第二章
夢小説設定
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「風邪だね。嵐もあったし、疲れが溜まってたんでしょ。俺、人魚の身体はよく分かんないから人間と同じ配合で薬出しとくけどいい?」
「はい…すみません……」
「まぁ最近色々あったし、ゆっくり休みなよ」
慎さんは私の額に濡れタオルを置くと診察器具を纏めて部屋から出ていった。
「夜にまた様子見に来るね」
「ふぁい」
ひとりになった部屋で、私は布団を被りなおす。
寒い。
気だるい身体を丸めて、目を閉じる。とろとろと眠っては起きを繰り返していたような気がするがよく覚えていない。
おでこにひんやりとした感覚があって薄く目を開けると、ベッド脇の椅子に樹さんが座っていた。
5匹の飼い猫も一緒に来ていて、樹さんの膝や肩の上で甘えている。
「…あ、ごめん。起こした」
「樹さん…どうして…?」
「ノック、したんだけど返事なくて。ちょっと覗いてみたらタオルが落ちてたから」
隣に誰かがいてくれるだけで何だかほっとして、私は目を閉じた。
樹さんはあまり口数が多い方ではないけれど、今はその静かで穏やかな雰囲気が心地いい。
「体調、どう?」
「んー…慎さんが出してくれた薬が効いてきたのでだいぶ楽になりました」
「そっか」
樹さんはしばらく何をするでもなく猫を撫でていたが、やがておもむろに立ち上がると「じゃ、」と出口に向かった。
条件反射、というのだろうか。
「…うみ?」
「あ、えっと」
どうして私は、樹さんの手を掴んでいるのだろう。
熱に浮かされた頭ではまともな思考もままならない。
だから、正直に言った。
「もう少しだけ…そばに居てくれませんか…?」
樹さんの目が大きく見開かれる。
つないだ手にきゅっと力を込めて、私は樹さんを見上げる。
にゃあ、猫が鳴き声をあげた。
まるで返事をするように。
「…今日は甘える日?」
樹さんがふわりと笑って、床に直接座った。猫たちもベッドにぴょんと乗っかって嬉しそうに私に擦り寄ってくる。
「分かった。いてあげる」
「ありがとうございます」
樹さんの手が私の手に重なる。
いつかの宴の時もこうやっていたっけ。
樹さんのマメだらけの手は温かくて、私の熱を中和してくれているようだった。
あれ、何だか
眠たく、
なっ
て
「…??」
慎さんが猫に埋もれる私とベッドのへりに頭を乗せて眠りこける樹さんを見て首を傾げたのは、その日の夜のこと。
「何この状況…」
「はい…すみません……」
「まぁ最近色々あったし、ゆっくり休みなよ」
慎さんは私の額に濡れタオルを置くと診察器具を纏めて部屋から出ていった。
「夜にまた様子見に来るね」
「ふぁい」
ひとりになった部屋で、私は布団を被りなおす。
寒い。
気だるい身体を丸めて、目を閉じる。とろとろと眠っては起きを繰り返していたような気がするがよく覚えていない。
おでこにひんやりとした感覚があって薄く目を開けると、ベッド脇の椅子に樹さんが座っていた。
5匹の飼い猫も一緒に来ていて、樹さんの膝や肩の上で甘えている。
「…あ、ごめん。起こした」
「樹さん…どうして…?」
「ノック、したんだけど返事なくて。ちょっと覗いてみたらタオルが落ちてたから」
隣に誰かがいてくれるだけで何だかほっとして、私は目を閉じた。
樹さんはあまり口数が多い方ではないけれど、今はその静かで穏やかな雰囲気が心地いい。
「体調、どう?」
「んー…慎さんが出してくれた薬が効いてきたのでだいぶ楽になりました」
「そっか」
樹さんはしばらく何をするでもなく猫を撫でていたが、やがておもむろに立ち上がると「じゃ、」と出口に向かった。
条件反射、というのだろうか。
「…うみ?」
「あ、えっと」
どうして私は、樹さんの手を掴んでいるのだろう。
熱に浮かされた頭ではまともな思考もままならない。
だから、正直に言った。
「もう少しだけ…そばに居てくれませんか…?」
樹さんの目が大きく見開かれる。
つないだ手にきゅっと力を込めて、私は樹さんを見上げる。
にゃあ、猫が鳴き声をあげた。
まるで返事をするように。
「…今日は甘える日?」
樹さんがふわりと笑って、床に直接座った。猫たちもベッドにぴょんと乗っかって嬉しそうに私に擦り寄ってくる。
「分かった。いてあげる」
「ありがとうございます」
樹さんの手が私の手に重なる。
いつかの宴の時もこうやっていたっけ。
樹さんのマメだらけの手は温かくて、私の熱を中和してくれているようだった。
あれ、何だか
眠たく、
なっ
て
「…??」
慎さんが猫に埋もれる私とベッドのへりに頭を乗せて眠りこける樹さんを見て首を傾げたのは、その日の夜のこと。
「何この状況…」