返ってるあたり、本当に嘘がつけない人だ。
俺に咎められてもなお、健太さんの視線はあちこちに忙しなく注がれている。
と、ふいにその目がひとつの大きな建物で止まった。一際多くの人が集まり、なにやら大層な騒ぎとなっている。
「陣さん、あれなんすか?」
「ん?あー…なんやろ、分からへん」
俺たちもつられてそっちを見る。野次馬根性が刺激されたのか、翔平がその辺の通行人を引っ捕まえて尋ねる。
「すいません、あれ、何ですか?」
「え?あぁ、あそこはこの島で1番大きいオークション会場だよ」
「オークション?」
「あんたら外から来た人かい?なら知らないか。あそこはまぁ、人身売買みたいな、非合法なものも競りに出されるんだよ。だからこそこの島は海賊とか、裏の社会の権力人とかが沢山来てくれて潤ってる」
この島の住人だというその中年男性は好奇心で目を輝かせて俺たちに教えてくれた。
「それはまぁ、置いといてだな。今日のオークションに人魚が出品されるって噂だぜ」
人魚。
心臓がどくんと高鳴る。
「人魚ぉ!?ニセモノでしょどうせ」
昂秀が素っ頓狂な声をあげた。他のみんなもうんうんと頷いている。
そうだ、どうせニセモノだ。人魚なんているはずがない。
でも。
どうしてもあの夜の影が頭をよぎってしまうのだ。
買い出しのために再び歩き出したメンバーの最後尾で、俺は会場を振り返った。
本当にいるのなら見てみたいと思うのが冒険者の性なのだ。
「翔平、翔平」
翔平とは小さい頃から一緒にいすぎて今は逆にぎこちないけど、だからこそこいつの性格はよく分かっている。
ムードメーカーに見えて、本当は真面目。
でも自分の興味を惹かれるものごとには衝動を抑えられないタイプ。
「人魚、見てみたくね?」
「は?」
他のメンバーに悟られないよう、俺は小さな声で耳打ちをする。
「ちょっとだけ。覗いてみるだけ」
「いや、何言ってんのいっちゃん。俺らには今後の航海のための食糧確保という重要な任務が…」
「人魚ってきっと美人だよ。本物か分かんないけど」
「美人…」
揺れてる揺れてる。
あともう一押しだ。
「後で酒奢る」
雑踏の中、翔平の足がぴたりと止まった。
「その話、乗った」
俺たちは海賊の象徴である髑髏マークの黒い旗をはためかせながらとある島に着港した。
「じゃあ今から船番グループと買い出しグループに別れて行動な。買い出しグループは1時間後にまたここに戻ってきてくれ」
「「うーす」」
船長、力矢さんの指示。
俺は翔平たちと共に買い出しへ向かう。
約1週間ぶりの大地。俺は靴越しにその感触を踏みしめながら街へと入った。
「この島はカジノとかクラブとか、そういうエンターテインメントなものが多いらしい」
陣さんの言う通り、まだ昼間なのにあちこちのカジノやクラブから歓声が上がっている。
いや、歓声だけじゃない。
怒声、銃声、許しを乞う悲痛な声。
どうやらここを訪れる海の荒くれ者は俺たちだけではないらしい。
「カジノ…ギャンブル…」
「ダメっすよ健太さん」
「わ、分かってるよ!」
声が裏返ってるあたり、本当に嘘がつけない人だ。
俺に咎められてもなお、健太さんの視線はあちこちに忙しなく注がれている。
と、ふいにその目がひとつの大きな建物で止まった。一際多くの人が集まり、なにやら大層な騒ぎとなっている。
「陣さん、あれなんすか?」
「ん?あー…なんやろ、分からへん」
俺たちもつられてそっちを見る。野次馬根性が刺激されたのか、翔平がその辺の通行人を引っ捕まえて尋ねる。
「すいません、あれ、何ですか?」
「え?あぁ、あそこはこの島で1番大きいオークション会場だよ」
「オークション?」
「あんたら外から来た人かい?なら知らないか。あそこはまぁ、人身売買みたいな、非合法なものも競りに出されるんだよ。だからこそこの島は海賊とか、裏の社会の権力人とかが沢山来てくれて潤ってる」
この島の住人だというその中年男性は好奇心で目を輝かせて俺たちに教えてくれた。
「それはまぁ、置いといてだな。今日のオークションに人魚が出品されるって噂だぜ」
人魚。
心臓がどくんと高鳴る。
「人魚ぉ!?ニセモノでしょどうせ」
昂秀が素っ頓狂な声をあげた。他のみんなもうんうんと頷いている。
そうだ、どうせニセモノだ。人魚なんているはずがない。
でも。
どうしてもあの夜の影が頭をよぎってしまうのだ。
買い出しのために再び歩き出したメンバーの最後尾で、俺は会場を振り返った。
本当にいるのなら見てみたいと思うのが冒険者の性なのだ。
「翔平、翔平」
翔平とは小さい頃から一緒にいすぎて今は逆にぎこちないけど、だからこそこいつの性格はよく分かっている。
ムードメーカーに見えて、本当は真面目。
でも自分の興味を惹かれるものごとには衝動を抑えられないタイプ。
「人魚、見てみたくね?」
「は?」
他のメンバーに悟られないよう、俺は小さな声で耳打ちをする。
「ちょっとだけ。覗いてみるだけ」
「いや、何言ってんのいっちゃん。俺らには今後の航海のための食糧確保という重要な任務が…」
「人魚ってきっと美人だよ。本物か分かんないけど」
「美人…」
揺れてる揺れてる。
あともう一押しだ。
「後で酒奢る」
雑踏の中、翔平の足がぴたりと止まった。
「その話、乗った」